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品質経営を考える その8

2019年03月22日 | ブログ
安心・安全

 ボーイング737MAX8機が昨年10月インドネシアで、この3月エチオピアで相次いで墜落した。事故原因は飛行ソフトにあり、機体の姿勢を測るセンサー不具合と推測され、両事故に類似性があるとのことで各国の航空会社は同型機の運行の停止に動いている。

 デジタル家電の部品数が数百点から数千点、自動車で3万から4万であるのに対して航空機となると小型ジェットで約70万点、旅客機ともなれば約300万点という。それらすべての部品の品質が良くなければ事故の確率は高くなる。

 昔(1986年1月)、スペースシャトルチャレンジャーが打ち上げ後まもなく空中分解して7名の宇宙飛行士がなくなった事故は未だに印象深いが、密閉用Oリングの破損が原因という。航空・宇宙産業の品質管理は僅かの緩みも許されない。

 いかに高度な機器であろうが、量産されるビスやボルト・ナットも使われるであろう。それらの1個に不具合があっても事故につながる恐れはある。いかに知価社会となろうが、ものづくりから生み出される機械、機器、器具が不要になることはなく、それらは安全な社会のベースとなるものだ。品質管理の重要性は益々高まっても低下する筈などない。品質経営を追求してこそ企業の成長がある。

 テレビや映画で池井戸潤氏の原作ものが好評だが、「下町ロケット」の無人トラクターの話にしても「7つの会議」にしても、使用しているボルトやネジの品質レベルを問うものになっている。人目につかないところで、ただ踏ん張っているだけのネジやボルトにまで心が通っていなければ大型のエンジンもトランスミッションも、航空機内のロッカーケースもその性能や安全性を十分担保できず、事故の誘因とさえなる。まさに「神は細部に宿る」のである。

 テレビ東京に、日本の職人が外国の貧しい地域の施設や公園を、無償で修理して回るという番組がある。ヨーロッパの最貧国の老人ホームでは、壊れて倉庫に放置された液晶のテレビを修理する。裏側を開放し電子回路の異常を目視で点検する。小さな部品に焼コゲを見つけ、取り外して交換する。テレビは見事に復活した。たった1cm程度の部品の不具合で、まだ新しいテレビは使い物にならなくなっていたのだ。

 同国の保育園では、唯一の暖房器具であったオイルヒーター(デロンギタイプ)が故障して、冬季閉園となっていた。見るからに使い古したものであり、修理できるものか疑問さえ涌いた。点検したところスイッチが壊れており、同じ型のスイッチは手元にない。職人は持ち合わせの照明用のスイッチで代替して見事暖房機能を復活させる。

 見かけの立派な大型家電でも、数百数千の部品、航空機は300万もの部品のひとつひとつで成り立っている。その一つ一つの部品に心をこめて作り込む品質管理を重視する経営がなければ、われわれの生活の安心・安全は成り立たないのだ。




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