MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

『おばあちゃん、お変わりない?』

2008-12-02 08:40:32 | 健康・病気

たとえば高齢の女性の患者さんに具合を聞くとき、

「おばあちゃん、お加減はいかがですか?」と問いかけてはいけない。

姓名できちんと呼びかけるのが礼儀である、とは、

これ医療現場の常識。

相手に敬意を払いながら接することで、

良好なコミュニケーションが築かれる。

いきなり若い看護師に「おじいちゃん」「おばあちゃん」などと

呼びかけられて「あんたはわたしの孫じゃない!」、

と気分を害する人もいるだろう。

「なれなれしい」と「親しみ深い」は明確に区別されるべきだ。

しかし、そんな呼びかけは、絶対にアウトなのだろうか?

この「おじいちゃん」「おばあちゃん」に近いニュアンスの

高齢患者への呼びかけ方として、イギリスでは、

"dearie" (親愛なる人)とか "love" (愛する人)などがあるようだ。

同じく高齢患者の尊厳を損ねる呼び方であるとして非難がある。

BBC NEWS からの記事を紹介しよう。

11月26日付 BBC NEWS

Stop using "dearie", nurses told
“いとしい人”は使用禁止、看護師らへ勧告

Nurses_2

お年寄りを "dearie" とか "love" で呼ぶことが好ましくないとして看護師助産師協会(NMC)からの新しいガイドラインによって認められないこととなりそうだ。

看護師は礼儀正しく敬意を持って話すべきであり、患者が望む名前で呼びかけなければならない、と同協会は勧告する。

なお、もし愛称が日常会話の一部となっている場合には、一定範囲使われてもよいかもしれない。そういった言葉が全く排除されたら異様な状況になるかもしれないからである、とガイダンス案には書かれてある。

イギリス保守党は、こういった指導は『ばかげている』と評した。

Guidance for the Care of Older People(高齢者看護のガイダンス)は来週のNMCの承認を待つところであるが、同ガイダンスは、人を見下すような行為をとらないよう勧告している、と Nursing Standard magazine は明らかにした。

Dignity drive 尊厳重視の方針

効果的なコミュニケーションは看護師が身につけるべき最も重要な技量の一つであると同ガイダンスは述べている。

コミュニケーションの欠如は重大な結果を招き、看護師と高齢者の関係を損なうこととなる。

このガイドラインは高齢者の観点を中心に作成され、看護における尊厳保護という政府の方針に適っている。

看護師は、高齢者に話しかけることによってだけでなく、彼らの訴えを聞くことによっても、意思疎通を図るべきであると、同ガイドラインには書かれてある。

また、看護師と助産師は、『一人の人間として人に接し、彼らの尊厳を重んじ、彼らの看護を最優先に考えなければならない』。

そうすべきであることを知っている看護師が大部分であるが、いつも守られているわけではないことをNMCは承知しているという。

Benchmark 基準

NMCの女性広報官は言う:「このガイダンスには、高齢者が看護を受ける時に期待することが示されていて、看護師や助産師が、最も関わりをもつ問題への重点的な取り組みを支援する枠組みが構成されています」

このガイダンスを、貧弱な看護基準の再検証に用いたり、スタッフ業務の判断基準として用いたりすることが可能です、と彼女は述べた。

ガイドラインは、患者プライバシーの尊重から、必要に応じた十分な流動食補給の支援や身の回りの衛生管理などの基本的な看護の提供までを包含する内容を網羅している。

王立看護大学 Royal College of Nursing(RCN)の主席事務総長である Peter Carter 医師は言う。
「私たちは全面的にこのガイドラインを支持します。人はみな尊厳と尊敬の念をもって扱われる権利を持っており、それは医療に関しても変わるところはありません」

「患者さんがどのように呼んでもらいたいかを看護師が彼らに尋ねるべきだということを、私たちはすでに長い間、言ってきています」

RCNの尊厳キャンペーンは、すべての看護師が、それが時として困難な状況にあっても患者さんに満足に感じてもらえるような手段を確実に講ずることができるようにしようというものです。礼儀正しく患者に呼びかけることは、スタッフが看護の向上を可能にしたり、向上をめざす気持ちにさせる小さな一歩なのです」

Age Concern (NPO エイジ・コンサーン)の女性広報官は言う:「病院のスタッフが高齢者にどのように話しかけるかは小さなことですが、彼らの要求や要望を斟酌することの重要な一部なのです」

2,000 人以上を対象とした最近の調査では、10人に8人の看護師は、患者が受けるに足る尊厳を持って看護できないと悩みながら職場をあとにしていると報告されている。

しかし、陰の厚生大臣 Anne Milton (保守党議員)は言う:「この指導はばかげており、看護師の専門的技術や患者の要求の理解に対して正当な評価がなされているとはいえません」

「私たちはみな、患者が尊敬と尊厳をもって扱われる最高水準の看護に出会いたいと思っています。しかし、親愛の情を表す言葉を使うことがそういったものに反してしているとはいえません」

「このようなガイダンスは、ほとんどの人が行きすぎた世界と受け取るだろうと私は思います」

日本で、赤の他人に「いとしい人」なんていったら

気持ち悪いだけだろうが、

ここに出てくる "dearie" などの呼びかけ方が、

日本でいう「おじいちゃん」「おばあちゃん」と、

相手に与える印象がどのくらい違うのかはわからない。

しかし、どちらも親愛の情を込めた呼び方という意味では

大差はないだろう。

すでにお互い良好な関係が築かれていて

当人の受け入れがあるなら、

くだけた呼称が許されるケースもありそうだ。

患者さんをどのように呼ぶのが最適かは、一律には決められず、

臨機応変に行われるべきだと思う。

ただし医療者側の勝手な判断で行われることは禁物だが…。

しかし、それほど呼びかけ方がコミュニケーションに影響を及ぼすなら、

やはりあらかじめ

「どのようにお呼びしたらよろしいでしょうか?」と

一人ひとり確認しておくべきなのだろうか。

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