或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

ピカソ(4)[薔薇色の時代]

2005-06-14 22:18:57 | 300 絵画
「青の時代」の絶望と悲しみの中で、バルセロナで暗い作品を書きつづけたピカソでしたが、1904年にパリのモンマルトルに移住。そこでフェルナンド・オリヴィエと知り合い、恋仲になって同棲生活を始めます。二人が住んでいたのは“洗濯船”と呼ばれる貧相なアパート。セーヌ川に浮かぶ洗濯屋の居住船に似ているため「洗濯船」と呼ばれていたらしいです。

そして画廊で展示会を開いたりする中で、米国の芸術愛好家レオ・スタイン等の目に留まります。絵も次第に評価され始め、経済状態も上向き、貧乏のどん底から脱出。この頃から青中心の暗い色調に、ピンクや土色の明るい色調が次第に入ってくるようになり、いわゆる「薔薇色の時代」に移るわけです。

代表的なもので好きなのは、下の写真のバルセロナのピカソ美術館にある「ベネデッタ・カナルスの肖像(Portrait de Madame Benedetta Canals)」(1905年)とスウェーデンのイェーテポリ美術館にある「ゴソルの若者(Jeune espagnol)」(1906年)。

最近でこそ1901年から1904年を「青の時代」、1904年から1906年を「薔薇色の時代」を呼び分けていますが、昔は同じ時代と認識されていたようです。「薔薇色の時代」といっても別に彼の考え方が急変したわけじゃなく、あくまでもアウトサイダー。ですから時代の名前ほど作品に明るさは感じられませんね。

お気に入りとして、上の写真のロンドンのテイトギャラリーにある「シュミーズの女(Femme a la chemise)」(1905年)を紹介しておきます。確かに青を基調としながらも、少女の凛とした顔や表情に、まさに時代が変化する、その時を感じることができますね。

ところで、この間“群青色”の話をした後この絵を見て、そういえばこの青はどういう青なんだろうと疑問が湧いたので、また別の記事にするかもしれません。(笑)

全絵画写真の引用元:「ON-LINE PICASSO PROJECT」(http://csdll.cs.tamu.edu:8080/picasso/)

B・カナルスの肖像ゴソルの若者