kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

Brexitショック第2波

2016-07-07 09:38:49 | 日記
Brexitショックから冷静を取り戻した金融市場は当面小康状態を保つとの
期待もありましたが、早くも第2波が市場を揺らし始めているようです。事
の発端はイタリアの金融機関の信用不安の高まりです。欧州の銀行の不
良債権の三分の一はイタリアの金融機関だと言われています。ギリシャ危
機の後遺症から不良債権の処理が進んでいないイタリアの金融機関は年
初からのリスクオフから国債利回りが低下して収益力が低下して苦境に立
たされていました。

そこにテールリスクであるBrexit問題が発生して一段と長期金利は低下し
ました。世界の金融機関は金利低下で運用利回りが下がり収益力が落ち
ていますが、特に多額の不良債権を抱えるイタリアの金融機関には収益
力低下でなかなか不良債権の処理が進まないという状況になってきまし
た。ギリシャ危機で繰り返されたように金融システムの弱い部分に焦点が
当たり市場が混乱するということが今回も起きました。

さらに危機の発生源である英国で不動産ファンドに解約が殺到し大手不
動産ファンドが解約停止に追い込まれました。売りたい時に売れないとい
う流動性枯渇はリーマンショックの発端となったこともあり市場では一気
に警戒モードが高まりました。英国の不動産市場はここ数年二ケタの上
昇を続けていて一部にはバブルを指摘する見方も出ていました。

不動産価格上昇の背景にはロンドンの人口増と市街地では景観を損な
う恐れがある高層ビルへの規制があります。需要に対して供給が限られ
るということが不動産価格上昇を支えていました。ところがBrexitが現実
のものとなり金融機関が英国から逃げ出しオフィス需要が減少すると見
方が出てきました。金融機関が撤退すれば従業員の住宅需要も減少し
ます。需要側の問題が噴出したことで世界中から人と金を集めて活況だ
った金融都市のロンドンの不動産市場はBrexitの影響が真っ先に出てく
ることになりました。

イタリアの金融機関の不良債権問題もずっと以前からくすぶっていました。
ロンドンの不動産価格上昇も警戒するムードはありました。Brexitという
ブラッグスワンがきっかけになり問題が一気に噴き出した格好です。この
問題がどのような終息を迎えるのか専門家の間でも意見が分かれてい
ます。しかし米国の利上げへの障害がまた一つ増え回り回って円高圧
力が今後も続くことになるということは明確なようです。

先週時点での裁定買い残高は3週連続で減少して7503億円となりまし
た。1ヶ月前から1兆円弱減少しました。信用買い残高も5週連続で減少
して2兆2872億円となり1月第1週と比較すると1兆円減少しました。それ
だけ先高期待の後退からマネーが市場から逃げ出したことになります。

現在市場は極端なリスクオフになり欧州売上高が高いという理由だけ
で個別企業に与える影響を吟味することなく売り込まれる場面が増え
ています。割安感の出ている銘柄があっても長期投資家は様子見して
いる状況です。僅かな売り物でも価格変動が大きくなっています。当面
は下値不安の高い状況は変わらないかもしれません。しかし需要が枯
れていることは将来流れが変わったときには急上昇につながる期待も
持てます。

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