ガリバー通信

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厚労省元局長冤罪事件。

2010年09月11日 | テレビマスコミ
 障害者団体の郵便割引制度を悪用した虚偽有印公文書作成、同行使罪に問われて、求刑では懲役一年六ヶ月を言い渡されていた、厚生労働省の局長だった村木厚子被告に大阪地裁は無罪を言い渡した。

 検察が捜査を通じて描きあげた「代議士の関与、局長の指示、課員の実行犯」という構図自体が全否定された形で、村木被告は満面の笑みで記者会見し、「自分の時間をこれ以上奪わないでほしい」と訴えた。

 完全に検察の敗北である。たぶん控訴はむりだろうから「無罪が確定」、国家公務員の「冤罪事件」として、今後も語りつくされる例となるであろう。

しかし、この事件の背景を考えると、いろんな人間の欲と欺瞞、それに公務員の姿、役得など多くのエゴが介在しているという、シビアな背景が見え隠れしている。

 ともかく、村木厚子被告は逮捕されて以来、ずっと「無罪」を主張してきたらしいが、国会での局長としての答弁ぶりや日常の顔立ち、話し方、振る舞いなど私たちから見ると、何とも高級官僚の冷たさと共にちょっと偉そうにも感じる「公務員らしさ」を感じずにはいられなかった。

 たぶん、普通の女性で主婦であったとしても、厚生労働省に関わらず、国の省庁の幹部官僚となってしまわれると、少なからず多種多様なお誘いや誘惑が周辺に忍び寄ってきたり、ご近所や知人、友人との関係も、「高級官僚」と一目置かれてしまい、徐々に孤立感や非人間的な風情を感じさせてしまう様な振る舞いになってしまったりするのではないだろうか。

 国会内答弁や裁判になってからの記者会見やコメント取材なども、どうしても「女性官僚エリート」としての物腰や言い回しが目だって、一般庶民のテレビや新聞報道から感じる印象は、決して「無罪」を信じるよりも「胡散臭さ」を感じざるを得ない感じが強かったのではないだろうか。

 一昨日の「無罪判決」後の村木被告の「満面の笑み」の写真やテレビ取材の様子は、全く百八十度違っていて、ひとりの中年女性として、やっと自分の主張が裁判によって認められたことによる安堵感と共に、普通の女性としての穏やかな表情の素顔であった気がする。

 厚生労働省の元係長である上村勉被告が「村木元局長からの指示」とする捜査段階での調書を公判で全面否定したことと、障害者団体の代表が「村木被告から偽証明書を受け取った」とする証言にも信憑性が乏しく、さらに参議院議員の口添えについても認定が出来なかった。

 今回の裁判では検察が捜査段階で作成した「証言より信用できる」として提出した43通の調書を証拠とし請求したが、裁判長は「取り調べに問題がある」として、上村被告と障害者団体の倉沢被告の全調書など34通を却下し、検察の捜査段階からの事件に関する構図とでもいうべき予測、憶測が全面否定された珍しいケースとなった。

 この裁判は最終的に結審したわけではないが、たぶん検察の控訴も断念されて「村木被告の無罪が確定」するだろうが、官僚機構と公務員たちの仕事と権力や人間的弱さを巡る象徴的な事件として、後世に語り継がれることであろう。

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