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晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

雨読 大和の原像(1) 8/10

2013-08-11 | 雨読

2013.8.10(土)晴れ

 「知られざる古代 太陽の道」の序文に出てくるM氏というのは松本清張氏だというのはすぐにわかるが、O氏というのは誰だかわからなかった。この本を読み始めて初めてO氏というのが著者の小川光三氏であることがわかる。NHKの取材番組ともなった「謎の北緯三四度三二分をゆく」の原点ともなったのが小川光三氏の檜原神社箸墓、菅原神社などをむすび穴虫峠を結ぶ太陽の道の発見であろう。つまり「知られざる古代」は「大和の原像」あってのものだろうと思う。
 しかし本書を読むきっかけとなったのは前回雨読で紹介した「古代史を解く三角形」によってである。この本をあまり評価をしているわけでは無いが、大谷幸市氏が研究を始められるきっかけもどうやら「大和の原像」のようである。そんなときいつも注文をしているリーズナブルな古本屋さんにこの本が出されたのである。偶然と言えば偶然だが、手にして3日間ぐらいで読んでしまった。
 「大和の原像 古代祭祀と崇神王朝」小川光三著 大和書房 1973年1月初版 古書
P1050024

 


 小川光三(おがわこうぞう)氏は異色である。本職は写真家である、奈良国立博物館の向かいに(株)飛鳥園という会社があり、その取締役をされているという。奈良の仏像や寺社の風景を撮り続けファインダーを覗いてこられた眼が太陽の道を発見されたのだろう。太陽の道とは奈良の多くの神社を繋いで東は伊勢の斎宮に至り、西は淡路島の伊勢の森に至る長大な直線である。今日ではこういったレイラインの研究が進み、多くの論文があり、多くのラインが公表されている。しかしその原点がこの一冊なのではないだろうか。
 氏の様々な発見に至る経緯は科学者の原点である、「なぜだろう」という疑問から発している。なぜだろうを突き詰めて新たな発見をするというパターンが読者を魅了させる。推理小説を読んでいくような臨場感が湧いてくる。穴師兵主神社跡の発見などは代表的なものだ。
 そしてファインダーを覗く眼は芸術家としての眼であるから、学者が見つめるものとは視点が違う、ピントの合わせ所が違うのだ。従ってユニークな論が登場する。
都祁邪馬台国説や箸墓灌漑設備説である。わたしにはこれらを肯定も否定も出来ないが、一般の歴史学者はこのような発想を出来ないだろう。
 この本の価値を高めていることはこれらの他に、流ちょうで風格のある文章で綴られていることと氏自ら写されたであろう多くの素晴らしい写真が挿入されていることである。
 本書にヒントを得て丹波でもいくつかの発見をした。それらは日置や飯盛山の文の中でご紹介したい。わたしの最も大切な蔵書となった。

【今日のじょん】じょんは散歩時に明確な意思を持っている。何事も無いときはいつも通りのコースを行くが、妙なところへ行きたがるときがある。なぜか林道に入りたがったとき、思い出せば夕べ何者かがこの方向へ逃げて行ったのだ。P1050075


 

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