ドゥカーレ宮殿のならびには、ヴェネツィアで最も大きな教会、サン・マルコ寺院があります。
サン・マルコ広場に向かって立つこの建物は、ビザンチン様式で、
東方世界の影響を強く受けた建築になっています。
多くのイタリアの教会とは異なり、いわゆるギリシア十字のプランに、
天井部分がすべて丸天井で、しかも内部もファサードもいたるところ金で装飾されており、
“満艦飾”とはこのことをいうんだと思わせるけばけばしさです。
床は一面モザイクで覆われていますが、やはりヴェネツィア、
地盤のゆるみなどの影響でしょうか、だいぶでこぼこしています。
鐘楼から見たサン・マルコ寺院。
ギリシア十字のプランの上に5つの丸天井が乗っている様子がよくわかります。
ここには、聖マルコの遺骸が納められているそうですが、実際にはそれらしきものはどこにも見当たらず、
ちょっと???な感じです。
そもそも聖マルコの遺骸だって、エジプトのアレクサンドリアから拝借?してきたものなわけですから、
あやしい雰囲気いっぱいなわけですが、ヴェネツィアでは、そんなこと口がさけても言えません。
また、サン・マルコ寺院は、「大聖堂」ではなく「寺院」と訳されるのが一般的になっていますが、
これは、この教会が永らくドージェの統括のもとに置かれ、
ローマ法王の管理下になかったこと
(つまり、法王が任命した大司教がいる教会でなかった)ためだとのことです。
街で最も権威のある教会が、法王から事実上独立していた、というあたりもヴェネツィアらしいですね。
とまあ、いろいろと訳ありなサン・マルコ寺院ではありますが、
夕暮れ時、西日を受けてきらめくファサードは、
まさに「栄光のヴェネツィア」といった言葉がふさわしい輝きを放っています。