A Challenge To Fate

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【勝手に翻訳】オーレン・アンバーチが選ぶ『灰野敬二の必須レコード5作品』

2015年02月18日 02時07分05秒 | 灰野敬二さんのこと


オーレン・アンバーチによる灰野敬二の5枚のエッセンシャル・レコード
Oren Ambarchi’s Five Essential Records By Keiji Haino


Electronic Beats (Established by Deutsche Telekom)
October 28, 2014 in Reviews
by Elissa Stolman

1ヶ月程前スカイプでオーレン・アンバーチとお気に入りの灰野敬二のレコードについておしゃべりした。前提は、灰野の専門家により、この象徴的なミュージシャンの広大なディスコグラフィーへ新しいファンをナビゲートするためのガイドを作成することだった。そこでこの日本のサイケデリック·ロックの伝説と最近コラボした二人のアーティストに打診した。そのひとりが、90年代初頭にニューヨークで灰野の演奏を観てギターを始めたというオーストラリア人ドラマーのアンバーチで、彼は後にSun O)))のスティーヴン・オマーリーと共にバンド「なぞらない」で灰野とコラボし、間もなくニューアルバムがリリースされる。もうひとりはドイツ人ピアニスト・作曲家であり、最近灰野のユニークなヴォーカルをフィーチャーしたCDをリリースしたZeitkratzerの創設者ラインホルト・フリーディ。

非常に(そして当然)忙しいフリーディから回答を待っている間に、先週RBMAが灰野のカタログの独自のガイドを掲載した。そのために我々は当初の計画を中止し、新しいアイデアを考え出すべきとの意見もあったが、何度か議論を重ねた結果、オーレンの日本で最も伝説的な実験ミュージシャンの視点がかなりユニークで面白く、オリジナルのコンセプトに特別な角度を加えるものと判断した。基本的には、灰野の作品のハンドブックが他にあろうとも、このインタビューは読む価値があるに違いない。
【Red Bull Music Academy】A Guide to Keiji Haino~オーストラリア人音楽ライターが解説する、灰野敬二を知るための15枚のアルバム

不失者 (Fushitsusha),『不失者』 (PSF 1991)


私が最初に彼のトリオ、不失者(英語で「Fushitsusha」)を聴いた時、それは私の人生を大きく変える衝撃だった。それは、ギター、ベース、ドラムからなる古典的なパワーロックトリオのフォーマットであったが、Fushitsushaが現れたとき、我々が精通していた言語とコンテキストを完全に異なる場所とレベルへと導いた。 PSFに於ける2作のFushitsushaの作品はタイトルがなくカタログ番号だけで識別され、単にダブルライブとして知られている。私の無人島ディスクである。それは完全なる解体であり、私が愛するすべてのものを持っている。それはサイケデリアであるー私がサイケデリアという場合は決まり文句の意味するものではない。洞窟か何かで録音されたように聴こえる。上へ上へと進行するソロ、反復し彷徨うリズムセクション、そしてどこにも行き着くことのないソロ、それを私は愛する。そして、雰囲気はとても信じられない。ダークで、神秘的で、同時にロックだ。それらすべてにロックやパンクのバイブがある。そして、灰野のヴォーカルは絶対的に美しいと同時にゴージャスでもある。これ以上の物を求めることはできない。




不失者 (Fushitsusha)『悲愴 (Pathétique)』 (PSF 1994)


PSF-50の最初のトラックは、私が思うに「Pathétique」というタイトル5分の楽曲である。これは私が最も好きなFushitsusha/灰野の作品のひとつ。巨大な石碑のようなリフが何度も何度も繰り返される。かつて、私はテルアビブでソロギターのライヴを行った。セットの最後に、アンコールを求められた。私は長大なソロセットを行った後に、再び演奏するのが嫌なので、通常はアンコールを行うことはない。何をしていいかわからなかったので、大好きなこの曲のカバーを演奏した。以前暫くの間やっていたオーストラリアのバンドでは、たまにセット全部をこのトラックだけ繰り返し演奏するライヴを行っていた。それほどこの作品は私にとって重要なリリースなのだ。




灰野敬二、三上寛、吉沢元治(Keiji Haino, Mikami Kan, and Yoshizawa Motoharu)『平成元年ライヴ・下(Live in the First Year of the Heisei, Volume Two)』 (PSF 1990)


灰野が日本のフォーク・アイコン三上寛と伝説的フリージャズ・ベーシスト吉沢元治と共演したやはりPSFに於ける初期コラボ作品。『平成元年ライヴ』と題され2巻のレコードは、私が実際に聴いた最初の灰野のレコードのひとつでもある。

91年にニューヨークで灰野を観た頃、リリース作品は多くはなかった。彼は1980年に最初のLPをリリースしたが、限定盤の為に余り流通していなかった。私がニューヨークからオーストラリアへ戻った時、友人が偶然に灰野のPSFでの作品を所有していた。それは90年代初頭のシドニーではとても珍しいことだった。そのうちの一枚がこのトリオコラボ作品『平成元年ライヴ』だった。このアルバムでは基本的に三上寛がフォーク・ギターとフォーク・ソングを歌し、ベース奏者がフリージャズ的解釈を加えていて、私の魂を吹き飛ばした。この二者だけでも十分に奇妙なのに、更に灰野がすべてを全滅させる狂気のギターの爆発で現れる。余りに異次元で完全に別世界だった。当時こんなものを聴いたことがなかったので、このコンビネーションは溜まらなく魅力的だった。




灰野敬二(Keiji Haino)『慈 (Affection)』 (PSF 1992)


初期のPSFのリリースに『Affection(愛情)』というタイトルのソロ・ギターとヴォーカルによる作品がある。本当の深夜の雰囲気を持っているので、灰野の作品を初めて聴く人におススメしたい。ある意味メローで漂うようなサイケ感があり、とても日本的で、90年代初期東京のPSFサウンドを象徴する。推薦盤。


(楽曲はアルバム『A Challenge To Fate』収録のもの)


灰野敬二(Keiji Haino)『Tenshi No Gijinka』 (Tzadik 1995)


Tzadikレーベルでのソロ・パーカッションCD。確実におススメ。純粋にアコースティックでエレクトロ二クスは一切ない。一枚のCD、『天使の擬人化』というタイトル、1995年のパーカッション作品。儀式的なムードがあり、それこそは灰野のすべての活動を貫く真実のひとつだと私は思う。私はロングトーンの音を好む。私は共鳴するベルや打楽器の音を好む。アルヴィン・ルシファーやモートン・フェルドマンの、和音が静かに衝突し、共振し、音が空中に漂うピアノ作品が好きだ。それと灰野の儀式的なパーカッション作品は私にとって同じ世界から来るのである。




Nazoranai(なぞらない)の最新アルバム『一番痛い時は一度だけそれは もう 訪れているのかな...The Most Painful Time Happens Only Once Has It Arrived Already…? 』はIdeologic Organから発売中。





灰野敬二
あなたのおススメ
なんですか

<Live Schedule>
2015年4月12日(日)六本木SuperDeluxe
Merzbow x Balázs Pándi x 灰野敬二
with KK NULL / BASTARD NOISE
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