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●科学技術ニュース●東レ、農作物の光合成に必要な可視光を透過しハウス内気温を上昇させる赤外光は遮蔽する農業用遮熱シートを開発

2024-08-21 09:39:01 |    生物・医学
 東レは、ビニールハウスに被覆することで農作物の光合成に必要な可視光を透過し、ハウス内気温を上昇させる赤外光は遮蔽する農業用遮熱シートを開発した。

 同シートの効果により、農作物の高温に対するリスクの軽減と、ハウス内作業従事者の熱中症リスクの回避・軽減等の労働環境の改善が期待される。
 
 2025年春の本格販売を目指し、2024年7月から農業者へサンプルを提供し、モニター評価を開始する。

 近年の温暖化傾向により、ビニールハウス内が高温となる夏季の作型については、農作物の品質低下や収穫量の減少が顕在化している。特に、ハウストマトは夏季に裂果や着果不良といった高温障害が発生し、収穫量が減少する課題がある。

 東レでは、2018年から石川県と公益財団法人いしかわ農業総合支援機構、石川県内のトマト農家とともに「新たな遮熱資材を活用した高収益施設園芸モデル構築コンソーシアム」を組織し、農業用遮熱シートの開発と実証試験を進めてきた。

 コンソーシアムでは、東レが中心となり、可視光の透過性が高く、赤外光を吸収・反射する遮蔽性に優れた機能剤を見いだし、それを添加したフラットヤーン(フィルムを短冊状に裁断した糸)を開発した。

 加えて、製品重量や取り扱い性も考慮した織物を設計し、2023年に高採光性と高遮熱性を両立する本シートを実現した。

 東レの調査では、同シートは、トマト栽培において、石川県内で多く使用されている既製品(可視光、赤外光を一律に遮蔽)を使用した場合と比較して、夏季のハウス内日中平均気温(6時~18時)を最大約3℃、最高気温では最大約5℃低下し、トマトの裂果や着果不良といった高温障害の発生が軽減されることを確認した。

 2025年春の本格販売に向け、実証点数を増加し、遮熱効果、トマトの収量性、資材の展張性や収納性などについて評価する計画。

 また、同シートはトマト以外の施設園芸作物や、明るさと遮熱性を両立するオーニングやシェードへの応用、展開も目指す。<東レ>
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