はなバルーンblog

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ビデオ戦士レザリオン #13「休日戦争」感想

2007-12-24 23:44:23 | マンガ・アニメ
・ビデオ戦士レザリオン 第13話「休日戦争」
(脚本/首藤剛志、演出/森下孝三、作画監督/越智一裕)


 文字通り本当に今日は休日なので、初めてリアルタイムで視聴。
 この「休日戦争」は、細かいストーリーは全然覚えていなかったのだが、休戦協定を題材にしたユニークな話と聞いていたので、楽しみにしていた。


 実際に観てみると、これは確かにユニークだ。
 作中で登場する「地球人類平和記念日」の設定は、単なる休戦協定などではなく、戦争が続く地球で世界中の誰もが安心して休める日を作ろうと、全世界で話し合って一年に一度定められた日。
 戦争がどうこうと言う以前に、仕事も学校も休み、テレビ放送もなく公共交通機関すら動いていない。更には、働いたら罰せられてしまう。はっきり言ってしまうと、「ドラえもん」の「ぐうたら感謝の日」そのまんまだ。このネタをロボットアニメで使うとは実に大胆だが、「レザリオン」独特のユルさにはよく合った題材だ。

 ユルさはこの設定だけでなく、作中での主人公・敬の行動にも見て取れる。
 「世界平和記念日」の一日だけは、たとえ敵が襲ってきたとしても、応戦した側も罰せられる。今回のエピソードではそれを逆手にとって、反乱軍の一部による独断で地球に攻め込んだ形で基地を攻撃して、あわよくば反撃したレザリオンを処分する事も出来るという狙いで進められた作戦がしかけられている。
 だからレザリオンも戦えずに防戦一方で絶体絶命、本来なら非常に緊迫感が出るはずの戦闘場面なのだが、ここで敬は、開き直ってレザリオンをコンピュータの自動操縦に切り替えて、試験勉強を始めてしまう。更に、途中から勉強に疲れて居眠りをはじめる始末。緊張感もなにもあったものではない。これには笑ってしまった。敵のストレート中佐が真面目に戦っているのが、ちょっと可哀想なくらいだ。
 しかし、こんなに主人公にやる気がなくても、記念日で軍人も皆休みを取っているため襲われた基地も無人であり、人的被害は心配しなくてもいい。だからこそレザリオンは敵を引きつけるだけで「基地への攻撃を無くす」という役割を十分に果たしているのだ。このあたり、「地球人類平和記念日」の設定が上手く使われており、単なる一発ネタではなく練った脚本だと言う事が伺える。
 それにしても、自動操縦で電送(=ワープ)を繰り返すだけのレザリオンに全くダメージを与えられないのだから、反乱軍は情けない。逆に言えば、それだけレザリオンの能力が反則技レベルだと言えるのだが。


 面白いエピソードだったので、この路線を続けて期待したいところだが、以前に書いたとおり、後半は路線変更で宇宙人・ジャーク星人との戦いになってしまう。
 1話から観ていると、初期から宇宙人の来襲については伏線が張られているのだが、前半の路線をそのまま進めていたら、ジャーク星人のようなわかりやすい侵略者ではなく、もう少しひねった設定になっていたのではないだろうか。
 今回の「休日戦争」を観て、もし本来予定していた構成のまま1年間放映されたらどうなっていたか、あらためて気になってしまった。初期設定を載せたムック本でも出てくれればいいのだが、この作品の知名度では難しいだろう。