或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

携帯電話

2005-06-16 22:20:06 | 900 その他
先週の日曜日、カミさんの携帯電話の機種変更につき合いました。電池がすぐに切れるからとか。ここ数ヶ月で私以外は全員機種変更完了。写真は私のケータイ、DoCoMoのFOMAでN2102Vというモデルですが、もう1年半使ってます。割とお気に入りで、理由はいくつかあります。

一つ目はデザイン。黒を基調としたすっきりとした外観。ストラップは南青山のジャズクラブ「ブルーノート」で購入したもの。一緒に付けてるのは景品でもらったミニライト。これが夜の捜し物に実に便利。

二つ目は操作感。開いたり、閉じたりする時の、クリック感や固定感がカチっとしていい感じ。どうもNシリーズ以外は、ぐらぐらするのが多くてイマイチ。ちょっと気にしすぎかもしれませんけど。

三つ目は、昨年の初めに放映されたTVドラマ「砂の器」の中で、主演のSMAPの中居正広が使っていたこと。役柄がピアニストで、マンションの雰囲気とか車とかが渋くて私の趣味にピッタリ。その主人公が私と同じケータイを使っていたので、妙に嬉しくなりました。ちょっとミーハーですね。(笑)

家族割引が目当てで、4人全員がDoCoMoにしてますが、完全に“囲い込み”戦略にハマってますね。でも同居してなくてもいいし、料金も別払いできるし、割引率も大きいしで、利用しない手はないですよね。もうここまでくるとメーカー変更なんて手間がかかってとても無理だなあ。

それで機会がある度にお店で最新機種を見てますが、正直言ってあまり欲しいのがないんです。そろそろ私好みが出ても良い頃だと思うんですが。カミさんは出ない方がお金がかからなくて嬉しいと言ってます。(笑)

ニッカ オールモルト

2005-06-15 22:29:10 | 650 酒
久しぶりにウイスキーの話です。私のウイスキー紹介で初めての国産品でニッカのオールモルト。純粋なシングルモルトではなく、ニッカ独自の製法で造られている廉価版。

なんでこの銘柄かというと、最近TVで見る度にドキっとしてしまうCMがこれ。女優の石田ゆり子が登場する、「女房酔わせてどうするつもり?」という名コピー。まったりとした映像や音楽がいい感じ。清純派のイメージが強い彼女がこんなセリフを?っていう意外性もあって、とにかく見る度になんか緊張するんです。それと「女房を酔わせる」って感覚が、あまりに現実離れしていて新鮮なのかもしれません。(笑)

石田ゆり子は、例えば合コンかなんで、みんなには人気かもしれないけど私は絶対に手を出さないタイプ。まあ知的で華奢なお嬢様系はパスって感じでしょうか。そんなイメージの彼女が、そこそこ年をとってからの今回のCM。何故かわかんないけどやられちゃいました。(笑)

調べてみると、15年前の1990年にこの銘柄が誕生したそうで、その時のCMのリバイバルとか。もうそんな前だっけ。曲は当時と同じスターダスト・レビューの「木蘭の涙」。当時の女優は中野良子だったらしい。いや懐かしいけど全く記憶にないなあ。でも彼女ならはまり役だったはず。

この銘柄は昔よく飲みました。本場のシングルモルトにハマる前に。それでしばらくするとマイナーチェンジがあって、飲んでみると味が落ちてた。これはいけないと、近所の酒屋にあった旧品のストックを2~3本まとめ買いした記憶があります。

今回ダメもとで、さらなるマイナーチェンジ?のオールモルトを買って飲んでみました。ただし写真の180mlの携帯ボトルを。結果は黙っておきましょう。だって値段が値段ですし、最近は本場の美味しいのを飲みすぎてますから。(笑)

木蘭の涙木蘭の涙

ピカソ(4)[薔薇色の時代]

2005-06-14 22:18:57 | 300 絵画
「青の時代」の絶望と悲しみの中で、バルセロナで暗い作品を書きつづけたピカソでしたが、1904年にパリのモンマルトルに移住。そこでフェルナンド・オリヴィエと知り合い、恋仲になって同棲生活を始めます。二人が住んでいたのは“洗濯船”と呼ばれる貧相なアパート。セーヌ川に浮かぶ洗濯屋の居住船に似ているため「洗濯船」と呼ばれていたらしいです。

そして画廊で展示会を開いたりする中で、米国の芸術愛好家レオ・スタイン等の目に留まります。絵も次第に評価され始め、経済状態も上向き、貧乏のどん底から脱出。この頃から青中心の暗い色調に、ピンクや土色の明るい色調が次第に入ってくるようになり、いわゆる「薔薇色の時代」に移るわけです。

代表的なもので好きなのは、下の写真のバルセロナのピカソ美術館にある「ベネデッタ・カナルスの肖像(Portrait de Madame Benedetta Canals)」(1905年)とスウェーデンのイェーテポリ美術館にある「ゴソルの若者(Jeune espagnol)」(1906年)。

最近でこそ1901年から1904年を「青の時代」、1904年から1906年を「薔薇色の時代」を呼び分けていますが、昔は同じ時代と認識されていたようです。「薔薇色の時代」といっても別に彼の考え方が急変したわけじゃなく、あくまでもアウトサイダー。ですから時代の名前ほど作品に明るさは感じられませんね。

お気に入りとして、上の写真のロンドンのテイトギャラリーにある「シュミーズの女(Femme a la chemise)」(1905年)を紹介しておきます。確かに青を基調としながらも、少女の凛とした顔や表情に、まさに時代が変化する、その時を感じることができますね。

ところで、この間“群青色”の話をした後この絵を見て、そういえばこの青はどういう青なんだろうと疑問が湧いたので、また別の記事にするかもしれません。(笑)

全絵画写真の引用元:「ON-LINE PICASSO PROJECT」(http://csdll.cs.tamu.edu:8080/picasso/)

B・カナルスの肖像ゴソルの若者


Here’s that rainy day

2005-06-12 05:57:07 | 200 ジャズ
JMさんの“JMB連携TB企画第42弾/雨の匂い”へのエントリー。お題は雨の日を素敵に彩る曲なんですが、私の場合は、雨の日の憂鬱を静かに楽しむのにふさわしい曲を選んでみました。1953年のミュージカル「Carnival in Flanders」に使われた“Here’s that rainy day”。

歌詞の内容は、失恋して、やや投げやりな?女性の気持ちを描いたもの。「...Funny how love becomes a cold rainy day. Funny that rainy day is here.」という歌詞の中の“Funny”って言葉がいいですね。今風に言えば、“ねえ、これちょっとおかしくない?、恋してたはずが、なんで冷たい雨の日になってるのよ。また昔に逆戻りじゃない。“って感じでしょうか。こういう場合の男性側は、往々にして後がヤバイですよね。キツーイ仕返し食らっちゃったりしますから。(笑)

この曲はジャズメンが好んで演奏したり歌ったりする隠れた名曲で、入っているアルバムもけっこう盛りだくさん。女性用の歌詞ということで、美人女性ボーカルを2枚紹介しておきますね。

1枚目は亡きオランダの歌手アン・バートンの名盤「Ballads & Burton」(1969年)。全編がしっとりしてささやくようなバラード。選曲も抜群で、全曲全てがいい感じ。誰にでも安心してオススメできます。

2枚目は私が個人的に入れこんでいる、本場米国の歌手ヴァネッサ・ルービンの「New Horizons」(1997年)。このアルバムは主流派ジャズでありながらアレンジはアーバンコンテンポラリーで、チェンジがイカしてます。

彼女は、ほんと珍しく、声、テクニック、ルックスの3拍子プラスお色気が揃った歌手。昔ミス・オハイオに選出されたとか。納得です。このアルバムが出た後ぐらいに来日してますよね。聴きたかったなあ。目の前でこっちを見ながら歌われたら、ひとたまりもないでしょうね。(笑)

上の写真は彼女のデビューアルバム「Soul Eyes」(1992年)のCDジャケット。キレイですよね。

バラード&バートンバラード&バートン

New HorizonsNew Horizons

シェルタリング・スカイ(1)

2005-06-11 08:01:31 | 350 映画
あるブログで紹介され気になっていた映画、シェルタリング・スカイ(1990年)をようやくTSUTAYAのDVDで観ました。監督は「ラストタンゴ・イン・パリ」で有名なベルナルド・ベルトルッチ。主演は妻役のデブラ・ウィンガー(Debra Winger)で、助演が夫役のジョン・マルコヴィッチ(John Malkovich)。マルコヴィッチの演技が渋かったですね。虚しい男の心情がさりげない表情に写し出されていて。

倦怠期にあるアメリカ人の中年夫婦が、互いの絆を深めようとアフリカに旅行するが、苛酷な自然の中で厳しい現実が待っていたというストーリー。全編彼らとアフリカの自然を対比させる形でが映画が進行する。その中で、夫婦、男と女の性(さが)、人間の性を厳しく描いています。

正直なところ、私にとってはちょっとつらい映画。この手の本質論、私がいつも避けている領域なんですよね。まあ私だけじゃなくてたぶん普通の夫婦も避けていると思いますが。(笑)

享楽的な私の理想は、いい音楽を聴きながら、美味しい食事やお酒をお供に、素適な女性と楽しく一緒に過ごす、なんて極めてシンプル。ただしそれは現実の世界では無理な訳で、そこが問題があります。(笑)

ひとつ面白い話をしておきます。有名な”クーリッジ効果”についてです。

これは米国の第30代大統領クーリッジ夫妻が養鶏場を視察にいった時の話。そこにはひよこや親鳥たちがひしめきあっていた。この光景に驚いた大統領の奥さんが、「まあ、すごい数のひよこ」と言うと、すかさず農夫は自慢気に「ここのオン鶏たちはそれはもう朝晩なく交尾にはげむんでさあ」と答えた。大統領の奥さんは「それをうちの亭主にも言ってあげてよ」とすぐさま切り返した。すると大統領の方はこう質問した。「ここの鶏たちは一夫一妻制なのかい?」と。すると農夫は「とんでもごぜえません。こうやって次々とメン鶏をとっかえひっかえしてやるんでさあ。するとオン鶏は狂ったように交尾するんでさあ」と答えた。大統領はすかさず「それをうちの奥さんに言ってやってくれよ」...。

つまり男性も含めてオスという生き物は、同じメスとの交尾には次第に興味を示さなくなるが、新しいメスが来ると、とたんに元気になり全力でメスに向かっていく。

閑話休題。この映画の音楽は坂本龍一で、これがいろいろ面白かったので次回紹介します。アフリカには行ったことがないので、メキシコの砂漠の写真で我慢してくださいね。(笑)

シェルタリング・スカイシェルタリング・スカイ

群青色

2005-06-09 22:09:44 | 300 絵画
一昨日、荒井由実のアルバム「14番目の月」(1976年)の“晩夏(ひとりの季節)”という曲を紹介しましたが、今日はその続編です。

この曲で特に好きなのは、夕焼けを描いた“藍色は群青に薄暮は紫に”というところ。特に“群青(ぐんじょう)”っていう響きが、ユーミンの声の効果もあってか、小学生の頃の絵の具を思い出させてくれて懐かしさでジーンとしました。

でも“群青”ってどんな色だったかな?と改めて調べてみると、これがなかなか難しい。同じ“群青”でも色合いがいろいろあるようです。西洋色とか和色とか。人によっても認識が違うみたいだし。突っ込めば突っ込むほど混乱。そこでKRISTALL+[plus]さんの「RGB青の章」が一番分かり易かったので、この中から“群青”と青系統の有名な色を下に載せておきますね。

この“群青”色なんですが、国語辞典の三省堂「大辞林第2版」では、「鮮やかな藍青色(らんせいしよく)」と解説してあります。これはないよなあ。これじゃイメージ湧かないもの。(笑)

もともと“群青”っていうのは、顔料が取れる“青が群がって含まれる”アズライトとか藍銅鉱といった鉱石から来てるらしいです。桃山時代の障壁画や江戸時代の琳派の屏風絵とか、日本古来から使われている色らしいのですが、まあ「紫がかった青色」っていうのが分かりやすいと思います。

それで色を並べて見ている時に、すーっと脳裏をよぎったのが、北野武監督作品の「HANA-BI」(1997年)。下のDVDのジャケットを見ると、これってまさに群青色ですよね。久石譲が担当したこの映画の音楽が気に入ってるので、またまた別の記事にさせてもらいますね。(笑)

写真は「SQUALL」さんのフリー素材の夕焼けです。藍色、群青、紫がキレイに写ってます。 

青色瑠璃色藍色群青色


HANA-BIHANA-BI

菊地雅章(3)

2005-06-08 22:23:46 | 200 ジャズ
彼は1976年に「東風(ウィッシズ)」を発表します。これは前作と同じく盟友である日野皓正と組んだバンドですが、マイルスグループの元メンバーが加わってます。前作のアコースティックでモーダルな路線から音楽的に完全に方向転換していて、「On the corner」(1972年)以降の電化マイルスの延長線。そしてこの後が、最近クラブ関係者に絶賛されてるらしい「ススト(SUSTO)」(1980年)です。

このシリーズの初回に、彼は私が高校生の頃のアイドルだったと書きましたが、この2枚のアルバムから“追っかけ”をやめちゃいました。

というのも「東風(ウィッシズ)」が発売された時にジャズ喫茶で聞いて幻滅したんです。なんでかって?だって私の好きな彼の個性が消滅。つまり雅楽等の日本古来の音楽のルーツに、洗練されたジャズと彼独特の感性を加えた、日本が香る世界で唯一無比なもの。それがもう感じられませんでした。

先日「ススト」をちゃんと聴いてみましたが、やはり印象は同じでした。ただ2曲目の“CITY SNOW”にだけは、私の好きな彼の面影がはっきりと。「ススト」と同時期に同じ傾向のものが何枚かありますが、それから10年近く彼はアルバムを出してません。ですから私の中の菊地は前回紹介した「イースト・ウィンド」(1974年)で完全にストップ。“CITY SNOW”は私へのサヨナラメッセージ。今思うと私の青春時代のつかの間のアイドルだったんですね。

当時の懐かしい写真が出てきたので紹介しておきます。右端のドラムのエルビン・ジョーンズと「Hollow out」(1972年)を録音した時のスナップです。切りぬきをスクラップしてました。

ウィッシズ/東風(紙)ウィッシズ/東風(紙)

ススト(期間限定)ススト(期間限定)

14番目の月

2005-06-07 22:28:09 | 220 POPS
最近、とあるきっかけで荒井由実時代の「コバルト・アワー」(1975年)というLPのジャケットを眺めていて、「Chinese Soup」という曲を見つけ妙に懐かしくなりました。実は私の昔のバンドの名前なんです。この曲名から拝借したのは間違いなく、ボーカル入りのジャズフュージョンバンドだったのですが、大衆受けを狙ってシャレでつけた記憶があります。(笑)

それで今日は、荒井由実の想い出のアルバムとして「14番目の月」(1976年)を紹介します。中でも購入するきっかけとなった“晩夏(ひとりの季節)”という曲を。

この曲は、1976年8月に放映されたNHKの銀河テレビ小説、“夏のふるさとシリーズ”「幻のぶどう園」の主題歌。マニアックな話ですね。確か山梨か長野から上京してきた歌手志望の主人公の青年が、なかなか売れないのに、田舎にいる父親には成功していると嘘をつき、それがあらぬ方向にいってしまうという、ちょっと悲しいストーリー。音楽じゃなかなかメシ食えないよなあ、なんて主役の尾藤イサオを自分にダブらせていた気がします。

曲も詩も、まさに去り行く夏を感じさせる雰囲気がいい感じ。荒井由実&松任谷由実の数あるバラードの中でも、しっとりとした哀愁を感じさせるという点では、トップランクに入る名曲だと思います。大好きなこの曲については続きがあるので、また別の記事にさせてもらいますね。

ところで情けない話ですが、このアルバムのタイトルの意味を今回初めて知りました。これって満月(十五夜)になるちょっと前の十四夜の月のことなんですね。そのうえで“14番目の月”の歌詞を読むと、「愛の告白をしたら最後、そのとたん終わりが見える...つぎの夜から欠ける満月より14番目の月がいちばん好き」なんていう女の子の気持ちがなんとなく理解できました。(笑)

写真は「星への誘い」さんの、フリー素材の十四夜の月です。左上がわずかに欠けているのが分かりますね。

COBALT HOURCOBALT HOUR

14番目の月14番目の月

キス

2005-06-05 07:15:11 | 400 釣り
昨日、友人に誘われてキスを釣りに行きました。利用した遊魚船は、私の会社に勤めていた人が脱サラして営業に使用しているもの。船は下の写真のように、ルアーフィッシング用で今風のカッコいい形です。

天気は上々で、暑くもなく寒くもなく、海風が気持ち良かったなあ。釣果もキスが22匹とベラが3匹でまずまず。特に上の写真の左の列の2匹は良形で25cmありました。さすがにキスも、このサイズになると手応えはなかなかのものです。

昨晩さっそく刺身とフライにして食べましたが、どちらも美味。特にキスフライは、そんじょそこらじゃ口に入らないぐらい身が柔らかく、さくさくして最高。これだから釣りはやめられませんね。(笑)

ところで今回は瀬戸内海の島を何ヶ所か周ったのですが、洒落た所がいくつか目に止まりました。まず最初は能美島にある建物とビーチ。下の写真にもあるように、島のはずれにポツンとゴージャズな建物が立っていて、その前がビーチ。船長の話によると、なんでも五洋建設の別荘?とか。バブルの時に建てたものですかね?企業ものにしては派手ですよね。こんな所で社員研修とかすると、カップルとかすぐにできちゃいそう。(笑)

次ぎが“絵の島”。ここは周囲1kmの小さい無人島ですが、なんと島の真ん中がビーチになっていて、まさにビーチのための島。港から船で20分ぐらいで近いですし、下界から離れてのんびりリフレッシュするにはいいかも。広島県には、こんな島を含めて島の数が138もあるとか。凄い数ですね。

島といえば、今回ネットで「内海と島の魅力」を見つけました。このサイトは瀬戸内海のいろいろな情報が掲載されていて便利です。

ということで、なんだか釣りよりも島やビーチに目がいった一日でした。(笑)

遊魚船能美島絵の島


ひろしま美術館

2005-06-04 04:44:22 | 300 絵画
東京ばかり紹介してたので、久しぶりですが広島紹介シリーズの第4回です。広島県にも美術館がたくさんあり、広島市内には、ひろしま美術館、広島県立美術館、広島市現代美術館と3つのメジャーな美術館があります。今日はその中で一番有名なひろしま美術館を紹介します。

この美術館は昭和53年(1978年)に創業100周年を迎えた地元の広島銀行が、その記念事業として設立したもので、広島市街の中心部の立地の良い中央公園の一角に開館しました。広島のシンボルである原爆ドームをモチーフとした写真のようなドーム型の建物が特徴です。

素晴らしい絵がたくさんありますが、何と言っても有名なのは、下の写真の左側のゴッホの「ドービニーの庭(Le jardin de Daubigny)」(1890年)です。ちなみに参考までに右側は、スイスのバーゼル美術館にある、同時期に描かれたもう一枚の「ドービニーの庭」です。

これまでの通説では、アムステルダムにあるゴッホ美術館所蔵の「烏のいる麦畑」が遺作とされていますが、1999年に出版され日本推理作家協会賞を受賞した、小林英樹氏の著書「ゴッホの遺言」では、この作品を遺作と推理してます。これについては、今となっては真偽の程は分かりません。ただし「烏のいる麦畑」が死を強く予感させるのに対し、この作品には、それを通り超えた、天国への階段を登り始めているような安らぎが感じられますね。

私としてはこの作品が、第2次世界大戦中はドイツの空軍元帥ヘルマン・ゲーリングの手に、その後戦火を逃れて米国に、そして今は原爆が投下された広島にあるということに、感慨深い歴史を感じています。

でも実際には他の美術館へ貸し出されてることが多くて、なかなか広島で見ることが出来ないんですけどね。(笑)

ひろしま美術館バーゼル美術館


ゴッホの遺言―贋作に隠された自殺の真相ゴッホの遺言―贋作に隠された自殺の真相