機能的MRI検査の進歩により、
脳の活動状態を捉えれば、その人が
何を考えているかを知ることができる。
犬が飼い主の顔色を伺っているように見えるのは
本当に飼い犬に対して愛情を持っているからなのか?
それとも単に餌がほしいからだけなのか?
もし起きている状態で
犬にMRI検査が行うことができたとしたら
犬の気持ちが理解できるようになる?
Scientists Use Brain Scans to Peek at What Dogs Are Thinking 科学者たちは犬が考えていることを垣間見ようと脳画像検査を使う
By Alexandra Sifferlin
犬の Fido(註:Fido はアメリカにおける犬の名前の定番)はあなたに会って本当に喜んでいるのか?それとも息を弾ませたり尻尾を振ることはおやつを期待しているというしぐさに過ぎないのか?
アトランタにある Emory University の研究者らはこのことを初めとする種々の疑問に対して MRI 画像を用いて答えを出そうとしている。新しい研究で、彼らは撮影を完遂するのに十分な長さである 10~15秒間、MRI 装置の中で起きていながらじっと横たわっているよう犬を訓練するのに成功したと報告している。
「我々は実際に脳画像を捉えることができ、我々が手の合図をしたり、犬に話しかけたり、あちらこちらを指さしたりするときに、脳のどの部分が活性化しているのかを見ることができます。犬が何を考えているかを今や理解することができるようになっているのです」研究者の Emory の神経経済学教授 Gregory Berns 氏は本研究を紹介するビデオでこう述べている。
本研究のアイデアは、オサマ・ビン・ラディンを殺害する米軍の任務に犬が参加していることを Berns 氏が知ったことでひらめいた。「犬に飛行機やヘリコプターから飛び出すよう訓練できることがわかったのです。犬に MRI に入るよう確実に訓練できることから、彼らが考えていることを知ることができるのです」と彼は言う。
これが実際に可能であることを示す実験で、騒音を和らげる耳あてをつけながら機械の中にじっとしているよう二匹の犬を研究者らが訓練するのに8ヶ月を要した。続いて、科学者らは、ホットドッグを手に入れることができるか(左手を挙げる)、ホットドッグを手に入れられないか(両手を互いに向かい合わせて水平に指す)を示す人間の手の合図に反応する犬の脳活動を調べた。この目的は、相当する脳の領域が報酬を期待して活性化するかどうかを確認することだった。果たしてその領域は活性化した。
これはまだ端緒についたばかりである。今、研究者らは自由で抑制されていない犬を MRI の筒の中にじっと横にならせることができることわかったので、犬のあらゆる種類の思考を調べてみたいと考えている。Los Angeles Times は次のように報じている。Berns 氏によると、たとえば彼らはピンが刺さった飼い主の写真を犬に見せることによって飼い主へのいたわりの気持ちを持つかどうかを調べたり、それによって犬の脳に苦痛の反応を引き起こすかどうかを見るのだという。さらに、犬が人の言葉を不特定の音として処理するのかどうか、それとも言語のより深い様式に反応する神経構造物を持っているのかどうかを明らかにすることもできる。また、犬たちが飼い主を視覚により認識するのか、嗅覚により認識するのかを調べることができる。
「愛犬家たちは自分たちが感じていることを彼らの飼い犬たちはわかっていると確信しています。しかし正直なところ私はそれについてはどっちつかずの状態にあります。たぶんそれは対象が私自身が飼っている犬であるためでしょう」Berns 氏は Wired Science にそう述べている。「cat people として知られる世の中の疑い深い人たちは、犬たちはただ上手な俳優に過ぎないと考えています。まさしくそうだとは私は思いません。しかし、どこまででも事実を解明したいと思っています」
本研究は5月11日に学術誌 PloS One に発表されることになっている。
狭くて大きな音のするMRIの機械に入るのは
人間でも我慢が必要だ。
ましてや落ち着きのない犬にじっとさせるのは
並大抵のことではないだろう。
本研究を紹介するビデオを見ると
被検犬はなんとか十数秒間はMRIの中で
じっとできているようである。
鎮静剤を使えば検査は可能だが、
覚醒時の脳の活動を測定することは不可能となる。
本研究は犬の脳の働きを知るのに
大いに役立ちそうである。
とはいえ、探究が進み、
もし犬が何も考えてないことがわかったら、
飼い主の犬への愛情が冷めてしまうのではないかと
少し心配になるのである。
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