二足のわらじ
国会議員の2012年分所得が公開され、平均で2,006万円は5年ぶりの増加だという。もっとも所得トップは3億3,263万円というから、平均で論ずるより中央値か最頻値で論じる方が実態を表すと思われる。それにしても2位以下は億円に届いておらず、所得隠しが上手になったのか、政治家には富豪が少なくなったのか。
これらのニュースに付随して、今月投票が行われる参議院選挙立候補予定者の高所得者のランキングも出ていたけれど、議員活動をしながら会社社長や大学教授、弁護士など「二足のわらじ」を履き続け、その副業で議員歳費(1871万円)を超える所得を得ている議員もいるというのには驚いた。
政治家であっても、保有する資産から得られる所得や政治活動余暇に執筆活動や講演、テレビ出演などからの報酬を得ることまでは悪いことではなく、会社関係でもせいぜい顧問的な立場、大学の先生も非常勤で月1回程度講義に出向くくらいでそれぞれ相応の報酬を得る程度までは許容範囲だと思うけれど、現役の経営者や大学教授、または弁護士などとほぼ同等の活動をしながら国会議員だというのはいかがなものであろうかと思う。
確かに国会議員の報酬は、一流会社の役員や一部芸能人やスポーツ選手、著名な弁護士や公認会計士などと比べれば見劣りするかもしれないが、元々そのような地位を捨ててでも国家国民のために奉仕しようというので国会議員になったのではないのか。弁護士や大学教授、企業経営者の職に未練があるなら、きっぱりと議員の椅子は返上すべきである。
国会議員は、国会会期中に国会に出て、所属する政党や政治グループが推す法案に賛成票を投じるだけが仕事ではなかろうと思う。法案を自ら作らないまでも、提出された法案を吟味し、関連の勉強をし、国家国民のために本当に必要で役立つものかどうか議員個人でも結論を得て採決に臨むべきであろう。それだけでも相当の労力と時間が必要であると思う。また、日頃から幅広い人脈作りも必要である。選挙の際の票田にするためではない。事ある際にどこを突けばどれだけの人々が国家のために動いてくれるかのネットワークを持つためである。ここが抜ければいくら個人で能力があるようでも政治家とは言えない。
確かに国会議員といえど、昔の金権政治が普通に行われていた時代と異なり、国から支給される歳費だけでは選挙活動費も嵩むことで、清廉な政治家は副業でもなければペイしないのかもしれないが、そう考えるなら大学教授や弁護士や会社経営者に返るべきだ。
もっとも政治家を選ぶのは国民であり、弁護士先生であろうが会社経営者であろうが、被選挙権はあるし、そのような兼業者でも国民がいいというならそれもいい。前の東京都知事は都知事時代も一部作家活動もされていたようだ。しかし選挙民はそのことも十分承知で彼に投票していた筈だ。来るべき参議院選挙には、各候補者はすでに昔からやっているのかも知れないが、ポスターに副業を明記すること。政党は比例区で公認する場合、その旨そのことを国民に周知すべし。それでなお、国民が選ぶのであれば民主政治にそれ以上の拘束はない。しかし、公務員は副業禁止ではなかったのだろうか。大企業などの多くは明確な副業は禁止していると思うのだけれど。国会議員に許されるに理由があるのだろうか。
本稿は、7月1日(月)読売新聞夕刊の記事からの情報によります。
国会議員の2012年分所得が公開され、平均で2,006万円は5年ぶりの増加だという。もっとも所得トップは3億3,263万円というから、平均で論ずるより中央値か最頻値で論じる方が実態を表すと思われる。それにしても2位以下は億円に届いておらず、所得隠しが上手になったのか、政治家には富豪が少なくなったのか。
これらのニュースに付随して、今月投票が行われる参議院選挙立候補予定者の高所得者のランキングも出ていたけれど、議員活動をしながら会社社長や大学教授、弁護士など「二足のわらじ」を履き続け、その副業で議員歳費(1871万円)を超える所得を得ている議員もいるというのには驚いた。
政治家であっても、保有する資産から得られる所得や政治活動余暇に執筆活動や講演、テレビ出演などからの報酬を得ることまでは悪いことではなく、会社関係でもせいぜい顧問的な立場、大学の先生も非常勤で月1回程度講義に出向くくらいでそれぞれ相応の報酬を得る程度までは許容範囲だと思うけれど、現役の経営者や大学教授、または弁護士などとほぼ同等の活動をしながら国会議員だというのはいかがなものであろうかと思う。
確かに国会議員の報酬は、一流会社の役員や一部芸能人やスポーツ選手、著名な弁護士や公認会計士などと比べれば見劣りするかもしれないが、元々そのような地位を捨ててでも国家国民のために奉仕しようというので国会議員になったのではないのか。弁護士や大学教授、企業経営者の職に未練があるなら、きっぱりと議員の椅子は返上すべきである。
国会議員は、国会会期中に国会に出て、所属する政党や政治グループが推す法案に賛成票を投じるだけが仕事ではなかろうと思う。法案を自ら作らないまでも、提出された法案を吟味し、関連の勉強をし、国家国民のために本当に必要で役立つものかどうか議員個人でも結論を得て採決に臨むべきであろう。それだけでも相当の労力と時間が必要であると思う。また、日頃から幅広い人脈作りも必要である。選挙の際の票田にするためではない。事ある際にどこを突けばどれだけの人々が国家のために動いてくれるかのネットワークを持つためである。ここが抜ければいくら個人で能力があるようでも政治家とは言えない。
確かに国会議員といえど、昔の金権政治が普通に行われていた時代と異なり、国から支給される歳費だけでは選挙活動費も嵩むことで、清廉な政治家は副業でもなければペイしないのかもしれないが、そう考えるなら大学教授や弁護士や会社経営者に返るべきだ。
もっとも政治家を選ぶのは国民であり、弁護士先生であろうが会社経営者であろうが、被選挙権はあるし、そのような兼業者でも国民がいいというならそれもいい。前の東京都知事は都知事時代も一部作家活動もされていたようだ。しかし選挙民はそのことも十分承知で彼に投票していた筈だ。来るべき参議院選挙には、各候補者はすでに昔からやっているのかも知れないが、ポスターに副業を明記すること。政党は比例区で公認する場合、その旨そのことを国民に周知すべし。それでなお、国民が選ぶのであれば民主政治にそれ以上の拘束はない。しかし、公務員は副業禁止ではなかったのだろうか。大企業などの多くは明確な副業は禁止していると思うのだけれど。国会議員に許されるに理由があるのだろうか。
本稿は、7月1日(月)読売新聞夕刊の記事からの情報によります。