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ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

At Madison Square Garden / Johnny Cash

2013年07月24日 | カントリー

Cash

At Madison Square Garden / Johnny Cash (1969)

ジョニー・キャッシュ(Johnny Cash)の60年代後半のライヴと言えば超のつく名盤「At Folsom Prison」や「At San Quentin」があり、彼のパフォーマンスやアティチュードが最も鋭敏だった時期なのは誰しもが認めるところ。このアルバムは1969年12月のマジソン・スクエア・ガーデンでの録音だが、2002年まで発表されなかった貴重なライヴ録音だ。大会場でのライヴとあり、前述の2作とは雰囲気もショウの構成も違うが、テネシー・スリー(Tennessee Three)と呼ばれたギターのカール・パーキンス(Carl Perkins)を含むバック・バンドは同じ。惜しむらくは奥方のジューン・カーター(June Carter)が妊娠中で帰郷しており不在だったとかで、定番のデュエットが聴けないところが残念。

カール・パーキンスのソロ演奏を含むライヴ演奏は大箱向けのショウ的要素が強いため、ジャケット写真から想像するステージ衣裳を含め、当時の一般的なコンサートの枠を出るものではないし、尖った彼を評価する向きにはやや物足りない感じもするかもしれないが、カントリー、フォーク、ロカビリー、ゴスペルと様々な音楽ジャンルの曲を余裕たっぷりに、時にシニカルに演奏するキャッシュは相変わらず男前。もちろん録音を残していたという事はキャリアの中でもハイライト的な扱いではあったんだろう。当時カントリーのミュージシャンでマジソン・スクエア・ガーデンのような大会場で集客出来るような大物はそんなに居なかったのでは。でも日本では想像つきにくいが、アメリカでのカントリー・ミュージックの支持の受け方(特に大都市郊外で)は絶大で、小さなクラブとかで演っているんだろうと思っていた自分は現地に滞在してビックリした事があるので分からない。

ベトナム戦争真っ只中での彼のアウトロー的な歌詞や態度はアメリカ国民にどう受け止められていたんだろう。もちろん彼は多くの(保守的な)カントリー・ミュージシャンと同様に国を愛していたはずだし、アメリカ人に「アメリカ」という国を最も意識させたミュージシャンのひとりだから、いわゆるこちらで想像するようなステレオタイプな反体制ではないと思うのだが、そのあたりの立ち位置を日本人である自分が理解するのは本当に難しい。そのあたりがジョニー・キャッシュの評価が不当に低い(というか評価さえされていないか…)原因でもあると思う。

amazonにて購入(¥580)

  • CD (2002/8/27)
  • Disc: 1
  • Format: Original recording remastered, Import
  • Label: Sony
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    The Real... / Johnny Cash

    2013年04月21日 | カントリー

    Cash

    The Real... / Johnny Cash (2011)

    Sonyが出している廉価版CD3枚組シリーズ。今までにディラン(Bob Dylan)とプレスリー(Elvis Presley)を購入したが、どちらも廉価ながら素晴らしい内容で大満足。満を持してジョニー・キャッシュ(Johnny Cash)版を購入。

    相変わらずの信じられない価格ながら音質もソニー・オフィシャルなので全く問題ない。ただ前出のCDとは違い、このジョニー・キャッシュ版ではベスト盤ではなく初期の6枚のアルバム(1958~1962)にボーナス・トラックとして有名な7曲を追加した変則盤。

    キャッシュの初期のアルバムはカントリーはもちろん、ゴスペル(宗教)色も強く、アルバムによって随分印象が違う。相変わらず詳しいライナー等は付いていないので(クレジットはちゃんとあり)背景なんかは分からないが、精力的に次々とレコーディングを重ねていってアルバムを発表していたことがうかがい知れる。ま、70年代ぐらいまでは収録時間は短いとはいえ毎年アルバムを発表するのがトップ・アーティストの使命だった訳だけど(それに比べて今のアーティストは1枚出して3年遊びやがる)。風刺の効いた曲とのんびりした曲、宗教色の強い曲、古いブルースが混在し、音楽的な幅の広さも楽しめる。

    キャッシュがその真骨頂である体制へ反骨精神や裏街道の人間に対するシンパシーを発揮して緊張感あふれる活動をするのはもう少し後(60年代後期)になるが、これら6枚のアルバムの中にも1-7、1-10、2-2、2-13など重要曲もあり、ボーナス・トラックで有名曲も聴けるので内容は濃い。焦点は絞りにくいのでキャッシュが初めての人には勧めにくいが、好きならお得な好盤。

    amazonにて購入(¥459)

  • CD (2011/6/28)
  • Disc: 3
  • Format: CD, Import
  • Label: Sony UK
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    Johnny Cash's America (W/DVD) / Johnny Cash

    2013年03月04日 | カントリー

    Cash

    Johnny Cash's America (W/DVD) / Johnny Cash (2008)

    ジョニー・キャッシュ(Johnny Cash)のドキュメンタリーDVDとそのサントラという形のCDの2枚組。しっかりソニー・レガシー(Sony Legacy)の仕事で、その辺の誰が制作したのか分からない怪しいDVDではないので安心。

    残念ながらドキュメンタリーDVDは英語字幕がなく、英語音声のみなのでヒアリングが出来ないと少しつらいが、彼の波乱に富んだ半生をテーマごとに貴重な映像を用いて描いていて、エピソードに挟まれるインタビューも、ボブ・ディラン(Bob Dylan)、スヌープ・ドッグ(Snoop Dogg)やアル・ゴア(Al Gore)米元副大統領、彼の親族などとても豪華な面々。映像や編集もクオリティが高く、決定版となっているので、彼に興味のある人なら充分におすすめ出来る。あぁ、せめて英語字幕さえついていれば…。

    サントラの方は未発表曲2曲(!)とライヴ音源も含み、選曲もバラエティに富んでいて、これだけでも秀逸な編集盤となっている。

    彼の半生は映画の題材になるくらい劇的なものだったけれど、ここ日本ではカントリー・ミュージックがマイナーな為、あまり知られる事はない。また普通カントリー・ミュージックは「保守」の側の音楽として捉えられているので、彼がいわゆる「反体制」の人間で、音楽活動を通じて様々な問題提起を行っていた事まで知る人は更に少ないかもしれない。自分も知ったのは随分後だったし、それまでストーンズ(The Rolling Stones)やディランが演った一部を除いてカントリー・ミュージックにあまり興味がなかったので目から鱗が落ちるような思いをした。

    これって日本盤は出たのかな? もし出ていないとしたら、こんな秀逸なセットの日本盤を出さないなんてやっぱりダメだな、日本のレコード会社は。

    オークションにて購入(¥1,138)

  • CD (2008/10/28)
  • Disc: 2
  • Format: CD, Import
  • Label: Sony Legacy
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    American IV: The Man Comes Around / Johnny Cash

    2013年02月09日 | カントリー

    Cash4

    American IV:The Man Comes Around / Johnny Cash (2002)

    アメリカン・レコーディングスのシリーズ4作目。そして生前最期のオリジナル作品でもある。カヴァーしているアーティストはナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)、ディペッシュ・モード(Depeche Mode)、ポール・サイモン(Paul Simon)、スティング(Sting)、ビートルズ(The Beatles)、イーグルス(Eagles)、ハンク・ウイリアムス(Hank Williams)とさらに多彩になっている。

    まず何と言ってもオリジナルの1曲目からすごい。キリスト教的な終末を歌いながら曲調は決して暗くなく、力強い。そしてナイン・インチ・ネイルズの名曲「Hurt」。カヴァーされたトレント・レズナー(Trent Raznor)自身が自分の曲なのに聴いて泣いたという素晴しい出来。以前にも取り上げたが、これはぜひマーク・ロマネク(Mark Romanek)監督のPVで見て欲しい。プロモ・ビデオ史上屈指の名作。キャッシュの姿と声はもうヨタヨタだけれど、この歌詞を歌うとものすごいパワーが押し寄せてくる感じ。

    </object>
    YouTube: Johnny Cash - Hurt 1080p Upscale *Best Audio on Youtube*

    一見バラバラな選曲に見えるが、どの曲にも彼と神、宗教、生命との関わりを歌った曲として捉えると、すぐそこにやってきている「死」というものに真正面から向き合っていることが分かる。でも、そんな事なかなか出来るものではない。実際にこのPVでは「最期の晩餐」をイメージさせてもいて、PVに出演している妻ジューン・カーター(June Carter)が翌年に死去、そしてジューン(彼女の半生もすごいものだった)を愛し続けたキャッシュ本人も後を追うように同年死去する。

    これはアーティストとプロデューサー、そして映像作家の思想が見事に一致し、仕事が完璧に達成された稀有な作品だと思う。このアルバムをキャッシュ存命時に聴けなかった事がくやしい。

    オークションにて購入(¥738)

  • CD (2002/11/5)
  • Disc: 1
  • Format: Import
  • Label: Lost Highw
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    Pa Osteraker (35th Anniversary Edition) / Johnny Cash

    2013年02月05日 | カントリー

    Cash

    Pa Osteraker (35th Anniversary Edition) / Johnny Cash (1973)

    ここのところジョニー・キャッシュ(Johnny Cash)ばかり聴いているような気がするなぁ。プリズン(刑務所)慰問公演と言えば強烈なインパクトのある「At San Quentin」と「At Folsom Prison」が双璧だが、アメリカ以外の国でもやっていたとは知らなかった。どうしてスウェーデンのストックホルムにあるOsteraker Prison で公演することになったのか経緯は分からないが、このアルバムは1972年10月に行われた公演を収録していて、73年に発売されたライヴ・アルバムの拡大盤。よって題名はスウェーデン語で「At Osteraker」(多分)。ライナーもあるんだけれど、これもスウェーデン語(多分)なので全く読めない。せめて英語対訳が欲しかった…。オリジナルではキャッシュの代表曲が外された12曲収録だったが、この拡大盤ではもちろん収録され、全24曲。

    どうしても先の2枚のアルバムと比べてしまうが、3年の月日が経っているし、慣れない外国人(犯罪者)が聴衆とあってか、発する一語一語がビリビリとした重みを持つ2作とは雰囲気も演奏も随分違う。弛緩したとまでは言わないが、やはりベストの出来とは言えない。ツアーバンドのカール・パーキンス(Carl Perkins)のパートまで収録されているのはうれしい。

    パーキンスと言えば、彼だけでも充分ネーム・ヴァリューのあるアーティストだけれど、どうしてキャッシュのギタリストとして長い間同行していたんだろうと不思議に思う。「Blue Suede Shoes」なんかの超有名曲があるんだから興行で喰っていくには不自由しなかっただろうに。いや、そんなに甘い世界じゃないのかもな。一説には両者共ドラッグとアルコールで問題を抱えていて、相互助け合いだったとも…。

    オークションにて購入(¥938)

    • CD (2008/3/4)
    • Disc: 1
    • Format: CD, Import
    • Label: Columbia Europe

     

     

     

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    Unchained / Johnny Cash

    2013年02月02日 | カントリー

    Cash

    Unchained / Johnny Cash (2002)

    コレに続くアメリカン・レコーディングス移籍第2弾。前作からわずか2年とさらに創作意欲が湧きあがっているキャッシュは、前回と同様のスタンスでこの後も次々とアルバムを発表していく。当時御年64歳。

    このアルバムでは古い楽曲やセルフ・カヴァー曲の他に、1はベック(Beck)、3はサウンドガーデン(Soundgarden)、9はトム・ぺティ(Tom Petty)とさらにアグレッシブなカヴァー選曲になっている。これらの選曲が本人によるものなのか、プロデューサーのリック・ルービン(Rick Rubin)によるものなのか分からないが、どれも完全にジョニー・キャッシュ色になっているのはすごい。特に3は愛聴していた曲なので個人的に違和感があるかなと思ったけれど、ドスの効いた迫力あるキャッシュのヴォーカルで別物に仕上がっていて、彼の口から「錆びた鉄格子をぶち破る」という歌詞が出てくると、彼の生きざまと相まってグッとくる。かっこいい。

    オークションにて購入(¥818)

  • CD (2002/3/5)
  • Disc: 1
  • Format: Import
  • Label: Lost Highwa
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    American Recordings / Johnny Cash

    2013年01月20日 | カントリー

    Cash

    American Recording / Johnny Cash (1994)

    ジョニー・キャッシュ(Johnny Cash)がリック・ルービン(Rick Rubin)の主幸するデフ・アメリカン(現アメリカン・レコーディングス)に移籍し、最初に発表したアルバム。ここから彼の最期のキャリアであり、かつ最高の作品群が生み出される。

    彼自身の作品とニック・ロウ(Nick Lowe)、トム・ウエイツ(Tom Waits)などの曲が収録されて、新しい境地を切り開いた。自分はリアル・タイムでは聴いていなかったが、リック・ルービンの動向を気にしていた事もあって、ニュースとしては知っていた。ただこんなに素晴らしい作品であることは知らず、「リック・ルービンとジョニー・キャッシュ?」と不思議に思ったものだ。その後、オルタナ系のアーティストの作品を多くカヴァーするに至って「何か凄い事になっている」と遅ればせながら気付いた次第。

    この時キャッシュは御歳なんと62歳。自分の息子や孫に当たるようなアーティストをカヴァーしていくんだから普通ならちょっとカッコ悪い事になってもおかしくないんだけれど、シンプルだけれど、カヴァーされたアーティストが驚くような凄みを加えたカヴァー曲は、原曲の良さを引き出して余りあるものになっているんだから凄い。もうこの最初のアルバムで完全にキャッシュのスタイルになっていて、他者の作品もまるでキャッシュのオリジナルのよう。リック・ルービンで想像されるようなラウドな音ではないけれどかっこいい。

    アメリカン・レコーディングスのレーベル・デザインである「逆さまの星条旗」がキャリアを通じて反骨であったジョニー・キャッシュにぴったり。

    CD (2002/3/5)

  • Disc: 1
  • Format: Import, from US
  • Label: Lost Highway
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    Bootleg-Vol. Ⅲ: Live Around the World / Johnny Cash

    2012年12月19日 | カントリー

    Cash

    Bootleg-Vol. Ⅲ: Live Around the World / Johnny Cash (2011)

    このアルバムに関しては店頭で見るまで発売を全然知らなかった。Ⅲって事はもう前に2作出ているってことか。自分がジョニー・キャッシュ(Johnny Cash)を好きになったのはリック・ルービン(Rick Rubin)のAmerican Recordingsの一連の作品でAlternative系のアーティスト作品をカヴァーしだした頃から。もう齢60を超えていたはずだがなんて頭の柔らかい人なんだと関心を持ち、ナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)のカヴァー「Hurt」のビデオと「Johnny Cash at Folsom Prison」と「Johnny Cash at San Quentin」の2枚のライヴ・アルバムを聴いて完全にノック・アウトされた。

    </object>
    YouTube: Johnny Cash - Hurt 1080p Upscale *Best Audio on Youtube*

    ストーンズ(The Rolling Stones)を聴いていたおかげでカントリーも少しはかじっていたし、アメリカでの体験から、日本では考えられない程のカントリー音楽の絶大な影響力を知ってはいたが、好きになるアーティストが出るとは思ってもみなかった。ジョニー・キャッシュこそ真のパンクであり、真の異端だ。当時封切られた伝記映画は少しラヴ・ストーリーに寄り過ぎだったがそれでも面白く見る事が出来た。

    このアルバムは彼の未発表ライヴ・パフォーマンスを年代毎に切り取ったコンピ。いささか詰め込み過ぎて焦点がぼやけている感もあるが、やはり最も先鋭だった60年代から70年代のライヴが白眉だと思う。アメリカの政治(刑務所慰問も含めて)と密接だった彼の音楽をもっと早く理解しておくべきだったな。

    中古店にて購入(¥1300)

  • CD (2011/10/11)
  • Disc: 2
  • Format: CD, Import, from UK
  • Label: Sony Legacy
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