チヴィタ・ディ・バニョレージョへは、隣町のバニョレージョからしか行くことができません。
バニョレージョのバスターミナルから町はずれの“展望台”と呼ばれる場所まで、
ミニバスが運行されています。
歩いても20分くらいですが、それに乗った方が便利です。
“展望台”には、リストランテが一軒あり、そこからはチヴィタの全景を見渡すことができます。
“展望台”から坂を下りると、
軽自動車がやっと通れるくらいの幅の橋がかかっており、
これを渡ってチヴィタの街に入ります。
この橋を渡る以外にチヴィタに入る方法はありません。
橋はけっこうな高さがあり、
おまけに途中からかなりの急傾斜になっています。
高所恐怖症の人は、ここに住むのは無理かもしれませんね。
橋を渡り終わったところには、小さいけれどしっかりした造りの門があり、
この門をくぐると、そこがチヴィタ・ディ・バニョレージョの街です。
街に入ると、そこは中世そのものです。細い石畳の道に、レンガ造りの家。
ブランドショップやスーパーマーケットなど、現代的なものは何ひとつありません。
しかし、どの家も良く手入れされており、鉢植えの花や緑が街のレンガ色によく映えています。
門をくぐってから、メインストリート(と呼べるほど広い道ではありませんが)を50mも進むと、
街の中心である広場にでます。
ここにはサン・ドナート教会があり、バールも一軒だけあります。
広場では、何匹かの猫が気持よさそうにくつろいでいました。
この街では、まるで時間の流れが止まっているかのようです。
広場から再びメインストリートを100mほど進むと、そこは行き止まりになっており、
もうチヴィタの町はずれです。
そこからは、トゥーフォの風景だけが広がっています。
わずか200mほどの楕円形をした台地の上に建つ街、それがチヴィタなのです。
行き止まりから少し戻ったところに、
ひとりのおばあさんが座っていました。
近くまで行くと、手招きをしながら声をかけてきます。
どうやら、自分の家の庭から景色を眺めていけと言っているようです。
私たちは、お言葉に甘えて、庭からの景色をしばらく楽しみました。
その帰り、おばあさんにあいさつをすると、
チップを要求するではありませんか。
少し複雑な気持になりましたが、
チヴィタの街に寄付するつもりでチップを置いて帰ってきました。
そのあと、広場に戻った私たちは、広場の近くのオステリアで
サルシッチャやブルスケッタの素朴な昼食をとりました。
そして、この小さな街が、いつまでも今のままであるようにと思いながら、
チヴィタを後にしたのでした。
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