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煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

ジュノー、ジュピターを暴く旅

2011-08-13 23:19:21 | 科学

前エントリーの火星に続いて、
今度は木星のお話である。

8月5日付 TIME.com

Jupiter Bound! Juno Heads for Deep Space 木星めざして!Juno は深宇宙に向かってゆく。
By JEFFREY KLUGER

Jupiter2

Jupiter

2011年8月に地球から打ち上げられた Juno 宇宙船は2016年に木星(Jupiter )に到着し、楕円状の極軌道からこの巨大な惑星を調査する予定である。

 5日、人類初のレゴ・フィギュリンを宇宙に送り出すという歴史的偉業を NASA は成し遂げた。それはウェブを駆けめぐっているうわさであるが、100%正しいので、まずそのことについて片づけておくことにしよう。8月5日の東部標準時午後12時25分に、Juno 宇宙探査機は Cape Canaveral(フロリダ)から打ち上げられ、2016年の木星への到達をめざした。同機にはレゴの関係者によって作られたローマの神 Jupiter、その妻 Juno、さらに1610年に木星の4つの大きな衛星を発見した Galileo-Galilei(ガリレオ・ガリレイ) の3体のフィギュリンが搭乗しているのである。
 さらにいくらか優雅なことに、イタリア宇宙局から提供された小さな飾り版がこの宇宙船の推進室にとりつけられていた。その飾り板にはこの偉大な天文学者 Galileo 自筆の日記が記入されているだけでなく彼の手による自画像が描かれている。その日記には彼によって衛星の発見が記載されている。『木星の周りにはこれまで誰にも見ることのできなかった3つの動く星が存在しているのは確かである』(その後彼は4つ目を発見している)。
 そういった装飾品は、無人宇宙船の打ち上げが多くの注目を得るためにしばしば用いられるものである。しかし Juno が着手しているミッションは、その宇宙船そのものだけでなく、多くの理由によりそれらよりはるかに報道価値があるのである。
 他のすべての惑星を合わせた2倍の質量がある木星は単に太陽系で最も大きな惑星というだけではない。それは一種の原始の世界と言えるものであり、最古の日々からほとんど変化していない。このようにして、それは太陽系初期を生で見ることを可能にし、岩でできた、より小さな惑星である水星、金星、火星、そして注目される地球がどのようにして形成されたかについての重要な手がかりを与えてくれる。木星について学べば学ぶほど、私たちは自分たち自身を学ぶことになるのである。
 Juno が木星に向かって飛行する最初の宇宙船になるというわけでは決してない。パイオニア10号、11号、さらにボイジャー1号、2号が1970年代に同惑星をスウィング・バイ(惑星の重力に吸収されることによって加速しながら進むこと)している。Galileo探査機は1995年から2003年まで同惑星の軌道に8年間載り、プローブを渦巻く雲の中に突入させるなどして、木星について詳細な調査を行った。それらのミッションは木星の科学や構造について多くの疑問に答えたが、答えが得られなかった多くの事柄も残された。例えば、この惑星が完全にガス状なのかそれとも固い核を有しているのかは誰にもわかっていない。木星の美的特徴となっている色鮮やかな帯や巨大な赤い斑点の向こう側には何があるのか、そして、それらがどれほど深くまで下層の大気まで伸展しているのかは、同じくまさに謎のままである。
 さらに興味深いことは木星の強力な磁場の作用である。木星の大気中の強い圧力によってその水素の一部に、少なくともその分子構造において金属特性(液体金属水素として存在)が獲得され、このことによって同惑星の極地帯に爆発的に明るいオーロラを生みだす磁力の供給が促進される。Juno は極軌道と呼ばれる軌道に入る予定である。これは、ほとんどの宇宙船が惑星の胴周りを飛行するおなじみの経路とは90度交叉する軌道であり、木星の最も高緯度と低緯度の初めての画像を我々地球人に提供してくれることになっている。
 そういった写真は少なくとも世間では今回のミッションの最大の目玉となるだろう。しかし、科学者たちはむしろこの宇宙船の他の装置によって集められるデータに関心を持っている。それには大気深部の状況を測定するための、プラズマおよび粒子の検出器、紫外分光計、赤外分光計あるいはマイクロ波放射計などがある。
 地球から最大6億マイル(9億7千万キロ)の距離でそれら多くのハードウェアを作動し続けることは探査機を目的地まで到達させるまでの5年の間も、木星を33回の周回を行う1年間も容易ではないだろう。現在土星を周回中の Cassini 探査機は船内に原子動力を搭載しているが、それは、そこまで遠く離れていると太陽エネルギーは実用的ではないからである。地球で得られる太陽光の25分の1しか得られない木星が土星よりかなり明るいということはない。しかしソーラー技術の開発によって、旧モデルに比べて50%以上効率の良い集光パネルが作られている。それは Juno が必要とする動力源のほとんどすべてを供給できるに違いない。というのも、特にその主たる観測とそれにかかる最大のエネルギー需要は11日間周回毎に約6時間を占めるに過ぎないからである。
 もし Galileo 探査機のミッションが何かの方向性を示すものとなれば、Juno は恐らくその予定された軌道寿命年数以上に多くのことを得ることになるだろう。NASAは伝統的にその宇宙船の能力を低く見積もってきたが、それは国民の期待を牽制することと、任務の計画者に対して調整しやすい遂行リストを与えることの両方の目的がある。そのようなチェックリストが完全に成されれば、正しく機能している宇宙船には通常さらなる使命が与えられるのである。
 Juno が最終的にその業務を何とか遂行した場合、恐らく Galileo がたどった劇的な最期を迎えることになる。木星の衛星の一つ、特に水が存在する Europa との衝突を阻止するために Galileo は木星そのものへの死の突入を余儀なくされた。同衛星が地球からの微生物によって、存在が考えられる木星の生命体が汚染を被る可能性があったからである。巨大な世界を調査するためにやってきた宇宙船はこのようにしてその一部となったのだが、今日地球を飛び立った宇宙船も同じ運命をたどることになるだろう。

よくわかっていたようでいて
実はよくわかっていなかった木星。
太陽系の惑星中、
最大の大きさと質量を持つ木星は、
表面を覆う厚いガスがこの惑星のどこまでを
占めているのもわかっていない。

木星の衛星にもし生命体がいるとすれば、
宇宙船 Juno はそれらにとって
UFO ということになる。
向こうの環境を汚染させてはいけないという
配慮は宇宙マナー?
Juno の木星到達まで5年を要するが、
新たな発見が待ち遠しいところである。

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