2020年のノーベル化学賞は、独マックスプランク研究所のエマニュエル・シャルパンティエ氏(国籍はフランス)と米カリフォルニア大のジェニファー・ダウドナ教授が受賞した。
全遺伝情報(ゲノム)を効率良く改変できる「ゲノム編集」で画期的な技術を生み出した。2人が開発した技術は「クリスパー・キャス9」と呼ばれ、DNAの塩基配列を狙った部分で切断し、挿入、置換できる。
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書名:カラスはずる賢い、ハトは頭が悪い、サメは狂暴、イルカは温厚って本当か?
著者:松原 始
発行:山と渓谷社
じつは私たちは、動物のことをぜんぜん知らない――。私たちが無意識に抱いている生き物への偏見を取り払い、真剣で切実で、ちょっと適当だったりもする彼らの生きざまを紹介。動物行動学者が綴る爆笑必至の科学エッセイ!
物質・材料研究機構 (NIMS)は、従来の材料よりも電気化学的活性に優れるマグネシウム合金材を開発し、マグネシウム金属電池の容量を約20%向上させることに成功した。
これまで手付かずだった負極材の開発の方向性を示したことで、低コストかつ大容量なマグネシウム金属電池のさらなる性能向上が期待される。
今回、マグネシウム電池電解質開発を専門とする研究者と、構造材料としてのマグネシウム合金の開発を専門とする研究者が共同研究を展開し、電池特性を向上させるマグネシウム合金の探索を行った。
その結果、結晶方位を制御し、20 μm程度の微小な結晶粒で構成されたマグネシウム金属材に、原子濃度0.3%という極微量の異種金属を添加することで、電気化学的な活性を大きく向上させることに成功した。
例えば、カルシウム (Ca) を添加した合金材 (Mg-Ca) を負極に用いた電池を試作しその特性を評価したところ、純マグネシウム金属 (pMg) を用いた電池と比較して、容量が約20 %向上した。これは、マグネシウム金属の合金化と組織制御で電池特性の改善を達成した、世界初の成果。
同研究により、マグネシウム金属電池の電池特性の改善に、冶金学的アプローチが有効であることが分かった。マグネシウム金属は、構造材料分野で精力的に研究されてきた材料である。今後この成果をもとに、大容量マグネシウム金属電池の実現に向けて、金属組織構造の最適化に取り組んでいく。
同研究は、物質・材料研究機構 エネルギー・環境材料研究拠点の万代俊彦主任研究員および構造材料研究拠点の染川英俊グループリーダーにより、JST戦略的創造研究推進事業 先端的低炭素化技術開発・特別重点技術領域「次世代蓄電池」 (ALCA-SPRING) の一環として行われた。(物質・材料研究機構 <NIMS>)
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書名:新時代におけるバイオメカニズム研究
編者:バイオメカニズム学会
発行:慶応義塾大学出版会(バイオメカニズム25)
生物の形態・運動・機能について、総合的な分析とその工学的応用を目指す学問領域「バイオメカニズム」。同巻では「スポーツの動作と反応」、「センサ・デバイス」、「筋・腱・関節」、「歩行・立ち上がり」の4部構成で、厳選された15題の論文を収録。