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新、時事散歩 第12回

2024年05月04日 | ブログ
住友化学赤字決算

 化学会社の雄、住友化学が2024年3月期決算で3000億円余りの赤字決算で創業以来の危機的状況という。住友化学は愛媛県の別子銅山を起源とする企業であり、愛媛県新居浜市で、1913年、肥料会社としてスタートしているようだ。

 化学会社としては繊維工業を中心に発展した東レや旭化成などが有名であり、近年繊維工業と化学会社の棲み分けは明確ではない。いずこも関連多角化を進め、住友化学なども近年は医薬品分野にも事業展開しており、今回その医薬分野の不振が赤字の大きな要因であるらしい。

 住友化学は、三井石油化学(現、三井化学)と共に、昭和30年代初頭、日本初の石油化学工業をスタート(エチレンプラント稼働)させた会社で、現在その石油化学工業の採算性自体が大きく揺らいでいるらしい。

 私は愛媛県の工業高校の出身であるが、工業化学科の卒業生はトップクラスから毎年1名は住友化学に入社していた。私は住友化学への希望も学校からの推薦もなく、三井石油化学に入ったが、市原の工場では、1年先輩の知り合いの中で2名の方から、住友化学を受けて落ちて三井に来たと聞いた。高卒者にあっても、学業成績で住友化学の方が厳しかったようだ。

 私など団塊世代の先頭集団が60歳定年(多くは再雇用制度を活用して、最低2年は継続勤務)を迎えた頃、当時の住友化学の会長であった米倉氏が、おそらく総合化学会社としては初めて、経団連の会長に着かれたことは印象深い。現在の経団連の会長も住友化学出身である。

 確か住友化学は、米倉社長の時に、アラブに大きな投資をして、石油化学の原料としての原油の安定供給を図ったと見えたが、投資の現在の業績との関連は知らない。

 現在、日本の石油化学工業全体が厳しく、企業を超えての連携なども模索されているようだが、石油化学専業であった三井石油化学は、1997年総合化学会社といえる、三井東圧化学と合併している。合併を機会に、三井東圧化学の不採算部門を清算や子会社化して効率化出来、三井石油化学は総合化学会社として脱皮した。合併時は難産と思えたが、結果としては良かったのではないか。

 合併時の三井石油化学の社長と副社長はプライベートでは仲良しであったが、合併に対する意見は分かれていたようで、合併後、副社長は子会社の社長に抜けられた。三井石油化学という会社は、私が入社10期生の若い会社であったこと、三井三池炭鉱からの出身者も多く、厳しい労使紛争を経験しており、労務管理には注力していたように思う。工場人事課長時代の合併前の副社長さんには親しくさせていただいたし、その縁で当時工場技術部門の部長だった合併時の社長さんにも直接薫陶を受けた。

 お陰様で、三井化学は、最近日経ビジネスなどにも社内人事制度のことなどで取り上げられるようになっておりありがたいことだ。

 それにしても化学会社の雄である住友化学には、現状の難局を切り抜け、三井化学の好ライバル会社として、日本の産業界をリードしていただきたいものである。




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