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■科学技術ニュース■NIMS、新電子材料チオフェンナノシートの薄膜製造法を世界で初めて開発

2013-04-04 10:25:02 |    電気・電子工学

 物質・材料研究機構(NIMS)高分子材料ユニット電子機能材料グループの池田 太一主任研究員は、ドイツのMax Planck Institute for Polymer Researchと共同で、厚さが3.5ナノメートルの2次元シート状有機材料、超分子チオフェンナノシートを世界で初めて開発した。

 近年、グラフェンなど2次元シート構造をもつ電子材料が注目を集めている。しかし、グラフェンは大きさの制御が難しく、表面の化学修飾による高次機能化ができない。一方、チオフェンは、電界効果トランジスタ、有機太陽電池、有機発光材料(有機EL)などの電子材料として活発に研究されているが、その薄膜製造法には問題が多い。例えば、真空蒸着法は多くのエネルギーが必要で生産コストも高い。また、高分子溶液を用いたウェットプロセスでは結晶性の高い薄膜を得るのが困難であった。

 今回、これらの問題を克服し、2次元結晶性のチオフェンナノシートを溶液中で簡便に調製することに世界で初めて成功したもの。

 今回、チオフェン誘導体と柔軟なエチレングリコール鎖を交互につなげた高分子が、特定の有機溶媒中でチオフェン同士が重なり合うように折り畳まれ、さらに折り畳まれた高分子同士が自発的に集まって(自己組織化して)2次元シート構造を形成することを発見した。

 用いた高分子は約80ナノメートルの長さがあるが、きちんと折り畳まれているためにシートの厚さは3.5ナノメートルしかない。シート内でのチオフェンの配列は、低分子チオフェン化合物を真空蒸着法で製膜した場合の構造と同様であり、電子機能材料への応用が期待される。ナノシートの大きさは溶液の濃度を調節することで制御でき、高分子の末端を化学修飾することで、ナノシートの表面の高次機能化も可能であることを確認した。


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