オルヴィエートには、イタリアでも有数の美しいドゥオーモがあります。
このドゥオーモを見るだけでも、オルヴィエートに来る価値があるでしょう。
ファサードは、シエナ出身のロレンツォ=マイターニのプランによるためか、
シエナのドゥオーモに非常によく似ています。
シエナのドゥオーモと比べると、彫刻が少ない分すっきりした印象があり、
全体が一枚の三連祭壇画のように見えます。
また、バラ窓とその周囲に細かい装飾がほどこされている点も、シエナとの大きな違いです。
ファサード下部と正面扉は、浅浮き彫りで装飾され、ファサード全体の印象を引き締めています。
ドゥオーモの建築は「ボルセーナの奇蹟」(ボルセーナの町で、
ミサの最中に“キリストの身体”の象徴として信者に配られるパンから、
キリストの血がしたたり落ちてきた)の聖遺品である血のついた麻布を納めるために、
13世紀の終わりに始められました。
完成には一世紀以上の年月がかかっており、ロマネスクとゴシックが複合した建築様式です。
内部はロマネスク様式のシンプルな構造ですが、
後陣がゴシック風のステンドグラスと壁一面のフレスコ画で飾られているため、
華やかさもあわせ持っています。
朝もやの中にぼんやりと浮かび上がるドゥオーモのファサードは、神秘的な雰囲気がいっそう強まります。
また、夕方になると、金色をベースにしたモザイク画が夕日を浴びて全体が美しく輝きます。
多くの人が、ドゥオーモの正面向かいにある建物の外壁の出っぱりに腰掛けて、
長い時間ファサードに見入っていたのがとても印象的でした。