このたび火星上で奇妙な石が発見されたそうである。
形だけでなく成分もずいぶん特異なのだという。
この石には果たしてどのような意味があるのだろうか?
Mars rover Opportunity finds mysterious ‘jelly doughnut rock’ on the Red Planet
火星探査車 Opportunity(オポチュニティ)が赤い惑星(火星)上で謎の“ゼリー・ドーナツ石”を発見By Meeri Kim,
ほぼ10年前、NASA が“blueberries(ブルーベリー)”と名付けたものを探査車 Opportunity(オポチュニティ)が火星上で発見した。これは小さな鉄分の多い球体で、火星の表面に散乱しており、太古の水の存在を示唆していた。今回、この古い探査車は、謎の“ゼリー・ドーナツ石”の発見によって、十年の探査活動に花を添えた。
洋菓子サイズのこの石は、これまで科学者たちが火星上で見てきたものすべてと異なっており、それ以前にはなかったところに奇妙にも現れたのである。
「外側周辺は白く、中央には暗赤色のへこみがあります。ちょうどゼリー・ドーナツに似ています」と Mars Exploration Rover Mission の主任調査官で Cornell University の天文学者 Steven Squyres(スティーヴン・スクワイアズ)氏は言う。彼は Pasadena にある California Institute of Technology で先週行われたこの探査車の10周年を称える祝賀イベントでこの発見を発表した。
この石は Endeavour Crater(エンデバー・クレーター)の辺縁で Murray Ridge と呼ばれる場所に数週間前に現われた。Murray Ridge は Opportunity がそこで 6回目の火星の冬を迎えていた場所である。前後の写真(冒頭の写真参照)では同じ地面の一画が示されており、そこには小石やゴツゴツした石がころがっている。しかし12日後に撮られた後の方の写真には白色とえび茶色の奇妙な物体の出現が明確に捉えられていたのである。
「それは出現したのです、明らかにあの場所に現われたのです」と Squyres 氏は言う。NASA はそれを“Pinnacle Island(直訳すると尖塔島、尖閣島?)”と呼んでいる。
この石がその場所にどのようにしてやってきたのかについて彼は2つの説を考えているが、いずれも皆が期待するような多分に刺激的なものではない。一つの可能性は、Opportunity の走路に付近の隕石の衝撃が岩屑の破片を飛ばしたというものである。もう一つは、より可能性の高い説明であると Squyre 氏が考えていることだが、探査車の6つの車輪の一つが地面から拾い上げたというものだ。
Pinnacle Island が逆さまの状態にあったため、何十億年もの間大気にさらされていなかった火星の石の下側を偶然発見することができたのだろうと科学者たちは考えている。NASA のチームはその組成を綿密に調査しているが、これまでのところこの石はこれまで見てきた他のものとは全く異なっている。
「私たちはドーナツ部分とゼリー部分の両方の写真を撮っています」そのイベントで彼は言う。「我々は昨日、ゼリー部分の組成に関して初めてのデータを得ました」
その暗赤色部分には多くの硫黄とマグネシウムが認められ、さらに、これまでに火星で測定された物質の2倍のマンガンが含まれている。Squyres 氏によると、この結果は NASA の科学者をひどく混乱させており、これが意味することについて激しい議論を呼び起こしているという。
同チームは、Endeavour Crater における粘土形成した表面下の水性環境についての新たな Opportunity による結果も発表しており、これは1月23日に Science 誌に掲載されている。露出した岩の一部は、これまで Opportunity によって調査された中でも最古の物質で、火星が棲息可能であった時代からのものである。
隕石衝突以前に存在した水はほぼ中性からわずかに酸性であった可能性があり、生物に有利であった条件を提供するものである。この研究は、かつて“飲むことのできる”水をたたえていた早期の湖の存在を示唆する新型探査車 Curiosity(キュリオシティ)の最近の発見を補完するものである。
両探査車は火星の歴史像の解明に貢献している:すなわち数十億年前の中性の水を有する温暖で湿潤な環境から、より酸性となり水分活性の減少に至るまでの歴史である。そして、この30億年で火星はきわめて乾燥した生物の棲めない場所となってしまったのである。
もともとわずか90日間の任務が予定されていた Opportunity は、1月25日に火星到着10周年が祝賀される予定となっている。この10年間に同探査車は火星の地表をほぼ25マイル走行した。しかし、この信頼できるロボットにも老朽化が見られるようになっている。
「前側の操縦装置が故障しており、ロボットのアームには関節炎が見られます」1月23日の記者会見で Mars Exploration Rovers のプロジェクト・マネージャー John Callas 氏はそう述べた。彼はさらに Opportunity について、そのフラッシュメモリーの障害により“物忘れがある”と表現した。しかし全体として見ると、その長寿命と、火星理解への多大な貢献に対して同チームはうれしい驚きを抱いている。
最初の年、Opportunity は着陸地点の近くで NASA の科学者たちが、その大きさと球形の形から“ブルーベリー”と名付けたものを発見した。それらは地表一面に散乱しており、さらにブルーベリー・マフィンのように岩に埋め込まれていた。同チームは、この球体が液体水の可能性を示す徴候であると考えた。なぜなら、解析により、それらが、通常水性の環境で形成される酸化鉄である赤鉄鉱(ヘマタイト)でできていることが明らかになったからである。
「私の言いたいことの一つは、火星は私たちに新しいことを投げかけ続けている、ということです」と Squyres 氏は言う。「それが探査の本質なのです」
この探査車、10年経った今でも、
遠く離れた火星で存分な活躍を見せているとは驚きだ。
今回、この探査車は、天候の回復を待つために
1ヶ月以上同じ場所から動いていなかったところ、
奇妙な石の突然の出現に気付いたようである。
これがただの石ころでないとすると、
そこから新たな発見につながることも期待される。
そんな石ころをゼリードーナツ風と形容するところは
いかにもアメリカらしい。
ところで、NASA がこの不思議な石を
『Pinnacle Island(尖閣島)』と名付けたのはなぜなのか?
まさか日本に配慮して、
なんてことは、ないだろうな~。
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