お金のことや世間のことをよく知りませんが、
と20歳の時、大学を辞めて結婚した妻は、そ
の後の生活でだんだんシビアになってきた。
以後夫の移転ぐせにより、そのたびに夫婦の全
財産、へそくりまでも吐き出さざるをえなかっ
た結婚生活であり、それらを乗り切るためには
しっかりせざるを得なくなったのである。
新婚当初は新聞の勧誘が断れず、読まない新聞
をとっていたのが、近頃では、仕事でほんのた
まにある「値引きサービス」がされていないと、
問屋さんにクレームをつけるまでになった。
人は変わるものだ。
こういう姿をみると、うちのカアちゃん、しっ
かりしたなぁ、と思う反面、本来のノンキな性
格で居てくれたほうが、世の中泰平でなんぼか
安堵できるのと思う。でも、ほなさんの稼ぎの
無さと、夢かと思うような日本の厳しい現実か
らは望むべくもない。
それでも妻がただひとつ苦手なことがある。そ
れはクーポン券などを集めることだ。
サービス券を絶対に集められない、というより
は、使おうとしないのだ。単に恥ずかしいから
ではなく、使う場面では、サービス券のあるこ
とをすっかり忘れている、それが妻だ。
大阪に券10枚貯めると1枚のソバをサービス
してくれるお店がある。ここの蕎麦は美味いか
ら、そんなサービス券など出さずとも繁盛する
だろうが、いつも期限なしのサービス券をくれ
るのだ。
自分のこずかいや、娘へ援助もせねばならんと
思うと、ほなさんはひたすらここのサービス券
のザル蕎麦を食い、息子が置いていってくれた
マクドナ○ドの0円コーヒー券を手に走る。
私が無料券を出すと満面の笑みをたたえたレジ
係りが、
「お客様、コーヒーはSですかMですか。」
とかわいく尋ねるので、
「タダのコーヒーだけ、、、期限が今日までだ
から、、、ね。」
と頼むと、
「Mは50円かかりますから、無料はSです。」
と言い出してくれた。ほなさんが言うたびに、
レジ係りから笑みが減っていくように見える。
それでもほなさんは、砂糖とミルクをしっかり
つけてもらい、カップに入れ、やがてマクドの
コーヒーはなかなか美味いなぁと、ひとり悦に
いるという、小市民の生活を続けている。
こんな生活のおかげで、私の車のダッシュボード
は、サービス券が山となった。中でも最近多いの
は、ほっと○っとの弁当の100円引き券。
弁当が100円引きだと、それでさらに味噌汁か
サラダをつけても同じ値段になるのだ。素晴らし
い、、そして、助かるんだまたこれが、、、。
ふと、、、思うことがある。
こんな男に誰がした!
良いお父さんを演じなければならないのは、
ホントーに、大変なのだった。
と20歳の時、大学を辞めて結婚した妻は、そ
の後の生活でだんだんシビアになってきた。
以後夫の移転ぐせにより、そのたびに夫婦の全
財産、へそくりまでも吐き出さざるをえなかっ
た結婚生活であり、それらを乗り切るためには
しっかりせざるを得なくなったのである。
新婚当初は新聞の勧誘が断れず、読まない新聞
をとっていたのが、近頃では、仕事でほんのた
まにある「値引きサービス」がされていないと、
問屋さんにクレームをつけるまでになった。
人は変わるものだ。
こういう姿をみると、うちのカアちゃん、しっ
かりしたなぁ、と思う反面、本来のノンキな性
格で居てくれたほうが、世の中泰平でなんぼか
安堵できるのと思う。でも、ほなさんの稼ぎの
無さと、夢かと思うような日本の厳しい現実か
らは望むべくもない。
それでも妻がただひとつ苦手なことがある。そ
れはクーポン券などを集めることだ。
サービス券を絶対に集められない、というより
は、使おうとしないのだ。単に恥ずかしいから
ではなく、使う場面では、サービス券のあるこ
とをすっかり忘れている、それが妻だ。
大阪に券10枚貯めると1枚のソバをサービス
してくれるお店がある。ここの蕎麦は美味いか
ら、そんなサービス券など出さずとも繁盛する
だろうが、いつも期限なしのサービス券をくれ
るのだ。
自分のこずかいや、娘へ援助もせねばならんと
思うと、ほなさんはひたすらここのサービス券
のザル蕎麦を食い、息子が置いていってくれた
マクドナ○ドの0円コーヒー券を手に走る。
私が無料券を出すと満面の笑みをたたえたレジ
係りが、
「お客様、コーヒーはSですかMですか。」
とかわいく尋ねるので、
「タダのコーヒーだけ、、、期限が今日までだ
から、、、ね。」
と頼むと、
「Mは50円かかりますから、無料はSです。」
と言い出してくれた。ほなさんが言うたびに、
レジ係りから笑みが減っていくように見える。
それでもほなさんは、砂糖とミルクをしっかり
つけてもらい、カップに入れ、やがてマクドの
コーヒーはなかなか美味いなぁと、ひとり悦に
いるという、小市民の生活を続けている。
こんな生活のおかげで、私の車のダッシュボード
は、サービス券が山となった。中でも最近多いの
は、ほっと○っとの弁当の100円引き券。
弁当が100円引きだと、それでさらに味噌汁か
サラダをつけても同じ値段になるのだ。素晴らし
い、、そして、助かるんだまたこれが、、、。
ふと、、、思うことがある。
こんな男に誰がした!
良いお父さんを演じなければならないのは、
ホントーに、大変なのだった。