ガリバー通信

「自然・いのち・元気」をモットーに「ガリバー」が綴る、出逢い・自然・子ども・音楽・旅・料理・野球・政治・京田辺など。

やった。坂本達

2008年07月19日 | ガリバー旅行記
 ある日、仕事帰りに寄った大型書店のレジのそばに「やった。」「ほった。」
と書かれたワゴンが置いてあって、なんだろうと覗いて見ると、なんと坂本達という名の青年の冒険紀行記の宣伝販売であった。

 四年三ヶ月の有給休暇で「自転車世界一周」をした男、坂本達氏が著者で、勤めていた会社が、彼の夢を実現させるために、就職した会社で義務付けられていた年二回の業務レポートに、仕事上の希望などを書くついでに、勝手に欄を設けて「自分の夢」を書き綴っていたら、入社して四年目にの新年会の後、しばらくして「タツ、社長は給料も出すから行ってこいって。期間も希望通りでええって」と上司に呼ばれて告げられたと言う。

 なんと、そんな太っ腹な会社があったもんである。その会社名は子供服を中心に商品の開発、企画、製造、販売をしている「ミキハウス」という会社である。

 その四年三ヶ月での世界一周自転車旅行の顛末が「やった。」というタイトルの坂本達氏の最初の著作である。

 「20代のうちに自分の足で回って世界を見ておきたい」との思い、夢を社長にぶつけ、もし願いが叶わなければ、会社を辞めてでも行こうと決意したレポートの直後に、なんと「よく決心したな、俺の分まで夢を叶えてくれ」と友人や社員の中には、選別までくれて彼の夢の実現に期待して送り出してくれたらしい。

 それも日本経済がバブルという好景気が破綻した1996年だったのに、社長はね「一人ぐらい普通に仕事せんと、変わったことやる奴がおってもええやないか」「応援してやりたいんや」と言っていたらしいと後で聞いたらしいのだが、あっぱれな太っ腹の社長である。

 世界一周自転車旅行中に彼は、アフリカ、ギニアでマラリアと赤痢にかかって倒れたのだが、無償の友情で救ってくれたギニア人ドクターへの恩返しとして、「恩返しの井戸」を完成させ、「ほった。」という二作目のドキュメンタリー本が完成したのである。

 彼は資金も知識もないままに、学生時代のアメリカ冒険留学の経験を礎に、無謀ともいえる自転車世界一周を成し遂げて著した「やった。」の印税で「恩返しの井戸」づくりを完成させた男である。

 現在もミキハウスに在籍し、社長室人事担当として勤務しながら、ギニアとの交流活動を続け、井戸の次には診療所プロジェクトの準備に取り掛かっているらしく、自転車冒険野郎としてのモチベーションを持ちつつ、早稲田大学の客員教員としても特別講義をしたり、日本国内でも自転車で日本を縦断しながらの全国86会場での講演もこなしている。

 「夢を持ちづらい時代」とも言われている現代に生きる青年の一人として、世界中に、また日本国内でも「夢の大切さ」や「夢は持ち続けると叶う」という話をテーマに語り続けている坂本達さんをうれしく思うのである。

 ちなみに、全国高校英語リーディングの教科書に「やった。」が採用されているらしい。
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