JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

文章の行間、映像の行間

2006年11月09日 | a-c

  聖杯は古のロスリンの下で待ち
  匠の美しき芸術に囲まれて横たわり
  その門を剣と杯が庇い護る
  ついに星の輝く空のもとに眠る

「遅い!」と怒られそうですが、『ダ・ヴィンチ・コード』の映画版をDVDで鑑賞いたしました。原作を読んでおかないと内容がわかりにくいとの事前情報もありましたけど、私的にはそうとも思えませんでした。まぁ、私は原作をすでに読んでおりましたから、そのせいかもしれませんけどね。たしかに原作ではもう少し複雑で、何度か読み直さないとわからなくなることもありましたから、展開の早い映画では伝わりにくい点もあったようには思います。

映画と原作との関係に関しては昔から、「原作と違う!」とか、「原作をバカにしている」とか、あるいは逆に「原作以上の出来」とか、作品個々でいろいろ言われてきましたよね。
私は極力、映画と原作は別物として観るようにしています。それでも、

邦画で『砂の器』という映画をご覧になったことがあるでしょうか?
私はこの映画を始めて映画館で観たとき、最後のテロップを読んでガッカリして帰ってきた覚えがあります。
当時、私は邦画をほとんど観ない少年でした。しかし、『砂の器』は松本清張氏の原作を読んでおりましたので、邦画とはいえじつに期待して映画館へ出かけたのです。
それが、最後のテロップ・・・それだけで・・・・
「何を映画なのに、文章で趣旨説明みたいな無粋きわまりないことを、やってんだよ!」みたいな(笑)今だったらあんなに怒らないでしょうけど。
ちなみに、怒られるかもしれませんが、TBSでやってた仲居君のあれは、論外ですよ。

一方、原作を読みながらも感動したのは、宮本輝原作の『泥の河』だったですね。たしか小栗康平監督のデビュー作品ではなかったでしょうか?
母親が売春婦であるが故に差別を受ける喜一姉弟、それを温かく見守る対岸のめし屋の夫婦と男の子、信雄。ラストで、逃げるように去っていく廓舟を追いかけ「きいっちゃーん」と叫ぶ信雄を思い出すと、それだけでジーンときてしまいます。
あの白黒の画面から伝わるものは、じつに大きかった。今でも、バブ的邦画ランキングではベスト3にまちがいなくランクインしますね。

おっと、映画と原作は別物として、なんて偉そうなことを言いましたけど、洋画に関して言えば、原作を読まずに映画だけ観たという作品の方が確実に多いですね。
昔の『白鯨』だとか、『老人と海』だとか、『風と共に去りぬ』なんかは原作も読んでいますが、ハリポタ・シリーズなど、原作のゲの字も読んでおりません。
「いやぁ~、洋画は好きでも、西洋文学はあまり興味がないもので・・・・」
って、やっぱり言い訳にしか聞こえませんよね。

洋画の原作もこれからは読んでみることとして、原作には原作の、映画には映画の良さを味わっていきたいと思います。
最後にもう一つ、『ダ・ヴィンチ・コード』もそうだったように思うのですが、最近の映画は、行間がなくなってしまったように思います。文章には文章の行間、映像にも映像の行間、バブ的には、残して欲しい感覚です。

さて、今日の一枚は映画とは全く関係ないんですが、ポール・チェンバースです。
セックステット、クインテット、カルテット、トリオ、全パターンが楽しめるというアルバムです。
ブルーノートのアルフレッド・ライオンは、「どのチェンバースが、よろしいでしょうか?」って確かめようと思ったのですかね?
ちなみに、私はトリオがお好みかな。えっ?コルトレーン好きなのにかって? そうであってもこれはこれです。

WHIMS OF CHAMBERS / PAUL CHAMBERS
1956年9月21日録音
PAUL CHAMBERS(b) DONALD BYRD(tp) JOHN COLTRANE(ts) KENNY BURRELL(g) HORACE SILVER(p) PHILLY JOE JONES(ds)
1.OMICRON
2.WHIMS OF CHAMBERS
3.NITA
4.WE SIX
5.DEAR ANN
6.TALE OF THE FINGERS
7.JUST FOR THE LOVE

おまけ、
るなさんから、「昨日の写真のグラスとライターは?」とのコメントをいただきましたので、柄がわかる写真を掲載させていただきます。
グラスは、友人のバーボン・ストリート土産、ジッポーは以前このログでも紹介した、4代目シルバー・ジッポーです。本当はね、何も柄がないものが好きなんです。3代目まではそうだったんですけどね。ちなみに前回我がジッポー軍団の写真を掲載しましたので、おまけで、「My House Bar」のグラス達と我がジッポー以外オイル・ライター軍団を載せてみました。







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2 コメント

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わぉ~~ (るな)
2006-11-10 09:25:40
なかなかマニアックですねぇ。
私は、タバコはいただきませんが、道具をみるのが好きなのです。
造った人のこだわり、仕入れる人のこだわり、売るプロセスのこだわり、買う人のこだわり、使う人のこだわり、
様々なこだわりがそこにあり、小さな物語がその中に、その人の中にあると思うから。

ひとつのモノ、そこに想いが必ずありますものね。

お気に入りのグラスと、美味しいお酒、心地いいBGM。
至福の時がそこにありますね。


バブさん、大事なものを見せてくださってありがとう。

久々に、うつわ屋さん覗きでもしてこようかなぁ。
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るなさん (バブ)
2006-11-11 16:17:53
以前、記事にしたこともあったのですが
私は器が大好きで、特に酒器(ピッタリでしょ)は、ぐい飲みを中心にそうとう数持っています。
もちろん、安物揃いですけどね。

「器は使っての器」がポリシー(?)で
手に入れた酒器は全て使うようにしています。
手に収まる酒器は、酒を注ぐたびにそれぞれの思い出が蘇ったりして、
う~ん、たしかに至福の時ですね。
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