システィーナ礼拝堂を出ると、今度はヴァチカン図書館です。
疲れてきていた私たちは、ぼんやりとながめてまわっただけですが、
装飾の美しさには目を見張るものがあります。
上の写真は、ウルビーノ8世の回廊です。宝石箱のようですね。
これは、サン・ピエトロ広場にオベリスクを立てるときの様子を描いたフレスコ画です。
現在の大聖堂の姿になる前の姿がよくわかります。
16世紀のパンテオンが描かれた板絵を見つけました。当時はこんな風に鐘楼があったんですね。
かなり違和感を感じるのは私だけでしょうか。
この回廊を通り抜けると「システィーノ5世の間」です。
あまり知られていませんが、この「システィーノ5世の間」の装飾は必見です。
システィーノ5世といえば、ローマの街を大改造した教皇ですよね。
システィーナ礼拝堂を見たあとには、ぜひ図書館にも立ち寄ってみてください。
天井のフレスコ画が美しい階段をいくつも下っていくと、いよいよヴァチカンの至宝、システィーナ礼拝堂です。
入り口は廊下の途中突然に現れます。特になんということはない小さな入り口から一歩中に入ると…。
壁という壁に描かれたフレスコ画。その圧倒的なスケールに思わず息をのみます。
ミケランジェロの天井画はもちろん、ボッティチェルリやギルランダイオの壁画も、
他では見ることができないすばらしい作品ばかりです。
正面入り口の上には、だまし絵で窓がかかれています。
こうして見ると、ミケランジェロの描いた天井部分がより一層鮮やかな色彩で描かれていることがわかります。
ダ・ヴィンチが多用した空気遠近法を嫌い、絵画を彫刻のようにくっきりと描く
ミケランジェロの個性がよく出ていますね。
こちらは天井部分です。「アダムの創造」が写真中央やや右下に描かれています。
こちらも驚くほど鮮やかな色彩です。
そして、これが「最後の審判」です。
これだけの巨大な作品をたった一人でかきあげたミケランジェロの精神力には、ただ驚かされるばかりです。
それにしても、ミケランジェロは筋肉好きですよね。
ちょっとだけ気になったのは、礼拝堂の中が静粛な雰囲気とはほど遠かったことです。
もともと小声で話しても音が響きやすい構造になっているのに加えて、中にはあふれんばかりの見学者。
それぞれが少しずつささやきあっているので、礼拝堂の中は絶えずざわめいています。
警備員が何度も「Silenzo!」と注意するのですが、しばらくするとまた元通りに。
また、フラッシュをたいて撮影する人のストロボライトやシャッター音なども気になりました。
これだけの作品ですから、ぜひ静かにじっくりと鑑賞したいと思うのですが、どう思いますか?
システィーナのミケランジェロ (ショトル・ミュージアム) | |
青木 昭 TV局のディレクターとして、システィーナ礼拝堂の修復作業の記録責任者となった 著者が語る、ミケランジェロと修復をめぐるエッセイです。 |
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小学館 |
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