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ヘディングは 12 禁?

2011-12-13 22:00:53 | スポーツ

サッカーの指導者やサッカー少年の親たちには
ショッキングなニュースである。

12月7日付 New York Times 電子版

A New Worry for Soccer Parents: Heading the Ball サッカー少年の親たちの新たな懸念:ヘディング
By Gretchen Reynolds

Headingtheball
 繰り返しボールをヘディングするサッカー選手の頭蓋骨の中では何が起こっているのか?そんな疑問からベテランのサッカー選手の脳について新たな興味深い研究が行われ、サッカー界における議論や討議を巻き起こし、我々の間ではサッカーをする子供たちに対する懸念が持ちあがっている。
 この研究のために、New York の Albert Einstein College of Medicine の研究者らは、34名の成人男女を募集した。このボランティア全員は小児期からサッカーをしてきており、現在、成人のサッカーリーグで年間を通して競技している。この研究で、特に、彼らが過去一年間に何回サッカーボールをヘディングしたか、さらには、これまでに明確な頭部外傷を経験したことがあるかどうかを明らかにするため作成された詳細な質問票にそれぞれ記入してもらった。
 次に選手たちは、コンピューター化された記憶テストや他の認知機能検査を行ったあと、拡散テンソル画像という新しい精巧な MRI 技術を用いて脳の画像検査を受けた。この検査では、これまでの多くの検査では画像化できなかった脳の構造変化を検出することができる。
 先月行われた Radiological Society of North America(北米放射線学会)の学術集会で発表されたデータによると、過去12ヶ月間に約1,100回以上ボールをヘディングした選手は、それよりヘディングの頻度が少ない選手に比べて、記憶、注意、視覚情報の処理などに関係する脳の複数の箇所で白質の有意な損傷が認められたことがこの研究者らによって明らかにされた(白質は、ニューロン間の信号を伝達する脳の通信線である軸索 axon その他からなる構造物である)。
 この白質損傷のパターンは、重篤な頭部打撲後に見られるような「外傷性脳損傷で認められるパターンと類似している」と、この研究者らは報告しているが、これらの選手たちのうち脳震盪を経験していたのはわずか1人だけだった。
 また過去一年間で1,100回以上ヘディングしていた選手は、より少ないヘディング回数の選手に比べて読まれた単語のリストを思い起こすのが大幅に不良であり、ずっと高頻度に単語を忘れたり、うまく単語が出てこなかったりした。
 「これらの結果に基づくと、頻回のヘディングは脳に重大な影響を及ぼす可能性が存在するように思われます」と、本研究の著者で Einstein のGruss Magnetic Resonance Research Center の副所長 Michael L. Lipton 博士は言う。
 引退したスカンジナビア人プロサッカー選手の記憶障害についての1980年代後半と1990年代前半の報告をはじめとして、ヘディングが好ましくない結果を招く可能性があることが示唆されてきた。しかしそれらの研究は、彼らの完全な競技歴においてヘディングを行った回数については信頼できない記憶に依存しており、アルコール飲酒や重大な頭部外傷歴が考慮されていない。このため一般にこの知見は信用できないものとされてきた。
 その後、昨年になってカリフォルニア州の Humboldt State University の研究者 Elizabeth Larson 氏は、同校の51名の男女のサッカー選手のヘディング歴と認知機能の状態について、ある大学シーズン期間を通して詳細に追跡した。練習・試合を問わず、シーズン中に最も頻回にヘディングした選手は、シーズンの始めの時点と比較して、形やイメージを想起する能力を含めた視覚記憶の検査で有意に成績が悪かったことを彼女は明らかにした。それらの選手たちは、他の人たちに比べて頭痛やふらつきの症状を多く訴えた。
 「生理的には、言語性記憶や視覚性記憶が頻回のヘディングによって影響を受ける可能性があることは理解できます」と Larson 女史は言う。彼女は今、同大学の North Coast Concussion Program の調整を行っている。「そういった記憶の一部は脳の前や後ろで処理されます。そこはヘディングしたとき頭蓋骨にぶつかる場所なのです」と、彼女は言う。
 このことを証明するように、頻繁にヘディングを行う人において最も障害が認められた領域が、前額部のすぐ後ろにある前頭葉と、脳の底部後方にあたる側頭-後頭葉であったことが今回の新たな画像研究で示された。
 それではサッカーをする子の親はどうするべきか?
 「我々の研究が示していることは、ある線を越えるとヘディングが問題となってくるような閾値(およそ1年間に1,100回かそこらのヘディング数)が存在していると思われることです」と、Lipton 医師は言う。「その閾値より少なければヘディングは安全と考えられます。我々の研究は実際には楽観的に考えています」
 しかし、多くの疑問が残される。特に若い選手におけるヘディングの影響についてである。これについては今日まで研究が行われていない。「ある考え方では、子供たちの脳の成長は早く、彼らは成人に比べてより多くの問題を被る可能性があります。しかし他方では、彼らの脳はその可塑性が知られており、そのため回復もより良好かも知れません。まさに我々の理解が及んでいません」
 いかなる脳損傷の実際的な重要性についても明らかではない。Einstein や Humboldt State 研究における認知機能検査で成績の悪かった選手は誰も何ら記憶障害に気付いていなかった。実際のところそんな感じで、その影響は微細なように思われます」と Larson 女史は言う。
 ただ、現在の科学に基づいて、彼女は予防的な措置を推奨する。「12才未満の子供ではヘディングをすべきではないというコンセンサスが高まりつつあります」と彼女は指摘し、それより年長の子供ではヘディングの回数と、付随する症状について監視すべきであるという。練習のあとに頭痛やふらつきがないかどうかを子供たちに聞き、もしそうであればヘディング練習の回数を減らすことをコーチと協議する必要がある。
 「誰もヘディングを禁止すべきであると言っているわけではありません」と、彼女は結論する。しかし、「何度も何度も何度もヘディングを練習することは九分九厘得策ではない」ということが、科学からも常識からも指摘できるのである。

本当にMRIで脳損傷が認められたとすれば事は深刻だ。
年間1,100回のヘディングというと、
毎日練習する人では一日あたり3回。
普通に練習している人ならこれは軽くクリアするだろう。
さらに、まだ頸の筋肉が強靭でない小学生以下の学童では、
脳が受ける衝撃は一層強いのではないかと推測される。
被験者34名では、統計学的な有意差は出ないと思われるが、
こんな話を聞かされると、
ヘディングするのを躊躇してしまいそうである。
いっそのことサッカーのルールを変更して
『ハンド』と同じように、試合中に頭を使ったら
『ヘッド』の反則としたらどうだろう。
いやいや、華麗なヘディングシュートはサッカーの醍醐味であり
そうなるとサッカーの魅力は半減してしまうに違いない。
とはいえ、脳に反復性に衝撃が加わることが
脳にとっていいこととはとても思えない。
とりあえず、長いゴールキックを受ける際くらいは
頭は使わない方がようそうだ(軟弱)。

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