ガリバー通信

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いつまで続くタイの大洪水?

2011年11月09日 | とんでもない!
 日本国内の大問題は連日テレビや新聞を中心に報道されている「TPP参加か否かであるが、一方タイの大洪水も連日報道されていて、タイのモンスーン期である7月下旬に始まったとされる「大洪水」は、何と3ヶ月以上を経過したのに、未だに衰えるどころか、はじめはタイ中部の世界遺産でもある「アユタヤ遺跡」で有名な地域が浸水していたのに、現在はタイの首都であるバンコクノ中心部にその被害が拡大しているという状況が伝えられている。

 タイの有名な川としてチャオプラヤ川とメコン川があるのだが、このチャオプラヤ川流域で降った台風による豪雨が次第に集まって洪水となり、徐々に南下し北東部ではメコン川に流れ込むチー川とムン川に流れ込んだ大量の雨水が沿岸部の丘の側を通ってタイ南部や東部に洪水という形で押し寄せているのだという。

 そもそも、タイ中部の農村地帯では複数のダムや灌漑用の水路はあっても、大規模な放水路や排水制御システムが十分ではなく、毎年のごとくこの熱帯低気圧、台風シーズンには洪水は恒例行事のようなもので起こっていたらしいのだが、今年の大洪水はともかく記録的なもので、タイの二大河川であるチャオプラヤ川とメコン川流域で甚大な被害が出ていて、三ヶ月以上に及ぶ大洪水の被害は死者が450名を超えて、被災住民は約250万人以上に達し、直接的な被害総額も概算で1500億バーツ、4000億円を超えるといわれている。

 特に日本で報道されていたのは、タイ中部の古都アユタヤ周辺に工場を持つ日本企業が多大な被害を受けているというニュースであったが、タイには何と日系企業の進出が多く、延3100社に及ぶ企業がアユタヤ県のロジャナ工業団地をはじめとするタイ国内にあって、ホンダ、ニコン、トヨタ、日産、ソニー、東レ、TDK、クボタなどの工場で被害が報告されているというのである。

 その中でタイでは世界シェアの30%に及ぶHDDが生産されているらしく、その生産に伴う部品の供給元である日本電産、レンズメーカーのHOYAなどもタイ国内に生産拠点を置いているし、IT産業の主力部品であるHDDの商品価格の高騰なども起きていて、大きな影響が出ているらしい。

 また大手自動車メーカー各社もタイからの部品調達の見込みが立たない現状から、主力車の生産拠点を移したり、他国の生産拠点からの逆輸入などの方策を駆使して、少しでも被害の縮小化に努めたいと努力しているらしいが、現在の円高状況下で、さらに大きな影響が拡大する恐れがあるといわれている。

 とにかく、タクシン元首相の妹さんであるインラック女性新首相が、この大惨事の政府の救援ならびに対策の指揮を執っているらしいのだが、時折報道される彼女の姿や今後の見通しなどについてのメッセージも含めて、タイ国民ならずとも「頼りにならない」、「当てにできない」といった感が否めない印象が強く、日本企業もタイの被災住民も「自己責任」で、自助努力が一層必要な様である。

 8月当初に初めて、このタイの大洪水が報道された際には、バンコクの国際空港に設置されていたらしい「洪水対策本部」は、バンコクに洪水が迫って、空港の機能も国内線は発着不能という状態になった様で、別な場所に対策本部が移されたらしいのだが、さらにそこも洪水の被害を免れない状況となったらしく、再度政府は対策本部の拠点を第三の場所に移転したというから、いかに政府も予測や対応が出来ていないことを明確に世界に発信していることとなった。

 抜本的な対策がどの様に講じられているのかが全く不明なのだが、我々日本のお茶の間に放映されている大洪水の状況映像から察するとすれば、住民たちが自己防衛のために「土嚢を積んでいる」とか「舟で移動する」とかの緊急策を講じていることしか見えて来ない有様で、こんなにも長期に亘っての大洪水状態で心配されているのが、不衛生状態から発生する感染症やコレラ、腸チフスなどの病気の蔓延である。

 やっとこさ、中国、ニュージーランド、日本及びアメリカが救援活動のための支援と援助を約束し、国際的なサポートが始まっているといわれているのだが、タイの人々の国民性もあいまって、まだまだ暑さを感じる大洪水被災地であるので、子どもたちが洪水状態の汚水の中で「水遊び」の様に興じている有様が、何とも救いようのない苦笑いをせざるを得ない苦境を物語っている様でならない。

 日本も東日本大震災や大津波、原発放射能被災と台風12、15号による豪雨による被災という、自然災害および人為災害も含めて、大きい救援活動と継続的支援が必要な状況の地域が広がってはいるのだが、日本政府はアジアの隣国でもあるタイへの支援も人的な支援も含めて行っていただきたいと強く希望するものである。

 TPPに加入するか否かが日本の将来を決めるという全てではなく、全世界の人々が少しでも豊かで幸せな生活に近づける様に、まだまだ世界第三位と言われる日本の経済力と共に多くのNGOとNPOの力を活かして、アジアの人たちへの手助けをしてほしいと願っている。
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