バージニア州にあるアーリントン国立墓地は
1864年に設立された米国最大の国立墓地
ならびに戦没者慰霊施設である。
無名戦士の墓を除けば
基本的にはここのすべての埋葬者の身元は明確で
各墓石には厳密な識別番号が刻印され
管理されている、はずだった…。
この墓地で身元不明の遺骸が数体発見され、
この墓地の威信をかけて(?)
米陸軍によって必死の捜査が行われている、
というお話。
Identity of Arlington Cemetery remains might rest on Army search for girl in photo アーリントン墓地の遺骸の身元確認は、陸軍による写真の少女の捜索が頼り?
By Christian Davenport
この写真の少女は短い青い衣装を着た若くてしなやかなフィギュアのスケーターであり、氷の上でポーズをとっている。背中を反らしながらも頭部を高く保ち、右腕はピンと伸ばしており、Degas(ドガ)の絵に見るバレエの踊り子のようである。
ところで、彼女は一体誰なのか?この写真は、灰が詰められていた骨壷の中のビニール袋の中から発見された。
もし陸軍特殊捜査官が彼女の身元を突き止めることができたなら、ほぼ一年前に集団墓地が発見されて以来アーリントン国立墓地で未解決となっているミステリーを解き明かすことができるだろう。
この写真は灰の詰まった骨壷の中のビニール袋に入っていたのを発見された。その真鍮色の骨壷は、一人だけが埋葬されていると思われていた墓で見つかった8体の火葬遺骸の中の一つである。
それらの骨壷につけられたプレートに刻まれたマーキングを頼りに、アメリカ陸軍の捜査官たちは、それらの遺骸のうち3体の身元を突き止めた。そして、その他の4体の身元は解明不能であると結論した。
8体目は例の写真とともに骨壷に入れられていた。もし彼らがその少女の身元を明らかにすれば骨壷に入っている人物を同定できるだろうと捜査官たちは考えている。
しかし彼らが手にしているのは、 雨風にさらされたぼやけた一枚の写真だけであり、答えられない多くの疑問がある。彼女は死亡した退役軍人の親戚―おそらく娘、孫娘なのか?時々行われるように、彼女に亡くなった身内のそばに永遠にいてほしいと願って彼女の家族がその写真をその骨壷に入れたのだろうか?その遺骸が彼女そのものであるという可能性は?それとも恐らく彼女はまだ生きているのか?
「我々にはどうにもわかりません」と、陸軍犯罪捜査部(CID)の広報官 Christopher Grey 氏は言う。
10月のこの集団墓地の発見は、恐らくこの国立の第一級の軍の墓地におけるスキャンダルとして最もひどい問題となっている。標記を誤った、あるいは標記のない墓と、間違った場所に埋葬された人たちが調査員たちに発見されたからである。
新たな墓を掘るように指定された場所に人が埋められていることを知らないまま、いくつかの骨壷が墓地の職員によって誤って掘り出されていたことも明らかにされた。FBI とともに、米陸軍の犯罪捜査部(CID)は出土された骨壷が隠蔽工作としてこの集団墓地に隠されたものかどうか捜査している。こういったアーリントンの失態によって議会は、そこの32万の墓を完全に明らかにするよう同墓地に求める法律を通すことになった。
今回の骨壷のうち3つには、風雨にさらされた数字やイニシャルや部分的な単語が書かれた金属プレートがついていた。
捜査官らは国内の火葬場の名称のチェックを開始し、プレートの名前と類似した文字のある場所を見つけ出そうとした。数週間を要したが、捜査官らはその骨壷をそれらの火葬場と照合することができた。それから、彼らは再埋葬された遺骸の身元を明らかにするためにその数字を用いた。
時に人は骨壷に記念の品を残すが、身の回りの品を棺に残すのがより一般的であると、葬儀業者は言う。若いアイス・スケーターの写真があったことから、この8番目の遺体を確認するための確かな手がかりが得られたと捜査員らは考えた。その写真の撮影当時11才から13才と推定される少女の顔だけでなくその背景までが手に入っていたのである。彼女はアイス・スケートのエキシビションあるいは競技会に出ているように見えるのだ。
彼女が誰であるかを知っている人間は確かにいるだろう。
しかしどのようにして彼女を見つけるべきか?
彼らはまずその写真をきれいにすることから始め、その後それを引き伸ばした。それによってその少女の背後のスケートリンクの壁の広告が明らかになった。一つはヒルトン・ホテルのものだった。そしてもう一つは安全運転キャンペーンを推進するものだった。
それで、彼らはヒルトンに電話をかけるとともに、さらにアイスリンクに安全運転キャンペーンの広告を出している組織を探すべく国内を調査したと、Grey 氏は言う。そしてついに、2ヶ月ほど前、ヒルトンと同時期にスケートリンクに広告を出していた運転協会を突き止めた。
それによって、時間枠が絞られた。その広告は1999年3月から2000年3月まで掲示されていた。つまり、その少女は現在20才代前半となっていることを意味すると、Grey 氏は言う。そして最も重要なことに、それから場所が割り出された。それらの広告はフィラデルフィア郊外のペンシルベニア州 Aston にある Ice Works と呼ばれるスケートリンクに掲示されていたのである。
これは彼らの突破口だった。Fort Myer を拠点とする特殊捜査官たちは北に向かい、唯一の手がかりを追った。彼らはそのスケートリンクの色んな人たちにその写真を見せた。そこのスタッフ、ホッケー選手、フィギュア選手、あるいはコーチたちである。しかしその少女を知っているものは誰もいなかった。
彼らは再び戻り、さらに多くのチラシを配布した。彼らは国中のスケート団体に問い合わせた。数週間が過ぎた。10年以上前にそこでスケートをしていたと思われるこの少女を知っているものはいなかった。恐らく彼女は市外からやってきて、そのリンクが長年行っている多くの競技会の一つでスケートをしていたのだろうと彼らは考えた。
このスケートの複合施設は4つのリンクを持っており、フィラデルフィア地区だけでなく国中から人々が集まってくる。年間2つから3つのフィギュアスケートのイベントが開催され、7月には一週間以上にわたって行われるイベントがあり、あらゆる年代のスケーター 1,000人が集まってくると、Ice Works の総支配人である Stephane Charbonneau 氏は言う。同氏によると年間約300万人がこの施設を利用しているという。
「あらゆる種類のトーナメントが行われます」と彼は言う。「フロリダ、ミシガン、カナダなどあらゆるところから人々はやってくるのです」
そのため、この若いスケーターの身元を明らかにすることは困難となっている。
他の手がかりもなく行き詰まりの状態と目されることから、誰かが申し出てくることを期待して、陸軍は Washington Post 紙にその写真を公開することに同意した。
これが誰であるかを見つけ出すために我々ができることすべてをすることが間違いなく必要なのです」と、Grey 氏は言う。
それらの遺骸の身元確認の努力を捜査員たちは続けてはいるが、その骨壷は『身元不明者』として同墓地に再埋葬されていると、彼は言う。しかし、その墓石があくまでも一時的なものとなり、ほどなく名前のある墓石と置き換えることができることを墓地関係者らは期待している。
情報をお持ちの方は電話番号 703-696-3501 Army CID までお電話を。
どことなく隠蔽の臭いがする怪しい遺骸の壺の中に
スケートをする美少女の写真…。
一体誰が由緒あるこの墓地に非正規に遺骸を置き、
何の目的でそこに少女の写真を置いていたのか?
…と、どうやらこの記事が出た後すぐに、
事態に進展が見られたようである。
この続きは、次エントリーにて。
乞うご期待!
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