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煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

トミー・ジョン手術の功績

2012-05-01 23:40:37 | スポーツ

ボストン・レッドソックスの松坂大輔…
今シーズンはついぞその名前を聞くことがない。
彼は右肘の故障で
2011年6月にトミー・ジョン手術を受けているのである。
で、このトミー・ジョン手術とは一体何か?
(ちなみにBOSS の CM で味を見せている
トミー・リー・ジョーンズとは全く関係ない [笑] )
この手術にトミー・ジョンという名前がつけられているわけを
是非お読みいただきたい。

4月24日付 CNN.com

Tommy John accepts role in baseball and medical history Tommy John(トミー・ジョン)はベースボールと医学史における役割を受け入れている
By Todd Sperry, CNN

Tommyjohn
1989年、ワインド・アップする Tommy John 投手:尺側側副靭帯再建術と呼ばれる先駆的手術に彼の名前がつけられている

(CNN)Tommy John はメジャーリーグで 26 シーズン投げたが、彼の生涯先発数 700回は歴代メジャーリーグ投手中8番目の記録である。
 しかし、マウンドでの彼の不朽の遺産をさらに凌ぐこととして、彼の故障の話、すなわち、彼が耐え抜いた先駆的手術とリハビリテーション、そして、以後、何百人もの選手に影響を及ぼしてきた彼の名前を冠した手術がある。
 今日、スポーツファンや選手たちは “Tommy John 手術” という言葉を耳にしてもたじろぐことはない。これは、もはや選手のキャリアを終わらせるものと見なされることはないのである。
 MLBDepthcharts.com(http://www.mlbdepthcharts.com/)によると、現在メジャーリーグで、Tommy John 手術を受ける予定、あるいはすでに受けた現役の野球選手は29人に上るという。それらの中には先週土曜日にメジャーリーグ球史上21人目の完全試合を飾ったシカゴ・ホワイトソックスの Philip Humber(フィリップ・ハンバー)もいる。彼は2005年に Tommy John 手術を受け成功している。その他にも、先週49才(と151日)で勝利しメジャーリーグでの最年長勝利投手となったコロラド・ロッキーズの Jamie Moyer(ジェイミー・モイヤー)がいる。
 医学的には尺側側副靭帯再建術と呼ばれているこの手術は、医師により、前腕、ハムストリング、臀部、あるいは膝など身体の他の部位から腱を採取され、肘の内側の靭帯をその移植片で置き換えるという移植手術である。2ヶ所の穴が患者の前腕の骨にドリルで開けられ、パターンでその2つの穴の間に8の字に似たパターンで移植腱を張る方法である。
 さて、自分の名前がそのような知名度の高い医学的手技の同義語となることについて John はどう思っているのだろうか?
 「この手術で完全試合も達成できるということがわかっていたなら、私はもっと必死に努力していたことでしょう」現在68才の John は冗談めかして言う。彼がこの手術について話すときには、躊躇なく Tommy John 手術と呼び、この手術が自分の名前で呼ばれるのは名誉なことであると言う。
 1974年7月17日、当時31才だった John はロサンゼルス・ドジャーズの投手として、モントリオール・エクスポズ相手に投げていた。彼は運命の瞬間を思い起こす。
 「ファーストとセカンドにランナーがいました。バッターにシンカーを打たせてゴロでダブルプレーを取り、無得点で逃げ切ろうとしていました。私はシンカーを投げたのですが、投げた瞬間、私は焼けるような痛みを感じ、投球はホームベース上方を通る山なりのボールとなったのです。そして私は言ったのです。『なんてこった、俺は何をした?』と」
 ゲームから降りる前に、彼はもう一球投げようとしていた。
 しかし「私はベンチに戻り、上着を取り、トレーナーにこう言いました。Billy、Jobe 医師を呼んでくれ、変なんだ、Jobe 医師を頼む、と。その後のことは皆さんご存知の通りです」と、John は言う。
 Frank Jobe 医師はロサンゼルス・ドジャーズの整形外科医で John の親友だった。いくつか検査をした後、Jobe はこの投手に辛い知らせを行った。もし手術を受けなければ、2度とメジャーリーグでベースボールはできないだろうと。John にしてみれば、それは思いも寄らないことだった。Jobe を信頼し、彼を親友だと思っていたものの、その手術は専門医にも行われたことはなかったのである。
 「彼は、行おうとしていたことを私に告げました」と、John は思い起こす。「彼はこう言ったのです。『それが骨から引き抜けたのであれば、我々がすべきことはそれを骨に再び取り付けることであって問題はない。しかし、そうでなかったなら、腱を君の右の前腕から取ってきて左の肘に植え込まなければならなくなるだろう』と」
 大学で数学を専攻していた John は外科医であるこの友人に成功の確率を訪ねた。Jobe はその確率を1%と見積もった。「よろしい、私は高校では卒業生代表だった。たとえ100のうちの1、2%であっても 0%よりははるかにいい」と彼は言った。そして1974年 9月25日、Jobe は手術を行った。
 リハビリは非常に厳しいものだった。当初、John には “鷲手 claw hand” と呼ばれる症状が出た。神経損傷の修復目的でにさらに手術が行われた。16週後、ついにボールを投げることができた。とはいえ彼は1975年のシーズンを丸々棒に振ることとなった。
 しかし術後のピッチング訓練のリハビリテーションが真の試練であったと John は思い起こす。「私は日曜を除く毎日ボールを投げました。私がそうした理由は、神が日曜日に休息されるのであれば、Tommy John もそうすべきだと思ったからです」
 彼は1976年にベースボールに復帰し、その後13シーズンを投げ、1989年に引退した。
 それでは、なぜ Tommy John 手術を要するような障害が選手たちに起こってしまうのだろうか?今日の試合において、監督たちが若いプレーヤーを酷使しているためであると John は言う。John によれば、ほとんどの子供たちは一年中投げているが、一方で彼らの腕は成長を続けている。「Steve Carlton(メジャー歴代9位の通算 329勝を挙げた投手)は年間12ヶ月投げていたでしょうか?答えはノーです。どうして未熟な若い男をつかまえて12ヶ月間も彼らの腕を酷使するのだろうか?」と John は言う。
 Tommy John 手術に向き合う選手たちは今でも数ヶ月間の厳しいリハビリに立ち向かうことになる。医学の進歩がある一方で、実際にリハビリの時間が短縮されないのはなぜかと問われたとき、John はこう述べる。「腕に休養を与えなければいけないと思うからです。神は皆さんの腕を治すでしょう。本来、皆さんの身体は治るように創られているのです」
 自分たちのキャリアを救ってくれた医学的治療の先がけとなってもらったことで John に感謝してよいはずの数百人の選手たちのための “Tommy John club” は存在しない。彼らの一部の人たちをゴルフ・トーナメントに招待することを考えたこともあったが、この治療を経験した選手たちと接触を持つことはないと John は言う。
 John は今、ニュージャージーに住んでおり、元気にしていると言う。
 「肘はいいです。肩はボロボロですが、肘はいい」と John は言う。
 そして、現在、ドジャーズの試合を見るとき、彼は、Tommy John 手術を受けたピッチャーを応援するのだろうか、それとも彼がかつて所属したチームを応援するのだろうか?彼は選手たちの方を応援すると言う。
 「私はチームの男ではなかったのです。そう、私は(フットボールの)ベアーズのファンですし、カブスのファンです。でも決して自分のチームのファンではなかった」
 John は今もベースボール界で活躍しており、選手のスカウトを行い、最近、独立リーグの Bridgeport Bluefish の監督を務めたが、これを “これまでで最も楽しい仕事だった” と彼は言う。また、競技場にスコアボードを販売する会社でも働いている。
 若いファンが、彼のことを、ベースボールの業績ではなく、この手術のことで知っているという事実があることを彼は承知しているが、気にはしていない。
 「Jobe 医師がすべきことをし、私がすべきことをしたことに対して神に感謝しています。そしてそれは Tommy John 手術として永久に知られることでしょう。私はいずれ地中の灰となるでしょうが、Tommy John 手術はおそらく永遠に生き続けることでしょう」

今年、オリオールズに移籍したばかりの
元ソフトバンクの和田毅投手も左肘の靭帯損傷が疑われ
このトミー・ジョン手術が検討されているという。
となれば、今後復帰までに1年以上の苛酷なリハビリが
待ち受けることになる。
しかし、この手術を受けた投手の中には、
術前より球速が増すものもいるという。
我々凡人なら、メスを入れられれば
衰えてゆく一方であろうが、
強靭な身体機能と精神力を持ったプロ選手の
驚異的な回復力には恐れ入るばかりである。

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