よく知られているように、ナポレオンが「世界一の大広間」と呼んだのが、ここサン・マルコ広場です。
ヴェネツィアには「Piazza(=広場)」と名の付く場所は、
現代になってローマ広場が造られるまで、サン・マルコ広場ただ一つだけでした。
「広間」の名の通り、
ここはヴェネツィアの人たちの社交場となっています。
カフェやバールが軒を連ね、
晴れた日にはオープンカフェも出て、
弦楽器などの生演奏も楽しめます。
私たちは、その中の一つで、
ヴェネツィアで最も古いカフェ
「フローリアン」に入ってみました。
歴史を感じさせる内装と、
カメリエーレの上品な立ち居振る舞いは、
さすがに一流と思わせるのに充分でした。
ただ、値段のほうも超一流です。
一杯のエスプレッソが、南イタリアの小さな町のバールで
立ち飲みするときの10倍はしますから、気をつけて。
とまあ、ふだんは平和なサン・マルコ広場ですが、
ひとたびアクア・アルタ(高潮)がやってくると
大変なことになります。
床石のすきまのあちこちから海水がじわじわと染み出し、
しばらくすると、広場は一面水浸しです。
そのようなときのために、
広場にはあちこちに高床式の渡り廊下のようなものが
用意されています。
そんなときには、あたりが本格的に水浸しになる前に、
広場の一角にある鐘楼に登ってみましょう。
鐘楼の上からは、ヴェネツィア本島だけでなく、
ジューデッカ島やリド島、
また本土のメストレや遠くの山々まで、
360度のパノラマを見渡すことができますよ。
ヴェネツィア案内 (とんぼの本) 価格:¥ 1,575(税込) 発売日:1994-05 |