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●科学技術ニュース●日本眼科学会と国立情報学研究所、眼底画像から個人の性別を推定するAIを開発し無償公開開始

2024-01-31 09:34:40 |    生物・医学
 日本眼科学会と国立情報学研究所(NII)は、日本医療研究開発機構(AMED)の支援により構築された学会主導データベース「Japan Ocular Imaging Registry: JOIR」で収集された画像データを用いて、眼底画像から個人の性別を推定するAIを開発し、無償公開を開始した。

 同成果を研究者が活用することにより、性別によって発症頻度に差がある疾患の病態を解き明かす一助になる可能性がある。

 今回研究開発したモデルは、性別のラベルが付与された17〜94歳の眼底写真131,031枚を学習データとし、性別を正解として深層学習を行った。

 学習に当たっては、深層学習モデルの中でも一般的な16個のモデル(DenseNet-121/169/201, Inception-V3, Inception-ResNet-V2, MobileNet, MobileNetV2, Xception, EfficientNet-B0/B1/B2/B3/B4/B5/B6/B7)を用いた。
 
 その結果、検証データの眼底画像から推定した性別が実際の性別と一致する精度は、最も高いモデルで92.0%(AUC 0.971)で、これまで他人種で行われた性別推定モデルと同等の結果であった。

 このうち、最も精度の高かったEfficientNet-B7と軽量かつ精度の高かったMobileNetの二つのモデルを公開する。

 同成果を研究者が活用することにより、性別によって発症頻度に差がある疾患の病態を解き明かす一助になったり、また、研究等において性別の情報が欠落している場合に、その情報を補完するために活用されたりする可能性があると考えられる。

 同研究は、日本医療研究開発機構(AMED) 臨床研究等 ICT 基盤構築・人工知能実装研究事業「次世代眼科医療を目指す、ICT/人工知能を活用した画像等データベースの基盤構築」(課題番号:JP17lk1010024/研究代表者: 大鹿哲郎)および「医療ビッグデータ利活用を促進するクラウド基盤・AI 画像解析に関する研究」(課題番号:JP18lk1010028・JP19lk1010036/研究代表者: 合田憲人)の支援を受けた。モデルは森健策(NII RCMBセンター長・名古屋大学教授)と小田昌宏(名古屋大学准教授)が開発した。<国立情報学研究所(NII)>
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