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改めて品質管理を考えよう その7

2017年02月19日 | ブログ
働き方の品質管理

 キャリアの新入女子社員が、パラハラと思える職場環境での長時間労働の末に自殺した事件があった。自分達も若い頃にはそのように鍛われてきたからという企業風土が、改善を阻み、見て見ぬふりを助長する。政府も本格的にサラリーマンの働き方改革を進めようとしているが、一般の企業サラリーマンだけでなく、芸能界、マスコミ関係者等の働き方、働かせ方にも根深い問題があるのではないか。

 働く側に問題がある場合もないとはいえない。長時間働くことで、残業手当が生活を潤すことに慣れると、働き方にメリハリがなくなり、毎月同程度の残業を志向するようになることに上司も目を瞑り、長時間労働職場での働き方は一向に改善されない様も見て来た。

 ベルトコンベアで製品を組み立てる職場で、夕方5時に停止するベルトコンベアを、増産のため今日は7時まで動かさねばならなくなれば、そこで働く従業員には当然残業割増手当が支払わねばならないけれど、デスクワークのスタッフが、自身の裁量で居残りし、残業手当を貰うのは業務上横領に近い行為ではないかと思うけれど、その仕事の必要性の有無を、上司にあっても十分管理出来難いのも現実である。

 そんな背景と経営者側の思惑も絡んで、たとえば10人必要な職場に5人しか配しなければ、当然長時間労働は常態化する。手当は要らないから早く帰りたいと思っても許して貰えない状況になっていたりする。残業手当をきっちり支払う会社はまだいいけれど、働き方は任せる代わり、碌に残業手当も払わずに、長時間労働が普通になっている企業も多いようだ。

 品質管理はものやサービスを管理するだけものではなく、自身で自身の働き方、その質までも管理するものでなければならない。労働生産性が欧米に比べて低いと言われるようでは、車や国内製の家電品等の品質の高さに満足して、全体としてこの国の品質管理レベルは未だ低いと言わざるを得ない。

 われわれ団塊世代の先頭集団が、高校を出て社会に出た時代にすでに、1日8時間働いて、8時間を自分の時間に使い、8時間を睡眠に充てる。という考え方が普通に語られていたように思うのだけれど、一方で猛烈社員などという言葉があり、外国人からは働き過ぎの日本人と言うイメージも定着していた。もっとも当時、土曜日は休日ではなく、三交代勤務者は1日は8時間だけれど、月に5日の休日しかなかった。

 働くことを喜びとし、美徳とまで考えた人も多かったのであろうが、過ぎたるは及ばざるが如しである。自分の価値観を他人に押し付けるのは禁物である。定時に帰宅し、それで業績を上げれば結構なことだ。

 組織としては、業務の項目を細かく上げて、ひとつひとつ必要性の有無を検証する必要がある。仕事は個人に付いてくる。知らぬ間に必要性のないことをやっている恐れは十二分にある。働き方改革には業務の棚卸が必要であり、個人個人が自身の仕事の品質を改善する努力を行わねばならない。それこそ大切な品質管理なのだ。
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