A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

スガダイロー・灰野敬二 DUO@新宿Pit Inn 2017.7.13 thu

2017年07月17日 02時12分51秒 | 灰野敬二さんのこと


スガダイロー 4DAYS
スガダイロー・灰野敬二 DUO

7月13日 開場19:30 開演20:00 ¥3,000+税(1DRINK付)

【MEMBERS】
スガダイロー(P)灰野敬二(G,etc)
夏が来れば思い出すアルパカオコゼソーキソバ。ってことで7/13は灰野敬二さんとデュオをやりましょう。必見ですな。
霧の中に浮かび来るワラビートカゲけものみち。ってことで7/14には菊地成孔さんと外山明さん。本邦初。
水芭蕉の花が咲いているスルメ三毛貝ネイル出雲上り。ってことで7/15はピアノトリオ、千葉広樹さんに今泉総之輔さん。世紀末感じられます。
丸髷芋にへそガエル、ラストの7/15はOKHP。そりゃもう豪華に夏を演出いたします。
ピットインでお待ちしております。
はるかな尾瀬遠い空。
--SHinjuku Pit Inn HP告知より



灰野とスガダイローがデュオで初共演したのは2013年3月11日代官山・晴れたら空に豆まいてだった。2011年の大震災・原発事故から丸2年経った日に始めて相まみえた両者に中山晃子のライヴ・ペインティングが投射された濃厚な空間は、激しい爆音対決にもかかわらず、慈しみと共感に満ちた幸せな空気が流れていた。
灰野敬二×スガダイロー@代官山 晴れたら空に豆まいて 2013.3.11 (mon)

それから四年の月日が流れ、スガダイローは当時標榜していた「フリージャズ」に留まらず、日本の現代の音楽シーンをリードする実力と人気を身につけた。新宿ピットインでの4デイズ公演の初日に灰野との共演に臨んだのは、四年前の刺激的な異種交歓の波動を今度はジャズの聖地新宿ピットインに巻き起こし、幕開けを禊で飾ろうと考えたのかもしれない。

立見の出る満席のピットインは女性の姿がいつになく多い。スガの人気がコアなジャズファンを超えて広がっている証であろう。スガのマネージャーの中村ノイズによる軽妙すぎる前説で登場した二人は正反対の神妙な面持ち。灰野のヴォーカルからスタート。静寂が支配するステージで流れるようにつま弾くピアノの伴奏で歌う英語の曲はロマンティックなスタンダードナンバーのように聴こえた。ピアノは徐々に波打つような連打に代わり、灰野はドラムマシーンで不定形なリズムを生みだす。しばし脱臼するリズム感で聴き手を翻弄したあと、手にしたのはアコースティック・ベースギター。座って縦に持って叩くように弾く。ウッドベースともエレキベースとも異なる皹割れたサウンドが悪魔の呼び声のように響く。スガのスケールの大きな無調のフレーズが緊張感を高める。徐々に加熱し鍵盤の上を縦横無尽に走るスガの十指と、ベース弦をスラップする灰野の右指が同期して、リズミカルな轟音が巻き散らされる。山が過ぎれば再び静寂に戻り、一頻り絡んでからの全力疾走、その繰り返しは、まるで手を替え品を替え相手を驚かそうとする子供のような悪戯心を感じた。再会の喜びに満ちた収穫の再演であった。

2ndセットは灰野がギター。ノンエフェクトのクリアな音色がピアノのアブストラクトなフレーズと混じり合う。両者の微細なフレーズが鬼ごっこのように競い合い、1stセットで確かめたお互いの心の距離を拡大しようとするかのよう。徐に灰野が爆音に転じピアノの音を掻き消してしまう。併しスガは全く動じず舞うように両手を鍵盤に踊らせ、音と音の感覚を流動化することに専念する。聴覚の限界点を超えて、視覚からピアノのフレーズが聴こえてくる。音楽とは、ライヴ演奏とは、当然ながら耳だけでは無く、目、口、肌、直感で感じるものだという事実を我が身で実感した。後半、流麗なピアノに乗せて灰野が歌ったのは「Love Me Tender」。メロディは異なるが歌詞で分かる。ライヴの冒頭に戻ったようなロマンティックなムードに酔う。途中でアメリカを揶揄するような語りを交えるのが灰野ならでは。予想外の甘いムードのまま終了。大きな拍手が鳴り止まず、アンコールはこの日最大の音量で鳴り響く轟音ギターと爆音ピアノの競い合いだった。交歓の果てに辿り着いた耳を圧する音響天国に意識は覚醒され、二人の音楽家の対決の高まりを追いかけ上層気流に乗って旅立った。



ピアノから
音の流れを
誘い込む

灰野は不失者アメリカツアーへ旅立つ。

【Fushitsusha USA Tour 2017】
7月19日(水) アメリカ・ニューヨーク Pioneer Works
Fushitsusha (不失者) : Silent

Doors 7PM / Show 8PM
$20 General / $15 Members
 
7月20日(木) アメリカ・ニューヨーク Pioneer Works  
Fushitsusha (不失者) : Heavy

Thursday, July 20th
Doors 7PM / Show 8PM
$20 General / $15 Members


7月22日(土) アメリカ・ロサンゼルス Zebulon Café Concert
Fushitsusha (不失者) with special guest 75 Dollar Bill

Doors: 7:00 pm
Show: 8:00 pm (ends at 1:00 am)
21 and over
$22 - $25
Live:
Fushitsusha
75 Dollar Bill
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2 コメント

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Japanese Government Afraid of Them (haragaki)
2017-07-17 15:48:12
灰野さん、細かく楽器を持ち替えず、真っ向勝負という感じでしたね。巌流島の決闘のようでした。
特に第一部のベースvsピアノのときは、お二人とも互いの楽器の持つ打楽器性を極限まで引き出していて、ほとんど打楽器同士の競演に聴こえました(灰野さんのアコースティックベースへの水平チョップ奏法!)。

PIT-INNはジャズ系のハコなので、耳を圧するような轟音ではなかったはずなのに、圧倒的な音圧だったという印象があります。音の凝縮力が半端じゃなかったです。
「Strange Fruit」で始まり「Love Me Tender」で終わる構成も見事でした。ロック系のハコでの再演希望!
返信する
I'm sixty five. (miro)
2017-07-19 22:16:59
最初の曲は「Strange Fruit」だったのですね。ありがとうございます。
スガダイロー・トリオfeaturing灰野敬二を観てみたいです。
またよろしくお願いします。
返信する

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