地図のギャラリーからラファエッロの間までのあいだには、いくつかの部屋を通っていきますが、
私が特に強い印象を受けたのは、「無原罪のマリアの間」です。
鮮やかな天井画。作者が誰なのか知りたかったのですが、よくわかりませんでした。
ただ、この部屋が現在のようになったのは19世紀らしいということだけが理解できました。
天井の紋章はピオ9世のもの。聖母マリアは“Immacolata”だと定義した教皇ですね。
また、長崎の26聖人を列聖した教皇でもあります。
イタリア軍に教皇領を制圧され「ヴァチカンの囚人」と自分のことを表現したと、
世界史で習ったことがある人もいるかもしれませんね。
紋章のまわりに1858年とあるのは、この部屋を整備した年でしょうか。
壁画も、政治色がミエミエでげんなりする部分もありますが、
ラファエッロの作品と比べても、決して見劣りしません。
その手前には、聖母マリアの像が立っています。
ツアーなどでヴァチカンを回った人は、たぶん素通りしてしまっている部屋でしょうが、
もう一度訪れる機会があったら、ぜひ足を止めてみてください。
ヴァチカン物語 (とんぼの本) | |
塩野 七生,藤崎 衛,石鍋 真澄 | |
新潮社 |