虫

　　　　　山荘のこれより先は虫の宿　　　　西本明子

山荘までの道のりを、虫の音や秋の草花に迎えられながら歩いているのだろうか。歩道が行き止まりになった所で、目的の山荘に到着する。「これより先は虫の宿」だという作者だが、「山荘」と「虫の宿」が同格に置かれ、互いの領域を侵さないという割り切り方が面白かった。そして「虫の宿」に、アニミズムの世界が広がるのを感じた。「阿蘇」１２月号〈雑詠〉より抄出。(Midori)