旅行にもっていく本の話

先日、スウェーデンのアビスコというところにいきオーロラを見てきた。
オーロラは雲がでると見られない。
賭けだったけれど、北極圏にいるあいだ1日いい天気の日があり、その晩運よく見ることができた。

それはともかく。
旅行にもっていく本は悩ましい。
じっさいいってみると、もっていった本を読むということはそうない。
それはわかっているのだけれど、もし読み終わり、読む本がなくなることを考えると恐ろしい。
しかも、いき先は外国だから、新たな本を手軽に手に入れることもできない。

旅行にもっていく本の条件というのを考えてみた。

・軽いこと。つまりハードカバーよりも、文庫。しかも、なるべく薄いものがふさわしい。
・面白いこと。
・しかし、つぎのページが気になるほどは面白くないこと。
・すぐ読み始められ、すぐ読み終われること。
・内容が重たくないもの。
……

で、考えたすえ、もっていったのは「ベーオウルフ」(岩波文庫 1941)。
上記の条件すべてにあてはまると同時に、読みかけだったし、舞台はこれから訪れる北欧だから、ちょうどいいだろうと判断。
さらに、これまた読みかけだった「世界短編傑作集」(創元推理文庫)ももっていった。
けっきょく、「ベーオウルフ」を全部読み終えないうちに帰国。

一緒にいった知人は、「ユニオン・クラブ綺談」(アイザック・アシモフ 創元推理文庫 1999)をもってきていた。
ナイスチョイスだ。

「ベーオウルフ」は帰国してから読了。
去年、同タイトルの映画を観てから気になって、原作を手にとってみたのだけれど、読んでみると、原作のどの要素をとりだして、映画に仕立て直したのかがよくわかる。
映画で、怪物グレンデルの母親を中心にして物語を構成し直しているのはうまいアイデアだと思った。
逃れられない運命を感じさせるこの構成は、原作の訳注にもあるように、アングロ・サクソン人が好んだ悲哀の感情を増幅するだろう。

ただ、映画自体の出来がいまいちで、やたらと服を脱ぎたがるベーオウルフの印象しか残さないのは、作品ぜんたいがこのアイデアによりかかりすぎているせいかもという気も。

原作では、ベーオウルフが死んでからもけっこう続く。
古典というのは、読んでいると突然リアリティを増すことがあり、このあたりにそういうものを感じて、面白く思った。


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コメント
 
 
 
Unknown (kazuou)
2008-03-23 14:51:35
北欧旅行に「ベーオウルフ」というのもお誂え向きですね。
旅行にもっていく本の選択は、悩みますよね。僕も、以前、阿刀田高の本ばかり7、8冊持って行ったら、すっかり飽きてしまったことがあります(笑)。というわけで、僕の場合は、旅先に持って行く本の条件に「ジャンル・傾向がなるべくバラバラ」というのを加えたいと思います。
 
 
 
海外でも (タナカ)
2008-03-24 02:53:28
本の選択は悩みましたね。
せっかくもっていってもほとんど読まないんですが。
寝る前に読もうとして、明かりをつけたまま寝ちゃってたりして、なにやってんだかなあという。

海外にいっても、本屋や古本屋や図書館があるとのぞいてしまうんですが(読めないくせに)、ストックホルムの本屋では、日本語に訳されたスウェーデンの本、ピッピやニルスがおかれていました。
読む本なくなったらどうしようなんて杞憂でした。
また、街の公共図書館の充実ぶりにはびっくり。
これなら消費税25%払ってもいい。
「ドラゴンボール」や「ふしぎ遊戯」といった、スウェーデン語に訳された日本の漫画までありましたよ。

kazuouさんが書いてくれた条件、バラエティに富んだ本をもっていくというのも重要ですね。
一緒に旅行にいく相手がいたら、手分けするのもいいかも。
でも、7、8冊もっていったというのはすごいです。
それだけで、ひと荷物ですよ。
 
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