“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「IT'S ELEMENTAL さぁ、化学に目覚めよう」(ケイト・ビバードーフ著/山と渓谷社)

2024-03-27 09:34:39 |    化学



<新刊情報>



書名:IT'S ELEMENTAL さぁ、化学に目覚めよう~世界の見え方が変わる特別講義~

著者:ケイト・ビバードーフ

訳者:梶山あゆみ

発行:山と渓谷社

 ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル絶賛の全米ベストセラー。刺激的、根源的、すこぶる楽しい!アメリカで人気爆発の化学者“KATE THE CHEMIST”が教える知的で愉快な化学の話。たとえば朝、目覚めのコーヒーを飲むときにカフェインが体内でどのように眠気を覚ます?コーヒーを美味しく入れるために湯を沸騰させてはいけない理由とは?シャワーを浴びるときに使うシャンプーの成分の機能を知ってる?じゃあ、日焼け止めを塗ることで紫外線を防げる理由とは?テキサス大学教授として文系の学生に向けた授業を担当し、自他ともに認める化学オタクの著者が、高校から大学の教養レベルで学ぶ化学の基本原理と、日常にあふれる化学反応をわかりやすく、ユーモアたっぷりに紹介する。掃除をしたり、運動をしたり、バーでカクテルを飲み、愛する人とベッドに入るまで、実は化学が身近で親しみやすい存在であることを感じられる一冊。元素周期表の見方についても詳しい解説があり、化学を学ぶ学生にも、学び直しをしたい大人にもおすすめである。
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●科学技術ニュース●NECとNTT、世界初、12コア光ファイバーによる7,000km以上の長距離伝送実験に成功し大洋横断級光海底ケーブルの大容量化に向けて前進

2024-03-27 09:34:11 |    通信工学
 NECとNTTは、世界で初めて、標準的な外径(0.125mm)の光ファイバーに光信号の伝送路を12本設けた12コア結合型マルチコアファイバーを用いて、大洋横断級7,280kmの伝送実験に成功した。

 同成果は、将来の光海底ケーブルをはじめとする大容量光ネットワークの実現に貢献する、次世代の伝送基盤技術として期待される。

 グローバルにおける5Gの普及や分散するデータセンター間の通信増などにともない、2018年から2022年における国際インターネット通信量は年平均成長率30%で増加し、この傾向は今後も続くと予想されている。

 旺盛な通信需要に対応するため、光海底ケーブルの増設に加え、光海底ケーブルシステム当たりの伝送容量を増加するニーズが高まっている。

 既存の光海底ケーブルには、1本のファイバー内にコアと呼ばれる光伝送路を1本設けたシングルコアファイバーが用いられています。

 これに対し、ファイバーを標準的な外径から変えずに複数のコアを設けて通信容量を増やすマルチコアファイバーを用いることで、ケーブルの大容量化をめざす研究開発が世界中で進められており、NECは現在、光伝送路を2本設けた2コアのマルチコアファイバーを用いた長距離光海底ケーブルシステムの敷設プロジェクトを手掛けている。

 標準的な外径の光ファイバーにコアを増やしていくと、コアから漏れた光信号が隣接するコアの光信号に干渉し混信することで、お互いの通信品質が劣化するクロストークが発生する。

 特に長距離の伝送では、クロストークの深刻化に加え、光信号間の遅延や損失の不均一性などが原因で、送信した信号を正確に受信することが困難になる。

 今回、これらの課題に対して、NECとNTTが開発した技術は、 MIMO (Multiple Input Multiple Output)技術により受信信号の復調を実現したアルゴリズムの開発(NEC)、12コア結合型マルチコアファイバー光伝送路の開発(NTT)。

 両社はこれらの技術を組み合わせ、大洋横断級の光海底ケーブルを想定した7,280kmの長距離伝送実験を行い、12空間多重光信号のオフラインでの正確な復調に世界で初めて成功した。<NEC>
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●科学技術ニュース●産総研グループとAGC、グリーン水素製造の低コスト化を目的とした高圧水電解基礎評価試験の共同研究を開始

2024-03-27 09:33:29 |    ★水素ニュース★
 産業技術総合研究所(産総研)、AGCと株式会社AIST Solutionsは、2024年4月より高圧環境におけるPEM(Proton Exchange Membrane:プロトン交換膜)型水電解技術の特性解明を目的とした共同研究を開始する。

 高圧環境下で製造した水素は含有水分量が少なくなり、乾燥設備の小型化や昇圧設備の削減など投資コストの低下につながるため、同研究はカーボンニュートラル実現に向けた、水素普及への貢献が期待される。

 PEM型水電解は、太陽光発電などの発電量の変動が大きい再生可能エネルギーの活用に適した技術で、グリーン水素製造に必要な技術として注目されている。

 グリーン水素の製造・供給は世界各国で計画されており、燃料電池車など社会インフラにおけるグリーン水素利用の拡大には、水素製造コストの低減が課題。

 その解決方法の1つが高圧で水素を製造する水電解技術で、欧米では高圧環境下(3~5MPa)での水電解装置運転が主流となっている。

 一方、日本では高圧ガス保安法による高い安全基準が定められていることなどから、結果として1MPa以上の高圧で水素製造装置の性能を評価できる公的な設備がないことが課題となっている。

 同共同研究は、産総研福島再生可能エネルギー研究所(FREA)に実験評価設備を新設し、2024年4月から実験を実施する予定で、高圧環境下で水素を製造するための知見を蓄えるべく、両者協力のもと研究を進める。

 AGCは、今回実験に用いる水素製造用フッ素系イオン交換膜FORBLUETM Sシリーズをはじめとした電解膜に関する事業に1975年から取り組んでおり、これまで蓄積した幅広い知見を活用し、高圧環境下での基礎的な膜材料特性の把握と、高圧水電解用膜設計技術の確立を目指す。

 産総研は、これまでにFREAで開発してきた水電解に関連する基礎技術や評価技術を基に、高圧水電解における膜材料評価技術の確立を目指す。

 AGCと産総研グループは、グリーン水素を利用したクリーンエネルギーの普及により、サステナブルな社会実現を目指し、同共同研究を進める<産業技術総合研究所(産総研)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「確率的シミュレーション」(大久保潤著/森北出版)

2024-03-27 09:32:58 |    数学



<新刊情報>



書名:確率的シミュレーション

著者:大久保潤

発行:森北出版

 細胞内の化学反応、感染症の拡散、為替レートや生態系の変動など、さまざまな分野で実用されている「確率的シミュレーション」の基本を体系的にまとめた待望の入門書。マスター方程式・確率微分方程式などの確率モデルの導出から、モンテカルロ法による計算方法とアルゴリズムの実装例、さらにデータから確率モデルを推定する方法までを平易に解説しており、計算の裏側にある仕組みが直感的に理解できる。また、ひと通り理解した人や数理に関心のある人のために、付録や本文中の補足で詳しい理論にも触れているため、さらに深く学ぶことも可能。これから確率的シミュレーションを使う人のみならず、関連する分野の研究者など、確率的な現象を扱うすべての人におすすめの一冊。
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