「のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使い」感想(声優編)

 今更という感じはあるが、やはり映画の感想はしっかりと書いておきたい。
 と言うわけで、映画「ドラえもん のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使い」の感想です。

 今回、映画を鑑賞してから感想を書くまでかなり間が空いてしまったのは、個人的に忙しかった事が一番の原因なのだが、それ以外にも理由がある。
 実は、今回の映画をどう評価したらいいものか、何度考えても困ってしまい、自分の中で「こうだ」とはっきり方向性を示す事が出来ず、感想を書こうにもなかなか書けなかったのだ。

 ストーリーや作画には、アレンジによってよくなったと思える部分もあれば、ここはちょっとどうかと思う部分もあるが、全体としては作り込まれていて好感が持てる。主題歌も、さわやかなイメージで本作の締めくくりとしては合っていると思う。
 ここまで挙げた点について見れば、本作は新たな「魔界大冒険」として十分に楽しめる娯楽作となっており、結構面白かった…と言いたいのだが、ただ一点、「ゲスト出演者(あえて「声優」とは書かない)の声・演技」だけはどうしても気になってしまい、そのため最後まで作品世界に入りこむ事が出来なかった。
 芸能人ゲストは、個人的に公開前から最大の不安要素だったのだが、実際に観てみると、やはり私には受け入れ難かった。つぶやきシローのようなチョイ役なら気にならないが、最重要人物の満月親子三人の声なので、どうしようもない。


 理由も書かずに否定していては、単なる罵倒になってしまう。あくまで個人の感じ方ではあるが、具体的にどんな点が気になって、私にとってはダメだったのかを、きちんと書いておこう。

 まずは、メジューサ役の久本雅美。さすがに演技力は問題ないし、メジューサ役に限って言えば、不気味な感じは合っていた。
 しかし、その反面、美夜子の母としての声には非常に無理を感じた。若くて綺麗な女性らしい声を無理に作っているせいで、変な裏声にしか聞こえない。いっその事、久本雅美はあくまでメジューサ役に限定して、美夜子の母の状態では別の声優を当てた方がよかったと思う。

 次に、満月牧師役の河本準一。この人は、少しかすれた感じの声質が、どうにも満月牧師のイメージに合わず、どのセリフも単に気が短いおっさんが、がなっているよう聞こえてしまった。確かに、原作でも満月博士が怒りっぽいと言う描写はあるが、その一方で知識と経験を積んだ頼もしい博士としての面も持っている人物のはずだ。
 今回の声と演技では、頼もしさは感じられなかった。

 最後に、美夜子役の相武紗季。ゲスト三人の中では、最も演技力に難があったと思う。滑舌が悪く、何を言っているのか聞き取りにくくてイライラさせられたし、セリフに抑揚が足りず、感情があまり伝わってこなかった。
 ドラマ等の演技は観た事がないので評価は不能だが、声の仕事に限って言えば、本作のような重大な役を任せられるレベルではない。この人より演技力があり、かつ美夜子のキャラに合った声が出せる声優は、いくらでもいるはずだ。具体的に名前を出してもいいが、私の好みに偏ってしまうので止めておく。


 結局、最後までこの三人の声に馴染む事が出来ず、それ故に作品に今ひとつ集中できなかった。
 テレビアニメでも、話題づくりのために声優経験の無い、もしくは少ない芸能人を起用する事はあるが、毎週聴いているうちに、役と声がだんだん馴染んでしまう事が期待できる。話を「ドラえもん」に限っても、千秋のドラミには既に慣れてしまってた。
 それに対して、映画は基本的に1回きりの勝負なのだから、声が合わないと感じてしまえば、それで終わりだ。

 昨年の「のび太の恐竜2006」でも、ゲストで船越英一郎と神木隆之介が出演しており、船越英一郎は概ね好評価だったが、神木隆之介については「合っていない」「棒読みだ」と言った批判が、結構見受けられた。私自身は二人とも違和感なく聴く事が出来たので、批判を目にしても「そのように感じる人もいるんだ」くらいの気持ちだったが、ようやく私も神木ピー助に違和感を持った人の気持ちが理解できた。
 逆に、今回のゲスト出演者の演技が気にならない人もいるはずで、その場合は声がどうだと意識することなく純粋に作品を楽しめたのだから、皮肉は一切抜きで、うらやましいと思う。


 今回で「新魔界大冒険」の感想は全て書いてしまう予定だったのだが、声優関係だけで思ったより長くなってしまったので、ここまでにしておこう。声優以外の感想については、次回に書かせていただく。
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