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改めて品質管理を考えよう その8

2017年02月22日 | ブログ
神は細部に宿る

 建築やデザイン、芸術の世界などで生まれた言葉とのことで、芸術作品など、目立たない細かいところまで細やかな神経を使って仕上げることが肝要であるという警句。物事の核心を突き、企業経営に品質管理にも通じる非常に良い言葉だと思う。

 巨大企業が不正経理の発覚に始まり、大幅な赤字を計上して債務超過に陥る。確かに震災による原子力発電事業の低迷は致命的であったろう。しかし、その前に中国で作って自社ブランドで販売していた家電小物などの品質管理に十分な神経が通っていたか。たまたまの不良品ではなかったろうと思う。実はそこが神の宿る細部なのだ。実は50年前に2400円程度で買った同社製の電気スタンドは、今も使えているほど作り込んだ製品だった。そのような実績が優良ブランドとしての地位を確立していた。ところが現在では、安易と思われる外注があり、それら末端を巡る毛細血管に十分なトップからの経営理念、新鮮な血液が伝わり、流れていたとは思えない。

 液晶テレビで一世を風靡していた大手家電メーカーもそうだ。東南アジアで作ったCDラジカセはすぐに駄目になり、高額の修理代が必要となり、糊付けされたパネルは剥がれた。明らかに糊付けの不良だ。日本人の仕事ならそのような不良は起きない。さらに取引があるからと営業担当者から頼まれて買った新製品というルームクーラーもほとんど使わないうちに不調で、修理して貰ってもなお使い物にならなかった。

 大きな事業の思いがけない挫折や、隣国の同業との円高ウォン安で価格競争に負ける前に、まさに製品の品質管理や経営の細部に、神が宿りたくなくなる状況があったのだ。

 同じような経験をされた人は多かろうと思う。駄目になるメーカーや販売店は、まずクレーム対応が悪くなる。イオンに吸収された大手スーパーマーケットも、セブンアイの傘下に入った大手デパートもそうだった。店員がお客相手にいばっていた。

 拡大戦略で、店長クラスの人材が希釈される。メーカーでは課長クラスの人材が枯渇する。平社員の方が大きな顔をして、所属長は振り回される。経営者は悪い情報に頬かぶりというより、細かい部分にこそ神が宿ることなど元々知らないのだ。何千何万単位の従業員のトップになる資格などない人間がやっていたのだ。

 「神は細部に宿る」まさに品質管理における警句でもある。「細かいこと言うな」ではなく、細かいことだからこそ拘らねばならないのだ。ブランド育成など、見せかけのテクニックで成せるものではない。品質第一に、顧客第一に幾霜年続けることではじめて確かなものになるものではないか。
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