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半世紀前の新入社員日記 第1回

2021年01月01日 | ブログ
プロローグ

 わが国の高度経済成長期の真只中、団塊世代の先頭集団である昭和22年生まれが、高校を出て社会人となった1966年から今年で55年。同期でも大学に進学した者は2割くらい居たのだろうか。高校1年生の年には舟木一夫さんの「高校3年生」が大ヒットした。高校2年生の1964年には東京オリンピックがあった。オリンピック景気に沸いたその年の就職戦線は完全なる売り手市場。1年先輩たちは、引く手数多の就活で、9社受けたという兵も居たそうだ。就職試験のための交通費も宿泊費も企業持ちで日当も出るのだから、元気盛りの17,8歳にとっては修学旅行の延長気分だったのかも知れない。

 オリンピックが無事終了した翌年は、一転求人を控える大手企業が多くなり、団塊世代先頭集団の高卒者就活は、就職難とまではいかないが、企業の選り好みが制約を受け、従来より規模の小さい企業にも就職せざるを得ない者も出る状況があった。

 そんな時代、中堅大企業の石油化学専業メーカーに就職した18歳の新入社員日記がある。会社から書くことを求められ、日々提出して担当者から検閲された日記だ。石油化学工業がわが国に国策として導入され、財閥系専業メーカーとして設立された企業の工場が稼働してまだ10年目の若い企業、工場での話である。当時の高度経済成長期のわが国にあって、企業が人材育成に重きを置いていた様が感じ取れるものだ。

 その後、急速なグローバル化の波とIT化の波を被り、わが国の企業経営も大いに揺れた。株主至上主義、株価による企業価値の評価、M&Aの拡張、人事評価制度の改革、終身雇用・年功序列制度の見直し、団塊世代の大量定年期を迎えた退職金制度の見直しや定年後の再雇用の制度化。

 円高で海外進出、現地生産、猫も杓子も中国また中国で、独裁国家を太りに太らせ、世界の主要な政治家や財界人までその罠に嵌り、抜き差しならぬ世界状況となった。

 日経ビジネスに連載されていた「世界の最新経営論・コトラー流「新常態のマーケティング教室」の最終稿で、フィリップ・コトラー博士は、現在の資本主義の致命的な欠陥を指摘し、人類が幸せになれる新たな経済指標が必要だと述べている。少なくとも私は自由貿易とは、自由と民主主義が担保されている国家間に限り有効なものであると考えている。「特定の国家を捉えて仲間外れにするべきではない」などのもっともらしい友好論を唱える識者も居るが、単に中国から何らかの恩恵を受けているか、弱みを握られている人物の屁理屈に過ぎない。

 わが国ではバブル崩壊後、企業経営の要諦があまりに米国化した。短期業績評価は、非正規社員の増大を生み、今や40%近くまで増えている。米国流の長所は長所として取り入れなければならないが、東京オリンピックが開催された当時の日本の企業制度の良い点は、あらためて再評価し、経済活動の最終的な目的を再確認し、その活動の在り方を再構築すべき時ではないか。

 古いノートに書かれている幼稚な文章からではあるが、当時を偲び、日本の復活の一助となればと公開する。




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