ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

さきと @福岡県福岡市

2013年12月06日 | 福岡県

「鮨安吉」から出てバスで向かったのは博多の居酒屋の中でも名店として知られる「さきと」。天神のバス停で降り、路地を歩く。実は前の日に行って早仕舞いで振られたのはここだ。この日はまだ早い時間だったのでセーフ。それでもカウンターのみの店はほぼ満員で、ちょうど出る人がいたから入れたものの、断られている人もいた。すごい人気だな。店はわりと新しめの建物の1階テナントで、意外にも風情とかとは無縁。ここがなぜそんなに評判なの?と拍子抜け。カウンターには15人位入れるだろうか。目の前の漬け場も結構狭く、主人と女将さん(?)の2人がすれ違うのもやっとくらい。壁には所狭しと色んなお酒の名前や品書きが貼られていて、狭い中にも効率的に一升瓶が棚やカウンター下の冷蔵庫(たぶん)に納めてある。

どれも迷うほどいい日本酒ばかりだが、出来ればこちらのお酒ということで「若波」をぬる燗で注文した。ちゃんと一升瓶のラベルをこちらに向けて置いて見せてくれるのは気が効いている。主人の手元は見えないのだが、次々と入る注文をどこでどう調理しているのか、まるで魔法のように捌いている。自分にもお通し(ヒラマサの煮つけ)が置かれるが、これが滅法旨い。しかもお通しといってもちゃんと量があり、酒を邪魔しない丁度いい味付け。これでもう降参(笑)。カウンターの冷蔵ケースの中の大皿に大好物のクラゲが見えたので注文。コリコリとした食感と酸っぱ過ぎない味付けが日本酒でもばっちり。壁には食べたい品書きがぎっしりと書いてあるが、ひと通り鮨を食べてきてしまっているので、あれもこれも頼みたいのに(食べきれないと嫌だから)我慢しなくてはいけないのがつらかった。酒肴のジャンルはいろいろなのに、どれもが日本酒、ビール、焼酎、その他にそれぞれ合いそうな絶妙なラインナップ。その中から食べた事の無い「さえずり(鯨の舌の刺身)」とお酒をもう一銘柄追加注文し、味わう。いやぁ、これも旨いわ。もっとあれもこれも喰いたい…。

主人も女将さんも特に饒舌でもないし、どちらかというと注文をテキパキこなしていくばかりなのに、その姿をボケっと見ながら壁に貼られたメニューに目を走らせているだけで妙に居心地がいい。隣りには若い女性のお一人様客が座ったが、自然に店に入って旨そうにビールを喉にくぐらせている。特に客をいじるでもなく、主人は淡々とまた別の旨い酒肴を生み出している。うーん、箱(店舗)が歴史的だとか、意匠に凝っているとか、いい調度品を使っているとかでなくても不思議なくらいに居心地のいい空間。接客はベタベタもしていないし、かと言ってつっけんどんでもない。シンプルに酒とつまみが旨い。ここはいい。名残惜しいが、勘定を終えると主人は店頭にまで出て見送ってくれた(あんなに忙しいのに!)。あぁ、この店に通えたらなぁ…。(勘定は¥3,000程)

↓ 写真はほど近い「旧・日本生命保険株式会社九州支店(現・赤煉瓦文化館)」明治42年竣工

Photo

さきと

福岡県福岡市中央区舞鶴2-8-25


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
初めまして!。当方、福岡です。 (ひろし)
2013-12-14 19:07:45
初めまして!。当方、福岡です。
久し振りにさきとさん関連を閲覧して、たどり着きました。
最初に安吉さんにおいでになったんですね!。
次回、さきとさんにおいでになる際は、ぜひ、1軒目で!。
そして、刺身から始めてみてください。
今の時期が旬となる鯖。
こちらの鯖は五島列島から韓国済洲島にかけて獲れる鯖です。
福岡には鯖をウリにしているお店が沢山ありますが、
その中でも、さきとさんの鯖がダントツ、No1です。
「鯖刺し」「〆鯖」「ごまさば」どれも美味いです。私は鯖刺が一番好きです。
ごまさばですが福岡のお店は甘めの味付けが多い中、こちらは、甘さ抑え目の硬派です。
鯖以外の魚も良いものばかりで、ちょっとした肴も秀逸なものばかり。
これらを、福岡や佐賀をメインとする地酒、そして全国の銘酒でやるのが最高です。
私もまた行ってきます!。
返信する
追伸です。すみません。 (ひろし)
2013-12-14 19:43:43
追伸です。すみません。

福岡編を拝見させていただきました。

私は北九州の門司生まれです。小倉駅「かしわうどん」はソウルフードです。
福岡を中心として北部九州のうどんは「コシが無い」のが特徴です。
あとは出汁が昆布メインでとられるため自然の甘さがあり美味しいですね。
「ごぼう天」「丸天(さつま揚げのようなもの)」の具が博多流で、
これに「かしわめし」を付けるのがいいです。唐辛子は「一味」です。
「博多うどん」でくぐってみてください。

「かしわうどん」なら、小倉駅の他に、
折尾駅(現在駅改装中ですが場所を変えてやっています→東筑軒)、
鳥栖駅(佐賀)(中央軒)が三大ホームうどんとなります(笑)。
東筑軒も中央軒も駅弁当会社で「かしわめし」がメインです。
かしわめしでは東筑軒が知名度が高いですが、中央軒も引けをとらないです。
中央軒はシュウマイも有名で、「焼麦」と表記しています。
駅弁好きの中では、東の崎陽軒、西の中央軒と言われる程だそうです。
(両社とも)真空パックではなく、生を蒸し上げたものがあり、これが美味しいです。

笑い話というか、福岡の三大ソウルフードというのがあって・・・。

①元祖長浜屋(ゴタゴタ前の昔ですね)
②牧のうどん
③ふきや(お好み焼き)

ぜひ、くぐってみてください!。
返信する
もう一つ、ごめんなさい。 (ひろし)
2013-12-14 20:12:54
もう一つ、ごめんなさい。

玉川食堂と同じフロアに「ガネーシャ」というカレー店があります。
当地としては(笑)、本格的なお店です。
返信する
ひろし様、初めまして。 (ハリー)
2013-12-15 09:14:47
ひろし様、初めまして。

コメントありがとうございます。

>次回、さきとさんにおいでになる際は、ぜひ、1軒目で!

訪問前日に振られて予定が狂ってしまったのが本当に残念でした。
店で出されている刺身を見てもいい魚ばかりだというのは分かりました。
それを大袈裟に前面に出さず、さらりと提供する所が素晴らしいですよね。
今すぐにでもまた行きたいお店です(なかなか機会がありませんが)。

>北部九州のうどんは「コシが無い」のが特徴です

今、全国的に讃岐のうどんが流行っていますのでそればかりですが、
コシではなく喉越しを味わううどんがもっと注目されてもいいですよね。
わざわざ在来のホームにまで行って食べてみてよかったです。
博多でも有名店に行きましたが、そちらの出汁も本当にやさしい味で
北九州のうどんがとても気に入りました。

>福岡の三大ソウルフード

ぜひ残り二つも制覇したいですね!
いわゆる全国に知られた郷土料理とは別に、地元でずっと親しまれている
味に興味があります。私の地元中部地方でもそんな店があります。
他愛もない味だったりするんですけどね(笑)。

>玉川食堂と同じフロアに「ガネーシャ」というカレー店があります

ありました、ありました。自分が行った時にはまだ準備中でしたが。
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