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十七音のアンソロジー★。・.:・゜'☆,。.:・゜'★

虚と実のあはひに遊ぶ  Since 2008 by Midori♡ H

「阿蘇」6月号

2020-06-01 | Weblog
大空へつづく轍や花菜風
初蝶に風の手のひらありにけり
世の闇の修羅となりゆく猫の恋
異界よりふぶいて来たる桜かな

*「阿蘇」6月号、岩岡中正選

6月も、結社の句会の開催は中止となり、主宰により通信句会へと切り替えられた。熊本県内は感染者ゼロが続いていると言っても、不急の外出はしたくないという思いはいつまでも続く。さて、従来の句会ができるのはいつの事やら。(Midori)

柿若葉

2020-05-28 | Weblog
解除宣言が出され、およそ5か月ぶりに近くの美容室に出かけた。小さな美容室だが、いつものスタッフが皆さん揃っていた。いろんな業界で縮小や廃業のニュースが飛び交う中、皆さんで頑張って支えて来られたのだと思うと、言葉にはしなくても、エールを送りたい思いだった。(Midori)

   窓越しに見ゆる未来や柿若葉

「阿蘇」5月号 ☆犬ふぐり

2020-05-22 | Weblog
あめつちに溶けやすき色犬ふぐり     木村佐恵子
犬ふぐり地下水脈の音を聴く           〃

「犬ふぐり」のイメージを脱するのは難しいが、掲句の二句は、切り取り方に変化があって新鮮。「水色」や「空色」と言わずに、「あめつちに溶けやすき色」と、自然の色合いを想像させる楽しさがあるし、二句目においては、大地に音を、「地下水脈の音」とまで飛躍して見事である。(Midori)

「阿蘇」5月号 ☆燕

2020-05-17 | Weblog
病床の夫の目線をつばくらめ      宗像和子

「つばくらめ」を詠みながらも、作者の視線のさきにあるのは「病床の夫」。夫の目線をいつも追いながら、心を一つにしている作者である。「目線を」の「を」に、「目線に」とは違う細やかな愛情が感じられた。(Midori)

「阿蘇」5月号 ☆二月尽

2020-05-13 | Weblog
チョコレート売場二月の異空間      東 陽子
ウイルスに右往左往の二月尽        〃

一句目、言わずと知れたバレンタインデーチョコレートの特設売場。華やぎを感じつつも、「異空間」であることは否めない。決して珍しい情景ではないが、斬新な一句として眼を引いた。
 二句目、二月から始まったコロナ感染である。5月になって、時鳥の第一声が聞かれる中、緊急事態宣言の解除が切に待たれる。(Midori)

「阿蘇」5月号☆草餅

2020-05-08 | Weblog
未来まだ果てなき頃の草の餅       永村典子

「未来」ではじまって、「草の餅」への展開に意外性があって見事!眼前の「草の餅」でありながら、「果てなき頃の」という郷愁の思いが切なく迫ってくる一句。類を見ない新鮮な作品に共感を覚えた。(Midori)

「阿蘇」5月号 ☆冴返る

2020-05-03 | Weblog
木の瘤に忿怒の相や冴返る
踏青や一身発条となりゆける
せせらぎのやうな大空花なづな
田鶴一羽農夫のやうに佇める

*「阿蘇」5月号、岩岡中正選

立春の頃の句である。「忿怒の相」と見たのは全くの偶然であるが、このたびの災いは、文明によって自然界のバランスが崩れたからという仮説も出されている。改めてライフスタイルの見直しを迫る大きな転換期を迎えているのだと真摯に向き合いたいもの。(Midori)

藤の花

2020-04-29 | Weblog


揺れ止まぬ丈となりたる藤の花

胡瓜蒔く

2020-04-26 | Weblog
週に2回と決めていた買い物を週に1回にした。冷凍保存できるものは助かるが、すぐに不足する食材が野菜。そこで庭のあちこちに野菜の苗を植えてみることにした。収穫できれば、買い物の回数を減らすこともできるし、まさかの長期戦に備えることもできる。季語では、「種蒔く」とあるように、かつては種を採っておいたと思われるが、今では、立派な苗がいろいろと出ている。ピーマン、トマト、胡瓜、苦瓜の苗を植えてみたが、さて?(Midori)

生きがたき世の隅に蒔く胡瓜かな

大津山Ⅱ

2020-04-25 | Weblog



この春、5回目の大津山登山。低山とは言え、登り終えた達成感は大きい!中腹には、素敵な四阿もあり、借景も楽しめる。(Midori)

登頂やくすくす山の笑ひをり
連なれる山はさみどり雲雀東風

大津山

2020-04-17 | Weblog

本日曇り。コロナストレス解消のため南関町の大津山に登りました。大津山は、容姿が富士山に似ていることから、「南関富士」とも呼ばれています。登山ルートはきれいに整備されていてとても安心。


約30分で、標高256mの山頂到着!迎えてくれたのは鶯の鳴き声と遙かに見える有明海。


鳥居の中央付近に見えるのが、大津山。
帰りには大津山神社に、コロナの早期収束をお願いして帰りました。(Midori)

「阿蘇」4月号 ☆寒鯉

2020-04-14 | Weblog
寒鯉に動かぬ力ありにけり
梟や闇より暗き山の影
風除に遠き潮騒ありにけり
海神のこゑの冴えゆく干拓地

*「阿蘇」4月号、山下しげ人選

【選評】 「寒鯉」を俳句にするときには動かない姿を詠むのが常套的なやりかたです。しかしこの句は、寒鯉の単なる表面ではなく動かぬことに力を尽くしている姿、目には見えないところを観て詠まれた一句です。言い換えるならば寒鯉の本質を掴み取ったものであると言えるでしょう。(しげ人)

思いがけず二度目の巻頭を頂いて、無上の喜びと感謝。「季題を詠む」ということに徹した俳人であり選者である。季題を正面から見つめて、その「本質を掴み取る」ということをこれからも学んでいきたい。(Midori)

夕桜

2020-04-10 | Weblog
新型コロナウイルスの感染者は、熊本県で23人となった。一日に1人か2人ではあるが、急激な感染拡大となる可能性はゼロではない。すべては一人一人の意識にかかっている。こんな非常事態の中、「俳句を詠む」ということは、熊本地震の時とよく似ている。「地震」という非常を詠みたくない人と、現実を見つめようとする人・・・。一か月先、一年先を思うと不安になるが、自分にできることと言えば、人との接触を最小限に抑える事しかなさそう。(Midori)

   目に見えぬものを怖れて夕桜

「阿蘇」4月号 ☆鴨

2020-04-05 | Weblog
天日も水に漂ふ鴨日和      山下さと子

平明で、見逃してしまいそうな花鳥諷詠の一句。しかし改めて鑑賞すれば、「天日も」の「も」による景の広がり、「漂ふ」による「鴨日和」へのイメージの深化など、細部への作者のこだわりが見えて来る。(Midori)

「阿蘇」4月号☆

2020-04-03 | Weblog
祈る手に天地のこゑ初日さす
産土の神も加はる初句会
父の忌の冬日は白湯のごとありぬ
相寄りて鴨が水脈ひく日和かな

*「阿蘇」4月号、岩岡中正選

令和2年は、初日の出にはじまり、思わず手を合わせたもの。一日も早い収束を祈るばかり。(Midori)