或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

菊地雅章(3)

2005-06-08 22:23:46 | 200 ジャズ
彼は1976年に「東風(ウィッシズ)」を発表します。これは前作と同じく盟友である日野皓正と組んだバンドですが、マイルスグループの元メンバーが加わってます。前作のアコースティックでモーダルな路線から音楽的に完全に方向転換していて、「On the corner」(1972年)以降の電化マイルスの延長線。そしてこの後が、最近クラブ関係者に絶賛されてるらしい「ススト(SUSTO)」(1980年)です。

このシリーズの初回に、彼は私が高校生の頃のアイドルだったと書きましたが、この2枚のアルバムから“追っかけ”をやめちゃいました。

というのも「東風(ウィッシズ)」が発売された時にジャズ喫茶で聞いて幻滅したんです。なんでかって?だって私の好きな彼の個性が消滅。つまり雅楽等の日本古来の音楽のルーツに、洗練されたジャズと彼独特の感性を加えた、日本が香る世界で唯一無比なもの。それがもう感じられませんでした。

先日「ススト」をちゃんと聴いてみましたが、やはり印象は同じでした。ただ2曲目の“CITY SNOW”にだけは、私の好きな彼の面影がはっきりと。「ススト」と同時期に同じ傾向のものが何枚かありますが、それから10年近く彼はアルバムを出してません。ですから私の中の菊地は前回紹介した「イースト・ウィンド」(1974年)で完全にストップ。“CITY SNOW”は私へのサヨナラメッセージ。今思うと私の青春時代のつかの間のアイドルだったんですね。

当時の懐かしい写真が出てきたので紹介しておきます。右端のドラムのエルビン・ジョーンズと「Hollow out」(1972年)を録音した時のスナップです。切りぬきをスクラップしてました。

ウィッシズ/東風(紙)ウィッシズ/東風(紙)

ススト(期間限定)ススト(期間限定)