A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

灰野敬二×スガダイロー@代官山 晴れたら空に豆まいて 2013.3.11 (mon)

2013年03月13日 00時15分06秒 | 灰野敬二さんのこと


プロジェクトFUKUSHIMA!自主連動企画第2弾 “08∞08∞3.11後の世界,音楽の虹の橋”
灰野敬二×スガダイロー
中山晃子(Live Painting VJ)

Frags Across Borders
20130311

黒は本当は青かもしれない。色を無くしたあとは。

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震から2年後。
一人としての意思だけを集めた夜。
映画「ドキュメント灰野敬二」(2012)公開中のギタリスト・灰野敬二。ピアニスト・スガダイローは2011年2月22日中筋純写真展『黙示録チェルノブイリ』の為にスタジオ録音された初のソロ作品「春風」を、今や現実となってしまった原発事故から2年後の姿で再現。二人はソロとして互いに初対面。

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突然この日に私が昨年9月に投稿した不失者の新アーティスト写真のツイートが10人を超えるフォロワーにリツイートされ驚く。何故今頃半年前の呟きが?--まったく謎だがこういうことが時々ある。

2011年3月11日灰野敬二は高円寺HIGHでの静寂ワンマン・ライヴが震災で延期。それからちょうど2年後に代官山で震災支援のイベントに出演することとなった。自他共に認める「フリージャズピアニスト」スガダイローとの初顔合わせである。昨年11月同じ会場でメルツバウと共演したスガを観て凄まじいプレイと自己を貫く意志の強さに感嘆したので今回の組み合わせは今年前半の灰野のライヴのハイライトになる予感がした。灰野に尋ねたらどうなるかは当日まで判らないという気を持たせる返事だったのでなおさら楽しみでもあり不安でもあった。灰野がピアニストと共演することはあまり多くはない。2000年以降の10数年で思いつくのは千野秀一、清水一登、黒田京子、金澤美也子、石橋英子の5人くらいである。それだけにこのガチンコ勝負は貴重な機会でもある。

最初はスガのソロ。震災前に原発をテーマにレコーディングした作品「春風」。昨年リリースされたこの作品のCDは聴いていない。ドビュッシーやラヴェルなど印象派風の流麗な旋律が浸食されるように崩れてゆき猛烈なフリーフォームに突入しエクスタシーを迎えたあと徐々に醒めてホンキートンク調の賑やかなリズムに至るが破調=狂気と調性=正気の間を行きつ戻りつする混沌状態が続く内に再びリリカルなメロディーに回帰する。作曲と即興の見事なハーモニーの中に頭を垂れて没入するスガのプレイにすっかり心奪われた。途中で灰野が楽屋から出てきて客席でスガの演奏をじっと見つめていた。最後まで観ていたので何らかの手応えを感じたのではなかろうか。


→スガダイロー・ソロの動画はコチラ
(写真・動画の撮影・掲載については主催者・出演者の許可を得ています。以下同)

続いて灰野ソロ。ステージに吊るしたシースルーの布の後ろに潜み歌だけでスタート。初めて観る灰野のコンセプチュアルなパフォーマンス。中山晃子のライヴ・ペインティングを最大限に活かした声と映像のコラボレーションに新鮮な感動を覚える。10分ほどでセットチェンジし布を取り払ったステージでギター演奏。いきなりの爆音にビクッと驚く観客の反応が面白い。歌の節々に震災や原発を連想させるフレーズが散りばめられているがいつもの灰野の世界でもあるので意図したものかどうかはわからない。ダイナミックに色を撒き散らす中山のペインティングが灰野ワールドを妖しく彩りいつもは気づかない官能性を暴き出した。


→灰野敬二ソロの動画はコチラ[3/13追加]とコチラコチラ

照明効果もあり両者ともに普段と異なる持ち味を垣間見せたので期待が否が応にも高まる中デュオ・セッションがスタート。灰野はパーカッション→ヴォーカル→ギターと持ち替える。中盤のピアノとヴォーカルの組み合わせはロスト・アラーフに通じる狂気のピアノ歌曲で往年のシャンソニエやブレヒト劇、キャシー・バーベリアンのベル・カントを想起させる創造力に満ちた世界が広がる至福の演奏。このスタイルでアルバムをレコーディングしたら面白いかも。凄まじかったのは後半のギターVSピアノ。クリアな音質のアブストラクトなフレーズで始めた灰野に対しスガが細かい打撃音で挑みかかる。直ぐに音量マックスの爆音対決に突入。唸りを上げる灰野の轟音ギターに手の動きが見えないほど凄まじいプレイで煽るスガ。お互いに一歩も引かない死闘は正真正銘の解体的交感。ライティングが変わると場面転換するようなストーリー性に酔い痴れる。真っ赤な絵の具が撒き散らされるがジョン・ダンカンの血飛沫とは違って深紅の薔薇の如き情熱を描き出す。灰野・スガ・中山が三者三つ巴で描き出す空間には死の匂いはなく生の歓びが溢れていた。


→灰野敬二×スガダイロー・デュオの動画はコチラコチラ

ピアノとの
変幻自在の
睦み合い

2年目の3.11に生命礼賛の素晴らしい交感が実現したことに驚嘆するのみである。




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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (一読者)
2013-03-13 13:54:21
つい去年、原田雅嗣氏と共演してますよ。

http://black.ap.teacup.com/fushitsusha/43.html
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原田雅嗣さん (miro)
2013-03-13 18:28:26
一読者さま

ご指摘ありがとうございました。単行本の活動歴で確認したので直近の活動は見過ごしていました。m(_ _)m
返信する
Unknown (一読者)
2013-03-16 14:15:56
単行本272頁に「2003年11月14日 灰野敬二+狩俣道夫+河合拓始(p)@代官山クラシックス」とありますが。。。

別にアラ探しをしてるわけではなく、以前コメント欄で他の人が指摘してたように貴兄のブログは影響力が大きいので記事を鵜呑みにしてしまう人も多いと思われる為、書かれる内容にはある程度の正確さを期すべきと感じました。
何より、共演したミュージシャンや灰野氏に失礼なのではないでしょうか?
絶対に間違えるなと言ってるわけではなく、たとえば「おそらく5人である」とか「5人だと思う」という書き方もあると思います。やはり、それなりの確証がなければ断定口調で書くべきではないのでは?

なんだか糾弾するような調子になってしまいましたが、愛読者ゆえの提言と思っていただければ幸いです。
返信する
確かに (miro)
2013-03-16 17:58:56
一読者さま
おっしゃる通り断定すべきではなかったですね。今後は気をつけます。
今後とも宜しくご指導ください。
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