ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

Protest Songs 1924-2012 (Deluxe Edition) / The Specials

2024年07月06日 | レゲエ・スカ

Protest Songs 1924-2012 (Deluxe Edition) / The Specials (2021)

故・テリー・ホール(Terry Hall)が参加した最後のスペシャルズ(The Specials)のオリジナル・アルバム。デラックス・エディションと銘打っているが、ボーナスのライヴが2曲追加されているだけの1枚物。タイトル通り12曲のプロテスト・ソングのカヴァーが収録されている。2トーン・スカのオリジネーターなのでカテゴリーは”スカ”に入れたが、ここにはスカのスタイルの曲は1曲も無い。メンバーが後に語ったインタヴューによると、米国ミネアポリスで拘束された黒人男性が警察管に殺された事件への回答としてプロテスト・ソングが選ばれ、世界中を恐怖に陥れたパンデミックという状況が大きく影響を与えているのだとか。特にスカというスタイルにはこだわらなかったそう。ここでカヴァーされている曲とオリジナル・アーティストは以下の通り。

01. Freedom Highway(The Staple Singers 1965)
02. Everybody Knows(Leonard Cohen 1988)
03. I Don’t Mind Failing(Malvina Reynolds 1967)
04. Black, Brown & White(Big Bill Broonzy 1938)
05. Ain’t Going To Let Nobody Turn Us Around(The Dixie Jubilee Singers 1924)
06. F__k All The Perfect People(Chip Taylor & The New Ukrainians 2012)
07. My Next Door Neighbor(Jerry McCain & His Upstarts 1957)
08. Trouble Every Day(The Mothers Of Invention 1966)
09. Listening Wind(Talking Heads 1980)
10. I Live In A City(Malvina Reynolds 1960)
11. Soldiers Who Want To Be Heroes(Rod McKuen 1963)
12. Get Up, Stand Up(Bob Marley & The Wailers 1973)

時代も曲調も人種も幅広い選曲。ベタな(失礼)ボブ・マーリーなんかもある一方、トーキング・ヘッズなんかを選曲しているのは面白い視点だし、彼らもリアル・タイムでは無かったろう戦前の曲が選ばれているのも興味深い。やや太った体躯で無精ひげ、仏頂面で歌ういつものテリーの姿が目に浮かぶが、歳をとっても声は変わらず若く、あの声。プロテストといっても激しい歌い方ではなく、テリーもリンヴァル(Lynval Golding)も落ち着いた歌声。まさかテリーがこの歳になってバンドの再結成に加わるとは思わなかったが、ツアーまでやった彼らが、自分達のスタイルを捨ててまでスタジオで最後にこういうアルバムを作ったというのが感慨深い。

ネット・ショップにて購入(¥1,386)

  • Label ‏ : ‎ Island
  • ASIN ‏ : ‎ B099C5P59G
  • Disc ‏ : ‎ 1

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