ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

三楽 @岐阜県岐阜市

2014年09月01日 | 岐阜県(岐阜)

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以前から一度行きたいと思っていた岐阜市内の居酒屋「三楽」。岐阜駅や柳ヶ瀬から離れた場所にあるので、なかなか訪れる機会がなかったが、この日は最初から行こうと決めて公共交通機関(バス)を使って近くまで行き、バス亭から歩いて店まで行ってみた。幹線道路沿いにはあるが、近辺にはあまり商店が多くなく、夜になるとひっそりとした感じ。ここだけ風情ある軒先に杉玉と提灯がぶら下がっていた。

店に入ると、靴を脱いで上がるスタイル。木材をたくさん使った意匠。先客は奥にいるようで店内は空いていたので、迷うことなくお惣菜ののった皿が並ぶカウンターに座った。そんなに古い店ではないと思うが、照明といい、水屋箪笥といい、しっとりと落ち着いた雰囲気で落ち着ける。女将さんが出ていらっしゃって、日本酒を飲むことを告げると、後ろの冷蔵庫から何本か選んだものと付き出しを出して下さった。玉柏、津島屋(御代櫻)など地元・岐阜の酒を取り揃えているのも嬉しい。酒瓶を何本かカウンターに並べてもらったまま呑んでいると、「好きに注いでもらっていいですよ」と信じられない様なうれしいお言葉。恐縮しつつも、あまりそんな機会は無いので、お言葉に甘えて、味比べをさせてもらった。つまみにはポテサラ、酢の物など、皿に盛ってあるものからいくつかを頼む。どれも日本酒の味を邪魔しない、地味ながら旨いものだった。

そのうちに御主人が奥から出てきた。奥には囲炉裏の部屋があり、先客はそちらにいるのだとか。自分が日本酒を飲んでいるのが分かると、自然に日本酒の話になり、以前はほとんどお酒が飲めなかった(!)という主人が冷蔵庫から次々と新しいお酒の封を切って注いでくれる。たくさん開けさせちゃって大丈夫かな、と心配になるが、たぶんどれをどれだけ呑んだなんて最初からつけていないのだろう。主人が自ら酒造とかけあい、特別に作ってもらったという酒もある。そのうちのひとつは「飛びっきり」(玉柏酒造)といい、ラベルも自分で書いてデザインしたのだとか。店内の意匠も自分で考えて、古い木材を探したというから、そういうの好きなんだろうな。すごい。

追加でおでんを何品かもらう。こちらのおでんは味噌ではなく、澄んだ出汁で、少し粗挽きの胡椒をかけるのが特徴。自家製の豆腐の味噌漬けなど、どれも日本酒にぴったりで、ついつい杯がすすんでしまう。もうどのお酒をどれだけもらったか、全然覚えられない。…幸せ。主人も女将さんも、物腰はあくまで穏やかで、しみじみと旨い酒を味わうことが出来た。こんな店が自分ちの近くにあったら、なんて思っていると、「たまに来るからいいんですよ」と御主人。うん、でも…またすぐに行きたい(笑)。

三楽 (さんらく)

岐阜県岐阜市西野町6

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