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続、品質管理再考第1回

2015年11月01日 | ブログ
品質月間と100周年

 毎年11月は「品質月間」。第56回となる今年のテーマは、「あなたが主役 みんなでつくる 感動と安心を!」。主催団体は、一般社団法人日本科学技術連盟、一般財団法人日本規格協会及び日本商工会議所。社団法人日本品質管理学会は後援団体で、日本商工会議所が主催団体というのは逆のような気がしないでもない。

 品質標語の募集も毎年行われているようで、今年は昨年(7,781件)を超える応募があった(7,814件)ようだ。入選作は特に転記禁止でもなかろうから、ここでもご紹介させていただくと、

・「手に取る人に感動を! 高い品質 優れた技術」
 入選者:奥山 泰明さん(株式会社日本ケイテム 天竜製作所)

・「品質づくりは ひとづくり 皆が主役の表舞台」
 入選者:中嶋 藍奈さん(共栄工業株式会社 品質保証課)

・「あなたがつくる品質で 安全 安心 確かな信頼」
 入選者:長尾 正人さん(株式会社安川電機ロボット事業部 品質保証部信頼性技術課)

・「あなたも主役、私も主役 全員参加の品質づくり」
 入選者:吉野 順さん(株式会社クボタ京葉工場 市川事業所鋼管製造部研究・生技グループ)

・「届けたい お客様へ安心を 一人ひとりのプロ意識」
 入選者:渡邉 瑞浦さん(福島キヤノン株式会社 コンポーネント製造第二課)

以上5作である。入選者氏名五十音順。

 品質管理にとって今年は、石川馨先生の生誕100周年の記念の年にあたる。9月28日には東京大学本郷キャンパスの伊藤国際学術研究センター伊藤謝恩ホールで、100周年記念国際シンポジウムが開催されている。来場者は約260名。国際シンポジウムというだけに、わが国は勿論、台湾、インド、英国、米国から石川先生の指導を受けたという方々の講演があり、その業績を称えていた。それらの講演を聴いていると、この世界にノーベル賞はないが、その国際的な貢献からも匹敵するものがあるのではないかと感じるほどであった。

 1980年米国のNBCが「If Japan can…Why Can’t We?」(日本に出来て、なぜわれわれに出来ないのか?)というドキュメンタリーを流し、W・エドワーズ・デミング博士やジョセフ・M・ジュラン博士の日本での活躍を全米に知らしめたという話は有名であるが、その後、当時経営コンサルタントであったデミング博士へのオファーが急激に増加したというのも痛快である。

 1954年、統計学者であったデミング博士の8日間のセミナーを受講した石川先生ら受講生はまさに「目から鱗」であったのであろう。石川先生は博士の来日の翌年1955年に日科技連から『管理図法』を刊行されていたそうだが、先生は直弟子の久米均先生(現、東大名誉教授、日本適合性認定協会理事長)にその本を兎に角3回読めと言われたそうだ。

 管理図は、1924年、米国の物理学者、統計学者であったウォルター・A・シューハート(1891-1967)が手がけたものであり、これが品質管理の始まりと言われている。

 戦後のわが国産業の揺籃期、統計的品質管理などほとんど知られておらず、その分野でも欧米にはるかに遅れていたのだ。しかし、その僅か四半世紀後、米国のテレビ局が嘆きと共にその要因を探ろうとするほど、わが国の工業製品の品質は向上した。石川先生はじめ東工大の水野滋先生や東大の朝香鐡一先生、それに続く、今もご活躍の先述の久米先生、東京理科大の狩野先生、東大の飯塚先生などなど、品質管理の先達のわが国の戦後産業の隆盛に寄与し、貢献している功績は大きい。


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