マヨルカ焼のタイルのクーポラが印象的な、ポジターノの街の中心に立つ教会です。
このクーポラは、ポジターノのシンボルといってもよいでしょう。
教会は、海岸からつづく土地より一段高いところに建てられていて、ファサードの前は小さな広場になっています。
ファサードと鐘楼のデザインや装飾はいたってシンプルで、アマルフィのドゥオーモとは対照的です。
もっとも、今の姿になったのは、アマルフィのドゥオーモより600年もあとのことですから、
比較するほうがおかしな話かもしれませんが…。
中に入ると、白を基調にした色合いのためか、また採光のための窓が大きくとられているためか、
非常に明るい印象を受けます。
後陣奥の主祭壇には、内装とは少し違和感のある、
金箔をふんだんに使ったビザンチン様式の黒い聖母子の絵が祀られています。
この絵には、ポジターノの町の名前の由来にもなっている伝説が語り継がれています。
昔、海賊がこのあたりを襲い、
戦利品としてこの絵を持ち帰ろうとしたところ、
海が大荒れになり、今にも船が沈みそうになったそうです。
そのとき、海賊は「Posa、Posa」
(置いていけ、置いていけ)という不思議な声を聞き、
この絵を浜に置き捨てたところ、
海は見る見るうちに静まり、海賊はそのまま逃げ帰った、
という話です。
そのため、この土地は「Positano」と呼ばれるようになり、
町を救った聖母子像を大切に祭ってある、ということです。
なんだか「おいてけ掘」みたいですね。