「天国へのポルティコ」を上りきったところに立っているのが、マドンナ・ディ・サン・ルーカ聖堂です。
ポルティコはこの聖堂の2階の入り口前の回廊につながっているのですが、
聖堂に入る前に、いったん正門まで下りて外観全体を眺めてみましょう。
聖堂はきれいな円形をしていて、作られた時期が新しいためか、
ボローニャ旧市街にある教会たちとは少し異なる雰囲気です。
聖堂の左右にはちょうど翼を広げたように回廊があり、
向かって左側の回廊から「天国へのポルティコ」がふもとまで伸びています。
中に入ると、まずクーポラの天井画のあざやかさに目を奪われます。
シンメトリーにつくられた聖堂は、クーポラをはじめ多くの窓から光が差し込み、明るい印象を受けます。
この聖堂にある聖母マリアの像は、毎年一度、
4月~5月に旧市街まで運ばれるそうで、
一説には「天国へのポルティコ」もマリア像を
雨に濡らさずにふもとまで運ぶために
つくられたとのことです。
今の聖堂が建てられたのと、
ポルティコがつくられたのは、ほぼ同時期です。
それまでの聖堂はどんな姿をしていたのでしょうか。
見事な祭壇に見入りながら、
立派な聖堂が作られる前は、
きっと素朴で質素な聖堂にマリア様が
まつられていたに違いない、
と勝手な想像をめぐらせていたのでした。
再び外に出て、あたりを見回すと、
北側にはボローニャの街並みが、
南側にはなだらかな山々の眺めが広がっていました。
あの山々の向こう側はフィレンツェかぁ…。
またフィレンツェに行ってみようかな、なんてことを考えながら、私たちは聖堂を後にしたのでした。