“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「2030 半導体の地政学<増補版>」(太田泰彦著/日本経済新聞出版)

2024-03-12 09:36:24 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:2030 半導体の地政学<増補版>~戦略物資を支配するのは誰~

著者:太田泰彦

発行:日本経済新聞出版

 ベストセラーになった「2030 半導体の地政学」が2021年末に刊行された後、半導体をめぐる世界のパワーゲームは一段と激しい動きを見せている。わずか2年の間にロシアのウクライナ侵攻が勃発。台湾海峡をめぐる米中の軍事衝突の現実味が高まり、イスラエルとアラブ武装勢力ハマスとの衝突が世界を震撼させた。日増しにきな臭くなる国際情勢の中で、各国は国家の存亡をかけて半導体の争奪戦を繰り広げている。なりふり構わず台湾、韓国の企業を囲い込む米国。経済制裁で追い込まれて国内生産に走り出す中国。そして日本では台湾積体電路製造(TSMC)の熊本工場の建設が驚異的なスピードで進み、次世代チップの開発を目指し新会社ラピダス(Rapidus)が電光石火の如く設立された。半導体をめぐり世界の裂け目が広がっている。その先に現れるのは、いったいどんな世界なのか……。増補版では、2023年末に至るまでの国際情勢を踏まえて大幅に加筆、修正。理科系出身で国際報道の最前線に立つジャーナリストの著者が、世界地図の解像度を高めて半導体の地政学を読み解く。
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●科学技術ニュース●NEC、システム全体のコンピュータ機器の真正性を遠隔から確認可能とする技術の実証に国内で初めて成功

2024-03-12 09:32:18 |    情報工学
 NECは、コンピュータ機器の信頼性と安全性を高める国際業界標準規格を制定する業界団体「Trusted Computing Group」(TCG)が、2024年2月に開催したOpen Workshopに、サプライチェーンにおけるサイバーセキュリティ対策として、遠隔からコンピュータ機器の改ざんを検知可能とする「リモート検証基盤」を公開した。

 同リモート検証基盤を活用して、Open Workshopに参加した企業・大学のサーバやノートパソコン、IoTデバイスなどの様々なコンピュータ機器について遠隔からの真正性(コンピュータのハードウェア構成およびソフトウェアが正常な状態であること)の確認に成功した。

 複数メーカの機器が混在するマルチベンダ環境での遠隔からの真正性確認の成功は国内初となる。

 同リモート検証基盤は、Internet Engineering Task Force(IETF:インターネットで利用される各種技術の標準化を推進している国際任意団体)が標準化を進めているRemote ATtestation ProcedureSの概念を実現したセキュリティ技術であり、NECの防衛事業部門と株式会社サイバーディフェンス研究所で開発した。

 TCGで仕様策定し標準化されたハードウェアセキュリティ技術であるTPM(TCGが規格化したセキュリティモジュール。安全な鍵管理、暗号化機能を提供)を使うことで、メーカに依存せずにシステム上のコンピュータ機器をセキュアに管理し、サプライチェーンにおけるセキュリティ対策のコストを低減できる。

 同リモート検証基盤では、サーバやノートパソコン、IoTデバイスなどに組み込まれたTPMに、信頼の基点となるハードウェア情報とソフトウェア情報を埋め込んだプラットフォーム証明書(TCGが規格化したデバイスの構成証明書)を格納し、同時に同じ情報を出荷時の正しいデータ(正解値)として検証システムに登録する。

 出荷後に構築されたシステムにおいて、プラットフォーム証明書の情報と検証システムに事前登録された正解値と比較することで、OSが起動するまでの各ステップの状態を検証し、改ざんを検知することができる。

 ハードウェアレベルでコンピュータ機器の構成全体の健全性をリモートで確認できるため、コンピュータ機器に対する改ざんが極めて困難となる他、システム全体の各コンピュータ機器の真正性を自動で確認することができる。

 これにより、特にファームウェアレベルのマルウェアや不正なハードウェアの混入など、生産時を含むサプライチェーン上で発生する脅威リスクからシステム全体を保護することができる。

 昨今、経済安全保障の背景から日本を含むグローバルで求められている、機器等の調達時におけるサプライチェーン上で不正な変更がなされていないかを証明する要求事項に対して、有効な対策となる。<NEC>
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●科学技術ニュース●理化学研究所など、X線自由電子レーザーを微小結晶試料に応用する技術を開発し薬剤候補物質や有機半導体材料などの分子構造決定に成功

2024-03-12 09:31:52 |    化学
 理化学研究所(理研) 放射光科学研究センター 生体機構研究グループの高場 圭章 基礎科学特別研究員(研究当時)、SACLA ビームライン基盤グループ イメージング開発チームの眞木 さおり 研究員、生体機構研究グループの米倉 功治 グループディレクター(東北大学 多元物質科学研究所 教授)、SACLA ビームライン基盤グループ ビームライン開発チームの井上 伊知郎 研究員、SACLA ビームライン基盤グループの矢橋 牧名 グループディレクター、高輝度光科学研究センター XFEL利用研究推進室の登野 健介 チームリーダー、東京大学 大学院工学系研究科 化学生命工学専攻の森本 淳平 講師、山東 信介 教授らの共同研究グループは、X線自由電子レーザー(XFEL)を、構造解析が難しい微小結晶試料に応用する技術を開発し、薬剤候補物質や有機半導体材料などの分子構造決定に成功した。

 同研究成果は、有機化合物の立体構造、化学的性質、機能のより詳しい理解を進め、創薬や材料開発に役立つと期待できる。

 有機合成化学、薬学、材料科学などの分野では大きな結晶が得られない化合物が多く、小さな結晶の構造解析技術が重要。

 電子線は、X線に比べて試料に数万倍も強く散乱されるため、微小結晶の構造解析に利用されている。

 しかし、電子回折には厚い結晶への適用の制限や、得られるデータの品質が劣るという欠点がある。

 今回、XFEL施設「SACLA」を用いて、大きな結晶を作りにくく、かつ結晶の方位に偏りがあるなどの性質から、解析が困難だった化合物の構造を決定した。

 ここではXFELのデータ処理に、電子線から得た分子の並びについての情報を与えることで高い効率の解析が実現できた。

 開発した手法により、広範な分野の難解なターゲットに対しても優れた品質の構造情報が得られる。<科学技術振興機構(JST)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「超音波フェーズドアレイ技術~実技・応用編~<2024年版>」(「検査技術」編集部著/日本工業出版)

2024-03-12 09:31:27 |    機械工学



<新刊情報>



書名:超音波フェーズドアレイ技術~実技・応用編~<2024年版>

監修:オリンパス㈱ 堀井崇史、エフティーエス㈱ 板垣正、㈱KS-NET 後河内薫、ポニー工業㈱ 砥嶋浩彰、㈱KJTD 西谷 豊、ダイヤ電子応用㈱ 深谷義弘、日本ベーカーヒューズ㈱ 中川真一、日本マテック㈱ 松島 勤

著者:「検査技術」編集部

発行:日本工業出版

 超音波フェイズドアレイシステムは、溶接部のクラック検出などで複雑な形状を二次元表示で可視化することができ、従来の超音波探傷にない利点がある。同書は、基礎編に続き、性能評価、実測例、探傷出力例等を紹介。【目次】第1章 超音波フェーズドアレイ探傷器における性能評価の必要性 第2章 斜角セクタスキャンによる性能評価について 第3章 解説と実測例 第4章 応用分野と探傷例
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